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界の軌跡クリア後感想考察~想いの軌跡が拓いたセカイへ~

 2024年10月3日、日本ファルコムが送る軌跡20周年作品《界の軌跡-Farewell, O Zemuria-》をクリアしました。
 一つの世界を舞台にした軌跡シリーズの13作目。最初の中世ファンタジーから7年程度で技術は発展し、本作はあらすじでもついに「ロケットが宇宙へ──」と言われています。
 軌跡プレイ勢としては、物語の内容としても、伏線の回収としても、いろいろな意味で衝撃的な作品だったと思います。創の軌跡から黎Ⅰ・Ⅱ、その他について感想考察を挙げていましたが、今回はもっともっと、かなりの数の感想考察を気ままに書いていきたいと思ったのです。
 純粋な物語やゲームや過去作要素の感想、各キャラクターの心理考察、軌跡シリーズ全体の伏線の考察etc....キャラクターにしても、今までは多くて8人くらいだったのですが今回語りたいキャラはざっと20人超えました(書き方次第で増減しますが)。

 なので、本稿だけはキャラネタバレやストーリーネタバレ(過去作でいうところのリィンの素性とか、クロスベル自治州がどうなるかとか、終章はどうなるか、みたいな)を排除し、

  1. 本稿:システム的感想、過去作要素の感想、未プレイ勢に向けた匂わせストーリー感想

  2. リィンルート感想

  3. ケビンルート感想

  4. ヴァンルート感想考察

  5. キャラクター感想考察

  6. 世界観全体の感想考察

 みたいな形で、全6記事、あることないこと自由に語っていこうかと思います(現時点では)。
 ただし《界》以外の軌跡シリーズはネタバレ全開ですので注意してください。
 本稿は《想いの軌跡が拓いたセカイへ》。本編をプレイして色々な意味で、軌跡の原点である《空の軌跡》との関りを感じたので、キャッチコピーを拝借しました。時代を拓けば、知っていまえば、もうそれより前には(ネタバレ抑え目とはいえ)もう戻れねぇ。貴方の《枷》が外れてしまいますよ。
 Are you ready?
 


1.執筆時のクリア状況

ヴァン:解決屋手帳
リィン:分校手帳
ケビン:星杯手帳
いい味出してるなぁと思いました。
  • プレイ開始9月27日、1周目クリア10月3日、本稿執筆開始10月9日。

  • トロフィー回収や面白画像、バニー衣装を求めて2週目を開始中。

  • 1週目クリアにはおよそ85時間くらい、難易度はハード。

  • 映画・雑誌・サブクエ等は恐らく全て達成。

  • 最終ランクはAA。2つほど選択肢を正解できなかったクエストがあり、戦闘のポイント条件を達成できなかった所が多々あった。

  • 会話マラソンはすべての人に1回は話しかけた。ただし、会話欄が灰色になるまでか青色のままかはその時の気分による。

  • 最終アライメントはLが4、Gが4、Cが3。最初はCがメキメキと上がっていったのですが、気が付いたらLが逆転してた……。

  • メメントは③と⑥以外はクリア前に、それら2つはクリア後に庭城を散策して見つけました。

  • コネクトは庭城も利用して1周目で全て見ました。

  • 庭城の最終領域は本編より先にクリアしました。

2.戦闘システムについての感想

 黎シリーズを踏襲した戦闘システムであり、追加点はZOCシステム覚醒システムあたりでしょうか。
 軌跡シリーズは元々一地方のシリーズで作品が進むごとに基幹戦闘システムの完成度が極まっていく傾向があるのですが、界の軌跡はその完成形に近いような印象を受けました。
 まずアクション。攻撃・チャージアタック・回避の割と単調だった黎Ⅰから、現在は世界観を楽しめる《待機時間を要するクイックアーツ》に、神気・グレンデル・聖痕といった一部の異能持ちの要素が味わえる《覚醒》、さらにアクションコマンドでの《ZOC》システム。
 さすがにジャンプ要素はないのであくまで2次元的な動きだけとはいえ、見た目にもかなりド派手になって戦闘が楽しめました。私は黒の庭城でヴァン・リィン・ケビン・ルーファスの主人公パーティーを選び続け、気分次第で神気合一・グレンデル化・そして聖痕を発動させて暴れまわりました(笑)
 ZOCスローモーション+覚醒で時間内に相手を叩きのめし、スタンとなったらコマンドに変更して即Sクラ発動でワンキルがベター!

