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レーシック手術が激減した理由

撤退が相次ぐレーシック


私がレーシック手術した錦糸眼科が閉院しました。2015年5月頃に閉院したらしいです。私が2012年12月に手術をしたので手術してから約3年後の閉院です。

当時、おすすめレーシックのベスト3に入るほど有名だったのに…。


レーシックの成長カーブ

2000年に2万人、2004年に6万人と、急速に普及したレーシック。2008年のピーク時には45万人ものレーシックを受ける人が急増しました。


特に、2005年〜2008年までのレーシックを受けた人の増加率がすごい。

まさにレーシックバブル。

・2005年 7万8,000人
・2006年 15万人
・2007年 22万5,000人
・2008年 45万人


しかし、2009年から徐々に下降し、2014年はたったの5万人。なんと、たった6年でピーク時の9分の1にまで減っています。

そりゃ無理ですよ。ピーク時の9分の1まで減少していたら事業継続できない医院がでてきてもおかしくない。


しかし、これ見事にキレイな成長カーブを描いています。


2000年〜2008年
2万人〜45万人 導入期〜成長期(8年間)


2009年〜2016年
20万人〜5万人 成熟期〜衰退期(8年間)


ネット記事では、2008年リーマン・ショックや銀座眼科のレーシック集団感染などが引き金になりレーシックを希望する人が減少。また、メガネ女子などの格安おしゃれメガネなどが流行り激減した。と記載されていました。


レーシック衰退は本当に景気のせい?


まぁ、リーマン・ショック以降、確かに減っているので、それも多少の要因が有ると思いますが、個人的には違う角度から見てみます。


まず、レーシックを受けたいと思う人(見込客)を推測してみます。


レーシックは保険が効かないので実質30万円前後かかります。これだけの費用をかけて視力回復したいと思う人に、まず10代・20代はほぼいません。お金無いです。実際、私が手術を受けた時、10代、20代などの若者はほとんどいなかった。


40代後半・50代は子どもが高校・大学とお金が非常にかかる時期なので、自分の視力回復にお金をかけてられないという人が大多数いると思われます。

だから、50代前後でレーシック受ける人も少数派。

60代以上は「今さら視力回復しても仕方がない」と諦めてる人が大多数を占めると思われます。実際、親や周りにレーシックを受けたい?と聞いても、誰も受けたいとは言わなかった。眼鏡で十分との答えが大多数。


ですので、「30万円払って、角膜削ってまで、視力回復したい!」という見込客は28才〜46才と推測。


そこで、1970年〜1988年の出生率を調べてみました。

・1970年〜1979年生まれの合計が18,936,246人
・1980年〜1988年生まれの合計が13,095,390人
・総合計32,031,636人


この32,031,636人のうち視力が悪い人はどれだけいるか?ですが、日本は世界でもずば抜けて近視が多い国で、高校生の58.7%が視力1.0以下という眼鏡大国です。


ただし、視力0.7以上あれば車も運転できるし、メガネやコンタクトレンズも不要なので、日常生活に支障がありません。

視力0.1〜0.7の人はメガネやコンタクトレンズで十分だと思います。やはり、視力0.1以下の強度の近視の人たちがレーシックを強く希望してると予想。(私の視力は右目0.02と左目0.03の強度の近視でした)


2014年のnifty調査によると、視力1.0以上の目がいい人は全体の18%、視力0.1以下の強度の近視の人は全体の35%との調査結果がありました。中でも、30代・40代の視力0.1以下は40%越えでした。(おそらく45%あると思う)


つまり、32,031,636人の45%、14,414,236人が視力0.1以下と予想。


すでに、日本でレーシックを受けた人が200万人いると言われているので、7人に1人(13.8%)がレーシックを受けたことになる。


視力0.1以下でも、

・メガネやコンタクトレンズで十分と考えてる人
・角膜を削るのが怖くて踏み切れない人
・緑内障や白内障などの目の病気で、レーシック受けたいのに受けれない人
・レーシック受ける気満々だったが、検査の結果、角膜が薄くて断念した人
・金銭的な理由でレーシック受けれない人
・レーシック以外で視力回復した人


がいることを考えると、レーシック普及率13.8%というのはそこそこの数値だと思う。


つまり、「レーシックを強く希望する人のほとんどが、すでにレーシックを終えてしまった」ということではないかと思います。


レーシックの問題点

次に、ビジネスにおけるレーシック6つの問題点を上げてみます。

1,リピート(再購入)がない
2,価格競争が起きた結果、月100件以上手術しないと採算割れするほどの薄利多売ビジネス
3,自分の「目」という代替がないものに傷をつけるリスク(ほっとくと死ぬ等の差し迫った緊急性がない。メリットは単に視力が良くなるだけ)
4,メガネやコンタクトレンズなどの安い代替品がある(しかも安全)
5,手術に失敗したら人生が終わるいうネガティブ情報がネットで蔓延
6,眼鏡・コンタクトレンズ業界からのバッシング?


