ドミニオンサプライ解説#1(大地への塩撒き)


属州、屋敷場、4人戦

1 キーカード

[死の荷車] 4コスト
+5コイン
あなたの手札からアクションカード1枚を廃棄してもよい。そうしない場合、このカードを廃棄する。
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あなたはこのカードを獲得したとき、廃墟2枚を獲得する。

[愚か者] 3コスト
森の迷子でない場合、森の迷子と3つの祝福を得て、好きな順番で祝福を受ける。
(家宝:幸運の銅貨)

[森の迷子]state
あなたのターンの開始時、祝福を受けるために、1枚捨て札にしてもよい。
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森の迷子はstate(状態)である。これはカードではないのでデッキには含まない。あなたが森の迷子を獲得している場合、ターン開始時に森の迷子の効果を処理してもよい。

[祝福]
12種類の異なる効果が書いてあり、ランダムに一つの山になっている。
祝福を得る、とは祝福の山をめくり、その効果を受けることを指す。

[家宝]
家宝は初期デッキの銅貨の代わりに入る財宝のことを指す。今回の場合、初期デッキとして銅貨6枚、屋敷3枚、幸福の銅貨1枚でスタートする。

[幸福の銅貨] 4コスト
1コイン
銀貨1枚を獲得する。

[大地への塩撒き] イベント
+1勝利点トークン
サプライから勝利点カード1枚を廃棄する。

[浴場] ランドマーク
あなたがカードを1枚も獲得せずにあなたのターンを終了するとき、この上から2勝利点トークンを受け取る。
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準備:この上にプレイヤー1人につき6勝利点トークンを置く。

2 サプライの把握

 まず、「浴場+大地への塩撒き」という戦術があります。手順は簡単で、3金で銀貨を買い、以降4金以上出たら大地への塩撒きを購入して属州を廃棄し、3VPを獲得を繰り返します。おおよそ9Tで属州6枚廃棄、すなわち9T18点行動となります。この戦術の強いところはこの戦術を選択したプレイヤーが多ければ多いほどゲーム終了タイミングが早く、支配的な戦術になりうるということです。おおよその話ですが3人で5-6T、4人だと最速4T目にはゲームが終了します。こんなゲームではまともなデッキ構築ができるわけありません。ですので「浴場+大地への塩撒き」による速攻を狙わない場合、他3人がこの戦術をとっても勝利点レースで優位に立てる、プランを立てる必要があります。

 あと、もう一つ考慮に入れなければならないものが家宝(幸福の銅貨)の存在です。nocturneで追加された家宝というシステムは特定のカード(今回の場合は愚か者)がサプライにある時、初期デッキの銅貨の代わりに加わります。今回用いる「幸福の銅貨」の効果はプレイ時に銀貨を手札に加えるというもの。これにより、
・銀貨が増えることにより4金の連打が安定しやすくなる。
・幸福の銅貨を使用したターンには浴場の点が入らない。
といったことが起こります。特に後者は重要な点で、人によっては初手で大地への塩撒きを購入しつつ浴場点を確保できないことが起こりうる、ということです。浴場点は有限ですので初手での格差は見逃せないものになります。つまり初手で幸福の銅貨込みの4金を出したプレイヤーはこの最速パターンを行うことができない→全員が最速で属州を減らしに行く可能性が低い、ということがわかります。これでゲーム終了タイミングはやや遅くなったでしょう。

 次に「浴場+大地への塩撒き」の弱点を考えてみましょう。それは浴場点が有限であるという点です。浴場の点を得られる回数は12回で属州枚数と同じですが、逆に言えば誰かが属州を廃棄せずに浴場点を確保した場合、それ以降の大地への塩撒きはただの一点行動になってしまいます。つまり最速パターンを狙わない場合、ある程度の浴場点を確保しつつ、かつ枯れた後にも安定した点数行動をとれる戦術をとる必要があります。これを満たすカードがサプライには1枚あります。そう死の荷車です。とりあえず打てば5金だし、終盤は8金を出す機会すら作れるカードです。死の荷車特有の廃墟が混ざることにより出力がないターンも浴場点を取ることでき無駄がありません。おおよそデッキが3,4周すると仮定して、2回程度→公領+属州の9点行動分が期待できるでしょう。また死の荷車の優れたところはデッキ3週目までに属州をとる可能性があることで、ほかのプレーヤーが毎ターン3点行動する中一回でも6点行動できれば基本的に勝つことができるでしょう。