 コマンドバトルでは一部のシステムの調整、シャードコマンドとZOC(2連続行動)の追加が主かな?
 苦戦したのは、相手もZOCを発動させてきたのとアンチシャードブーストの存在です。
 敵もおそらくシャードコマンド前提の攻撃力等になっていたと思います。ギャルとか支援系の敵がターン事に毎度アンチしてくるので、戦闘としては基本的に「いち早くSクラ発動してブーストゲージを増やす→ブーストゲージ上昇クラフトでゲージガン上げ→基本はダメージ軽減、猛攻時は待機時間減少コマンド」というのが私の基本戦略でした。

 今回はハードというナイトメアよりは緩いモードだったので、後半になるまではクオーツをほとんど調整しなかったです。後半はヴァン・リィン・ケビンの三人を上位シャードスキルを前提としたチート構成とし、常にSクラや高威力クラフトを連発できるようにしました。やー、火文の太刀2連続からの流転洸刃は爽快だった。
 あ、あと回復は基本シャードコマンドに任せた。

 総じて、戦闘要素はかなり満足できるものでした! まあ軌跡初心者には覚えるのが大変だとは思うのですが。

3.過去作要素についての感想

 未プレイ勢にはめちゃくちゃ複雑なもので、界の軌跡は「界の軌跡Ⅰ(仮)」であり「黎の軌跡Ⅱの続編」であり「共和国編の3作目」であり「軌跡シリーズの13作目」であり「英雄伝説シリーズの最新作」であるというわけわかんねぇ感じですが、その中でも、

 軌跡シリーズ全体の最新作

 であることを念頭にした要素が多いと感じました。


原点《空》に連なるケビン、クロスベルを経た帝国編としてのリィン、そして共和国のヴァン、とでもいえばいいのでしょうか。

 ストーリーラインが共和国編最新作であることに変わりはありませんが、リベール編の人物が出てきたり、リィンやケビンが出てきたり、騎神の話があったり……それらを知っていることが当たり前のような空気を醸し出しています。今までは一応匂わせだったり伏線的な書き方が多かったと思うのですが、今回に関してはリィンやケビンがいるからか知っていることが当たり前、前提のような。ゾア・ギルスティンだったり、《鋼》だったり、ルフィナだったり。
 その意味で《タイムリーワード》というシステムは、かなり良かったと思います。
 そして、ここからはプチネタバレ……《界》に出てきた過去作要素を一つ一つ語りたい……!

  • ミントさぁ、いきなり「彼氏」発言とは。それって演奏家か? 演奏家なのか!?

  • レインズ氏が初めて出た時、「君かなりはっちゃけたな?」と思いました。後から気づきました、お前兄貴の方かよ!

  • 各通信社からの人々。まず、ノートン氏が出た時にはコントローラーを落としかけました。そしてリベール通信社のニコル記者、過去作出てたっけ? もしかして暁(未プレイ)? 碧の時はノティシアさん? が出ていたような気がしますが。

  • 記者といえば、エドウィン記者! 初見で「あれもしかしてこの人……!?」と思ったら案の定だった!

  • コリンズ学園長、《界》にして微登場してファーストネームの頭文字が判明するとは思わなかった。

  • 怪盗Bさん、アンタ相変わらず楽しそうで安心したよ。

  • トールズ新Ⅶ組の進路。それぞれ聞けて良かったぁ、と思います!

それぞれどうなったんでしょうねぇ。
  • マカロフ教官。よっ! 新婚さん!

