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「目には目を」に込められた復讐に対する痛烈な皮肉~THE LAST OF US PARTⅡ~

目には目を。歯には歯を。復讐には、復讐を。

 本稿は、THE LAST OF US PARTⅡを3周ほどプレイした自分があることないこと勝手に妄想するレビューになります。以下にネタばれを含みます。

 THE LAST OF US PARTⅡのデジタルサウンドトラックを手に入れた自分は嬉々としてそれを音楽プレイヤーにいれ、現在でもプレイ後に聞いています。
 自分が気に入っているのは「Eye for an Eye」という曲。これはエリー編・アビー編どちらでも流れ、主に戦闘シーンや緊迫したところで流れているものです。
 このBGMが流れるシーンで一番印象深いのは、エリーの「シアトル2日目:ヒルクレスト」。住宅街をWLFの捜索網からかいくぐる一連の戦闘。初見では何度も死にながら最終的に逃げることを決め、「ガチの殺し合いだなぁ……」と息をのみ、ジェシーに会ったところで「ジョエルじゃねえ!」とびっくりしました(笑)。

※2020.7.28追記。ヒルクレストのシーン、「Eye for an Eye」じゃなくて「The WLF」でしたね……。なんで間違えたんだ……。まあ、どっちも好きです。

 あの戦闘曲、すごい不気味と言うか、「人間の(精神的に正面きって喉を掻っ切る)殺し合い」という気がして心が粟立つんですよ。サビの部分が腹の底から「さあ殺せ……! それが正義だ」って囁いているみたいで。
 そんな「Eye for an Eye」ですが、直訳すると「目には目を」。なるほど、これはやられたらやり返す復讐と言う曲だなあ、と思いつつ、直後に感じたのはエリーに対する恐ろしいほどの皮肉でした。

 自分自身学が浅いので反論はあるかもしれませんが……。
 そもそも「目には目を」と言うのは、古代の「ハンムラビ法典」に記された法の一つです。簡単に言えば「被害者がされたことを罪人にも行う」法律。

 ただ重要なのは、これはあくまで法律であること。本来は「やられたらやり返す」とは少し違うのです。
 法律である以上、そこには法に統治された集団が存在します。国家ほどの大きな集団であれば、民を統治するために少なからず上下関係が存在します。その上位に立つ者が正当な法律として作ったのが「目には目を」であって、これがちゃんと機能するには執政する組織が罰さなければならないのです。
 「目には目を」は、断じてやられたらやり返すではありません。そうしてしまったら、単なる無法者の蛮行に成り下がってしまいます。

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 THE LAST OF USの世界は、現状旧世界のような合衆国規模の組織はありません。過剰に言えば無法世界です。そんな世界で(主に)エリーの復讐の旅を表すものが、「Eye for an Eye」。
「自分は正当な法や正義の下にこの戦いをしている」と主張しているのか、「自分こそが法と言えるものだから問題ない」と思っているのか。
 いずれにせよ、エリーに対する痛烈な皮肉を感じずにはいられない。そんな面白さを覚えたBGMでした。

記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。