迫力の立体曼荼羅(美術展日記)
国立博物館の東寺展(国宝 東寺ー空海と仏教曼荼羅)に行ってきましたよっと。
実は抽選でチケットが当たりまして。
ちょうどGWだし、近所だし、行こうって。
ちょっと話変わりますが、夢枕獏の小説に「沙門空海、唐の国にて鬼と宴す」ってありますね。少し前、映画化されてたアレです。
夢枕獏の小説好きなんですけど、この小説読んでから密教が自分の中で若干ブームきてる。
そんな中当たった東寺展のチケット。
東寺は空海の開いた真言密教の総本山。
――行くしかないな?
うっきうきで向かいました。
最初は混んでたけど奥に行くとスムーズ
GW初日だったんで、さすがに混んでた。入り口だけ。
入り口には空海の肖像とか飾ってありましたが、その辺は混んでました。
でも奥に行くほど緩和されました。
後七日御修法の堂内再現
正月に東寺で行われる後七日御修法の堂内が館内に再現されてました。
後七日御修法は真言宗において最も重要かつ秘された儀式らしいです。
この辺はまぁ、ほーん、という感じ。
ただ堂内再現はなかなかの迫力でした。大きな曼荼羅が2つ、前後にバーンとあるわけですよ(たしか胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅だったはず)
シンプルにスゴイ
あのサイズの曼陀羅なんて中々みれないし、うおお、と圧倒されました。
もちろん堂内再現なので、他にも儀式に使う道具や供え物なども再現されて配置されてました。
立体曼荼羅と降三世明王像
仏具やら仏様(ここでは如来とか菩薩とか色々ひっくるめて仏様と呼びますね)の描かれた屏風類の展示を抜け、最後の見どころです。
東寺にある立体曼荼羅(羯磨曼荼羅)の再現。
15体の仏像が配置された三次元の曼陀羅です。
圧巻ですよ。
通常の曼陀羅は二次元ですが、これは仏像により構成された3次元の曼陀羅です。
配置の意味とかわからなくとも、その神秘性、迫力には自然と畏怖の念を抱くこと間違いなし。
仏像だと近づいたり回り込んだりして眺められるのが良いですね。
個人的に気に入ったのは降三世明王の像です。
面白い点は、この像は異教の神を踏みつけてるんですよ。
明王の足下にヒンドゥー教のシヴァ神夫婦がいらっしゃいます。
仏教の優位性を説くための造詣ですね。
宗教間でどちらが優位な教えであるかの争いは常にあるわけですが、仏教でここまで露骨なの見たのは個人的には初だったので、すごい印象深かったです。
ちゃんとポストカードも買いました。
あと、仏教の優位性を説く、という意図のわりに、なんとなく造形がカーリーっぽくて。
カーリーはヒンドゥー教における戦いの女神です。
長い舌を垂らして生首でできた首飾りをかけて、足下には旦那のシヴァ神を踏みつけてる姿が有名です。
おや、と思いません?
降三世明王が踏みつけてるのはシヴァ神夫妻です。カーリーはシヴァの妻デーヴィーの凶暴な相と言われてます。
異教の神を踏みつける、という造詣自体は珍しいものではないかもしれません。
でも踏みつけてる相手のうち一方は、同じくシヴァ神を踏みつけてる姿が有名なわけです。
なんかそういう共通項見たいなもの見つけると楽しくなりますね。
そんなわけで、降三世明王像は個人的にお気に入りの作品となりました(ちょっと失礼かもしれない)。
金剛界曼荼羅や胎蔵界曼荼羅、はては立体曼荼羅と、真言密教の世界を存分に堪能できた展覧会でした。
以上です。