  • ジュライ・ノーザンブリアなど、詳細ではないですが独立に関する話が聞けたのもよかったです。

  • 今回ユン老師のことが多少なりとも語られたことで、やはり「アネラスさんの親って何者なんよ!?」と考えてまう!

  • 新たなギルバート枠発見! しかし俺はギルバートがカンパ君になぶられているのが見たいよぉ!!

  • リュウガ・ロウラン氏もきっと化け物だったんだろうなぁ……

  • 泰斗流ということで、兄姉弟子3人がはっちゃけてんのは超笑いました!

  • 別枠で書くかもしれませんが、百日戦役と共和国に関わる空の《実録 百日戦役》の内容(伏線?)がしっかり本編に活かされていて最高でした。

4.ストーリー構成の感想

 システム的な意味やメタ的な意味でのストーリー構成の話です。
 今回、ヴァンの他にリィンとケビンが他のルートを引っ張る主要人物をとして描かれています。

 しかし、創の軌跡のような「3人の主人公」ではないと思っています。
 (公式情報で3主人公と記されていたら別ですが)今回の主人公は明らかにヴァンです。リィンとケビンはあくまで共和国編を彩る軌跡の一つである。というのは、リィンとケビンがルートを任されているから主人公であるのならば、黎Ⅱにおけるスウィンとアニエスもまた主人公になりますから。
 とはいえ、リィンもケビンも課題や使命を背負う重要な人物であることに変わりはありません。今後も似たような展開で群像劇的なストーリーが進むのかはわかりませんが……でも、この同時進行の物語は個人的に高評価でした。

 創の軌跡はいろいろな意味で満足していたのですが、個人的に、重箱の隅をつつくレベルですが「クロスストーリー」という言葉に違和感を持っていました。
 だって「クロス」という言葉には「始まる場所が異なり、ある一点で交叉し、そして違う場所で結末を迎える」というイメージがあったもんで。「クロスじゃなくて集まってんじゃん!」と思ったものでした。
 その意味で《界》はクロスでなければ3主人公でもない、あくまで群像劇としての多視点の軌跡。そしてケビン・リィンのルートに比してヴァンのルートが多い。主役はあくまでヴァン・アークライドである。
 まあ剣聖VS剣聖は興奮したけどな!?

 あとは舞台について。
 私が黎Ⅱに持っていた一番の不満点が、「共和国が舞台なのに全然旅してない!」というものでした。だって首都、北のメッセルダム、南のラングポート、後は南の島のネメス島だけなんだもん……共和国地図見たら本当に縦一列しか動いてないし……黎Ⅰで他にもたくさん舞台あったし、アルタイル市だってあったのに……!
 というのを経ての《界》。今回は首都、オレド自治州(空SCのレマンみたいなもんです)、その他に5都市(正確には4都市+1か所)をめぐることができたので、個人的にはそこは満足でした。
 でもさ、まだ共和国はアルタイル市もあるからね!? ディジョン市もあるしね!? 続編が出るならいつか共和国全土を車で自由に旅させてよ!?

5.ネタバレ抑え目ストーリー感想

 ネタバレ抑え目ストーリー感想。といってもどこを抑えればいいのか……

 まずひとつ語りたい……物語の途中で思ったことがあります。黒の庭城が3ルート合同になった直後では、それまでのシリーズや宇宙進出のあらすじ、また《界》序盤で語られる不穏な空気があり、首都イーディスでは何も起こってないのに各地で不穏な空気が隠せないようなゾクゾク感がありました。言うなれば、碧の軌跡の第1章の時に似ているとでも言いましょうか。
 そしてプレイ時間40時間(物語中盤)頃では、各ルートで戦闘が盛り上がって、黒幕らしき人間も明らかになってきて……でも解決の糸口が何もなければ自分たち(主人公である)裏解決屋が何をすればいいのかもわからない。その意味では、やはり碧の軌跡の第4章のような……しかし多方面の情報を知りすぎて頭がパニックになりそうな閃Ⅲの終章ともまた違うゾクゾク感がありました。
 そして《界》のラストは……

 ちょっと空欄つけて、《界の軌跡の終わり方》について語ろうかと思います。
 注意!!!!