 またこのことにより「浴場+大地への塩撒き」側は最速で属州が枯れないことが想定されるので、
・協力して属州を早く枯らす。
・浴場点が枯れた後に公領をとれるようなデッキを作る。
ことが必要になります。前者は荷車ルートへの対抗策。後者は同型への対抗策になります。

3 実際の結果

1番手 浴場-銀貨銀貨 4位
2番手 見張り-銀貨、市の荷車 2位
3番手 愚者-銀、大地の塩撒き 1位
4番手 見張り、銀-占い師 3位

 実際に勝ったのは森の迷子による継続的なアドバンテージを得た3番手の方でした。森の迷子経由で獲得した金貨により、属州を獲得しての勝利でした。ただこの戦術では最初に愚者を使用したときの祝福の捲れ方次第では浴場点を取ることができないことです(獲得系の祝福は12枚中2枚)。5T目には浴場点が枯れるこのサプライでこの1ターンは致命的になりうることでしょう。ただし、今回のようにロングゲーム(といってもデッキ4周目で終わったのでおおよそ11T)になった場合には優位性を保つことができるでしょう。
 
 死の荷車ルートは相方に見張りを選択しました。これは死の荷車の使用回数を増やしたいという意思がみて取れます。実際には見張りは最初の死の荷車で廃棄され、死の荷車も2回しか使用されませんでしたが、死の荷車によって公領、属州と購入でき、「浴場+大地への塩撒き」側に有利をつけることができています。またこのプレイヤーは大地への塩撒きで屋敷を廃棄することにより、終盤の大地の塩撒きの価値を下げることに成功しています。

 「浴場+大地への塩撒き」側は厳しい戦いを強いられました。これは死の荷車側が属州を廃棄しなかっただけではなく、全員が浴場の点を重視した結果、パスによる浴場点の獲得や、終盤の得点行動としての強さから公領を購入していることにより、ゲーム終了が遅くなったことが原因と考えられます。今回は早いゲーム展開になりませんでしたが、多くのプレイヤーが早くゲームを終わらせることを選択した場合に強いことには変わりありません。ただこのような上の勝利点へのアクセスが早期にできるサプライでは、周りが遅い戦術を取った場合に、自身もそちらにシフトできる戦術をとる必要があるでしょう。そういう意味で愚か者は相方として優れていたといえるでしょう。


4 使われなかったカード補足

 まず、デッキ3週で終わる可能性があるサプライで2週目の5金のカードの購入が公領より優れていることはほぼないといってよいでしょう。つまり5金のカードを買うとしたら初手以外ありえません。まず軍団兵は金貨がデッキに入ることがほぼないので延臣の下位互換、公共広場も初手で他に連打したいアクションカードが入らないうえ3金以上が出ることは少ないため、ほぼほぼ延臣一択となってしまいます。延臣で入った場合基本的には属州を廃棄せず2週目には金貨を獲得し、浴場点が枯れた後に公領を連打、もしくは金貨と延臣がそろって属州を購入できるようにするべきでしょう。懸念するのは幸福の銅貨をいつ引くかで、初手の2金や2週目延臣と引かなかった場合に終盤の安定性が下がってしまうことでしょう。


 こんな感じでサプライの解説を行ってみましたがいかがでしょうか?実際どの程度需要があるのかがまだ未知数なので感想批判等コメントやtwitter(@urihari33)まで送っていただけると嬉しいです。


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うりはり
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