最大の問題点は、リピート(再購入)が無いこと。この商品は一生で1回しか買う機会がないので、絶えず新規を集めなきゃいけない。その割に、希望者数が少ない点だと思う。


ついでに、次の10年でレーシックを受けるであろう人数も予測してみる。


1989年〜1998年生まれ(平成元年〜平成10年生まれ)が合計12,115,662人。

視力0.1以下が全体の45%なので5,452,047人。そのうちの13.8%がレーシック手術を受けるとなると、レーシック希望の予想人数は752,382人


次の10年間(次の世代)でレーシックを受ける合計人数が約75万人と見込める。単純計算すると年間平均7万人前後に落ち着くと思う。


でも実際、2014年のレーシックを受けた人は5万人なので、上記の7万人はかなり楽観視した数値かもしれない。現実はもっと厳しいかも。


もう2008年のような年間45万人ものレーシックをすることはないと思います。完全にレーシックバブルが弾けたと言っていい。


レーシックを復活するためには?



保険が適応されて30万円の3割負担、実質9万円(10万円以下)で出来るようにすること。そして、レーシックは安心で安全という実証があれば、また普及するかもしれない


今から10年後だと、レーシック受けて10年経過、20年経過という人が現れて、レーシックは10年経っても20年経っても大丈夫。安全だよ。という声がたくさん聞けると思うから。


また、レーシックの代わりになる新しい視力回復手術が出てくると思われます。今ならICL(眼内コンタクトレンズ)でしょうね。


実際、私自身はレーシックやって良かったと心の底から思っています。
ただし、デメリットはあります。


1,ドライアイになる(朝起きたら目薬必須)
2,LED照明が眩しすぎる(目に突き刺さる眩しさです)
3,近くのものはピントが合わなくなる(たぶんキスする時、相手の顔に焦点が合ってない。逆に言うとそれくらい近づいて見る時しかピントが合わないということ)
4,昼と比べて、夜は少し見づらい(昼と比べてです)


私が感じたレーシック4つのデメリットです。まぁ、こんなデメリットよりもメリットの方がはるかに大きいので、私は大満足しています。


「視力0.02の世界」って本当に何も見えないです。

夜中、地震が来たら間違いなくアウト。何も見えないので外に逃げ出すことが出来ません。自転車に乗れません。走ることも出来ません。ゆっくり歩くことしかできません。


この状態が死ぬまであと50年も60年も続くのかと思うとゾッとします。


視力は一度悪くなるともう治らないと言われていましたが、科学(医学)の力で取り戻すことが出来ます。裸眼で遠くまで見える喜び。お風呂やプールでもはっきり見える喜び。


メガネが合わなかった時の頭痛の苦しみや、顔の印象の変化(よく怪しい詐欺師みたいと言われました)、コンタクトがずれた時や異物が入った時の激痛から解放されたと思うと、私は本当にやって良かったと思っています。


Google Trendsで「成長カーブ」がわかる



なぜ、このレーシックを取り上げたのかといえば、太陽光業界もよく似てるからです。

1,長寿命商品(20年保証)なので基本的にリピート(再購入)がない
2,国が価格の上限を設けてから価格競争が起き薄利多売ビジネスになった
3,太陽光発電しなくても電力会社から電気が供給される
4,新築時に太陽光発電が搭載されているので新規のお客さんが激減


googleTrendsを使えば、どれだけ検索されたかを見ることで成長カーブがある程度わかります。例えば「レーシック」を見てみましょう。


2013年6月を最大値100とすると、2014年からは7〜9の一桁まで激減。2021年7月は8で本当に激減しています。全盛期の10分の1です。


続いて「太陽光発電」も見てみましょう。


2011年6月が最大100とすると、今現在19前後です。全盛期の5分の1です。

Googleトレンドを使えば、成長期・成熟期がひと目で分かります。(レーシックも太陽光も右肩下がり)


今の時代、どの業界もそうだと思いますが、バブルは3年ではじけるということです。


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