 いいですか? もうゲネシスは使えませんよ?



 いいですね!? もうラストの観測結果ですよ!!??





 共和国編始まって初めての「続くぅ!!!!!」エンドだった!!

 まあラスダンが地下に潜る時点で「あ、終わらんわこれ」と思いました(笑)
 まあ軌跡の伝統(たぶん)で地下に潜る時は続く、天に昇っていく時は完結する、と言うのがあるしね?
 ということで、軌跡ではたまにある「唐突な終わり方」だったわけですが、個人的にはすごい満足しているのです。
 軌跡シリーズでのいわゆる「ドンッ!」エンドとしては、空FCのワーストキス、閃Ⅰの「やめてくれぇぇぇ!」エンド、閃Ⅲの本家「ドンッ!」エンドがあると思います。
 今回は、もちろん詳細なストーリーは伏せますがいろいろとストーリーの佳境のところで「え、これどうなんの? どう収拾すんの!?」といった形でした。というより「次どうやって始まんのよ!?」と言った方が正しいでしょうか。
 ただ、個人的にテンションが駄々下がりしてしまうような終わり方ではなかったのです。だって早々に2周目を開始しましたから。
 今まで、私の中でもう燃え尽きて2周目ができないエンドというのは閃Ⅰと閃Ⅲでした。特に閃Ⅲは、軌跡シリーズ好きなのにトラウマでゲームできねぇんだわ……
 ところがどっこい、私の軌跡との出会いは空FCでした。PC版と違ってPSP版ですぐSCに続くことができたとはいえ、あれを機に奇跡沼にはまっているので、空FC自体は全く文句はないのです。

 考えてみると、空FCは物語の骨子である《軍事クーデター》はほぼ解決している。その上で、新たな黒幕の背景とヨシュアを取り戻すという課題が現れる(自分はFC→SCを連続でできたので)。それなりに批判もあるらしい碧の軌跡の《自治州併合》エンドも、碧の軌跡の主題である独立国事件そのものは解決しているので、私個人としてはまったく文句はありませんでした。
 周回できずに燃え尽きてしまったのは閃Ⅰの《内戦が帝国の佳境だと碧の頃から仄めかされていたし実際閃Ⅰのストーリーも全体としてテロリスト及び貴族派VS革新派なのに盛り上がりどころでドンじゃねぇか!?》と閃Ⅲの《オリビエ死んだしミリアム死んだし呪いはやばいしリィンはパッパに拘束されて逃げられねぇし閃Ⅰ以上にどう収拾つけんのよこれ!?》くらいでしょうか。

 もちろん、《界》は主要事件が何一つ解決していません。黎Ⅰのゲネシスにアルマータ、黎Ⅱの罪(シン)の観測にタイムリープ、《界》の残滓に宇宙計画の真の目的など、共和国編の全ての主たるストーリーラインが投げだされ(というか《界》最終盤で発生した事態に収斂し)、ここから解決(何をもって解決というのかもまだ定かではない)する方向なのだと思います。
 それでも比較的ダメージが少ないというか、いっそのことダメージがないのは、方々に理解される説明は難しいような気もしますが、世界観ではなくキャラクターの描写に関しては間違いなく物語が進んでいるという実感があるからなのか……。
 そして、何より《界》最終盤で発生した出来事によって間違いなくゼムリア世界は一歩進み、ここから新しい軌跡がまた始まるだろうと考えている。だから、時々聞かれるマイナスな感想に反して、自分は楽しかったし満足感もあるのかな、と思います。
 
 まあ、黎Ⅰが初軌跡プレイで黎Ⅱ・《界》と進んできた人は文句言ってもいいと思う! 初の「ドンッ!」エンドだし!

 ぜんぜん語り足りないなぁ……
 というわけで、ネタバレ全開の考察は別記事で語りたい!!


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記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。