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気高く、ミックスサンド。

遮光カーテンをぶち抜いて差し込む朝日で目を覚ます。赤井秀一でもいるのだろうかと毎朝窓を開けて街を伺うがそんな気配もなく、今日も街に漬けられた夏に、にやっとした。

「今年は特に暑そうだ」と今年も思うことができた。

布団を畳みながら今日の作戦を練る。

1時間以内に朝食をすませ、歯磨きまで終わらせる。

16時からバイトなので、それまでにギターと筋トレと文章をやれたらなと考える。

たぶん9時くらいから自由になるので、1時間ずつやれば問題ない。

午後はなにしよう。

とりあえず朝食をすまそう。

畳んだ布団を定位置にもどし、部屋をぐるっと見回す。
昨日のゼミに来ていくための一人ファッションショーをしたときの服たちが居心地悪そうにこっちを見ていた。

それらは「昨日が存在した」ことの証拠であるかのような猛々しさであった。


…後で片付けるから


そう思いリビングに行く。なんとなく母に怒られるであろう未来予知とも同時に。

妹が洗面台で化粧をしていた。ファンデーションだとか下地だとかイスタンブールとかそういう類を顔につけていらっしゃった。それは確実に犯してはいけない聖域があって、五条悟の領域展開もこんな感じかなって思った。

なるべく申し訳なさそうにスペースをいただき洗顔をする。

脂性肌にみえて乾燥肌な僕は、過度に洗顔をすると皮膚を保護すべく皮脂がより多めにコーティングをしてしまうというクソシステム。

最近はは夜にちゃんとケアをして、朝はそれを水で洗い流すだけ。

洗顔というか行水。

「今日はバイトか?」

父が聞く。

「そうやで。働くで。」

彼の毎朝の質問は3種類。今日はバイトか、今日は学校か、今日は家か。単純な息子で悪かったな。この3択で確実に射ってくる父は紛れもなく赤井秀一である。

米が炊けてないらしいので、今朝はサンドイッチでも買いに行こうと思った。

行き道で誰にも会わないよう願いを込めて、半ズボンに足を通す。
元カノに人並みだと認定されたすね毛には特にコンプレックスはないのだが、やっぱりなんか恥ずかしいというか申し訳ないというか。

上には高校の部活のジャージを着て外に出ようとすると、イヤホンがないのに気づく。

そしてイヤホンをポケットに入れたままのズボンがゴウゴウと洗濯機で回されていることに気づく。


あー、



慌てて救出する。そして部屋でハンカチの上に乗せておく

えーっと、イヤホンの家であるケースはどこに行ったっけ。


そうか昨日駅かどっかで落としたんだ。だから、イヤホンたちはポッケに居たんだ。


納得する。

よかったーってなる。

なにも良くないのに。


コンビニで、ミックスサンドをかった。


他より40円安かった。


誰にも会わなかった。



家に帰ってインスタントコーヒーでアイスコーヒーを作る。
スティック状のそれの蓋を開け、タンブラーに入れる。お湯を少々入れてエスプレッソにする(なんちゃってエスプレッソ)。そこに雪崩の如く氷をぶち込む。そしてめっちゃ混ぜる。

「ひょん!!!服片付けろ!!!!」

自室から母の怒号が飛ぶ。

よかったってなる。


部屋に戻る。コーヒーを飲んで、その苦さをミックスサンドで流す。その逆も然り。

何書こうかなって思う

そういえば、違国日記よかったなぁ。

この前借りた本も良かったなぁ。

書くこといっぱいだなぁ


そんな朝。




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