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♡今日のひと言♡ 新美南吉


筍・・・たけのこ       新美南吉 

・・・人間の心を筍の皮をはぐようにはいでいって、その芯にエゴイズムがあるといふことを知る時われわれは生涯の一危機に達する。つまり人というものは皆究極に於てエゴイストであるということを知るときわれわれは完全な孤独の中につきおとされるからである。しかしここでへたばってはいけない。ここを通りぬけてわれわれは自己犠牲と報いを求めない愛との築設に努めなければならない。こういう試練を経て来た後の愛はいかにこの世をすみよいものとすることであろう。     

『日記』(1937・3・1)


『手袋を買いに』(1933) 新美南吉・著/ 黒井健・絵 1988 偕成社


新美南吉(1913―1943 愛知・児童文学者)

10代の末にすでに『赤い鳥』に「ごんぎつね」その他が掲載された。1932年(昭和7)東京外国語学校英語部入学、小説、童話、童謡を書く。卒業後、貿易商に勤務したが喀血で帰郷。不遇な時代を経て、38年安城高等女学校教諭となる。また巽聖歌編の『新児童文化』に「川」「嘘」などを発表。41年『良寛物語・手毬と鉢の子』を、42年第一童話集『おぢいさんのランプ』を刊行。同年5月には「牛をつないだ椿の木」「百姓の足・坊さんの足」ほか数編の傑作を集中的に書くが、翌年3月咽喉結核で没。死後、第二童話集『牛をつないだ椿の木』、第三童話集『花のき村と盗人たち』(ともに1943)が刊行された。その作品は第二次世界大戦後高く評価され、宮沢賢治と並び称れている。

2024.8.29
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福田尚弘
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