14H-10のコピー

本日のウニ:バフンウニ⑩孵化前胞胚

受精後14時間後の胚です。受精膜の中で胞胚になっています。勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、前回の64細胞期が受精後6時間だったので、ここで8時間も”すっ飛ばして”います。ここが発生生物学の苦労ポイントの一つです。朝ラボに来て、精子と卵を親から出したり洗ったりして準備し、受精させ、発生させてしばらくしたらもう夕方。つまり帰宅時間です。そして、次の日の朝まで見ることができない。これ嫌ですよねー。夜の時間帯にどれだけ重要な現象が起きているかわからないからです。当然、受精時間をずらしたり、温度を変えたり、他の人に頼んだりしてなんとか間をつなぐわけですが、それでも、8時間程度の空白はできてしまいます。個人で実験しなければならない場合は本当に大変なポイントです。特に子供がいて送迎や家事をこなす立場の人たちにとっては、なかなか自分一人でこなすことは難しい分野だと思います。ですが、実際にこなしている研究者もまたたくさんいてただただ頭が下がります。また同時に、世界中皆で難しいと思っているので、解決すべき謎がたくさん残っていて、学問的には宝の山だとも思います。研究自体は楽しいのに生活とのバランスがねーという言葉を発せずに済むような世の中になってほしいのと、それを支えるテクノロジーの進歩が待たれます。

孵化前胞胚では64細胞期の時に書いた各細胞の形態変化および隣り合う細胞同士の強固な接着がより顕著になり、一層の細胞層からなる胚になります。中央に見える空洞は「胞胚腔」と呼ばれ、様々な細胞外物質が密に存在しています。この時間帯では、各細胞の外側に向かって繊毛という細胞小器官が機能するようになり、受精膜の中でぐるぐると回るように泳ぎ始めます。各割球が同時に分裂していた発生初期とは違い、各細胞が各々のタイミングで割れていくようになります。割れるタイミングのルールがあるのかもしれませんが、私は知りませんので誰か教えてください。

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