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Webサイトのユーザビリティとは?ユーザー体験(UX)を交えながら基本を解説します。

ユーザビリティとは簡単に言うとWebサイトであれば「サイトの使い勝手」つまりユーザーがサイト上での目的を達成する時のサイトの「扱いやすさ」を指す言葉になります。近年では「ユーザー体験(UX)」として論じられることが多くなってきましたが、ここではユーザビリティの基本をユーザー体験(UX)と交えながら解説していきます。

そもそもユーザビリティとは

ユーザビリティとは、製品やサービスなどの「使いやすさ」「使い勝手」を指します。ユーザビリティの国際規格である[ISO 9241-11]では、ユーザビリティ=「特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い」とされており、さらに以下の4つの指標で定義されています。

①有効さ (effectiveness)
ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性。

②効率 (efficiency)
ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源。

③満足度 (satisfaction)
製品を使用する際の、不快感のなさ、および肯定的な態度。

④利用状況 (context of use)
ユーザ、仕事、装置(ハードウェア、ソフトウェア及び資材)、並びに製品が使用される物理的及び社会的環境。

簡単に言い換えると『ユーザーがモノを扱う際にそのユーザーが自身の目的を問題なく遂行することができ、満足することができるか』ということになります。

さらに、Webユーザビリティの権威であるヤコブ・ニールセン『ユーザビリティエンジニアリング原論』(1994年)は、インタフェースのユーザビリティを以下の5つの構成要素から定義しています。

①学習のしやすさ
システムは、ユーザがそれを使ってすぐ作業を始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。

②効率性:
システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。

③記憶のしやすさ
システムは、不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。

④エラー
 システムはエラー発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。

⑤主観的満足度
システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう楽しく利用できるようにしなければならない。

つまりユーザビリティでは、人間中心の観点に立って製品(システム)とユーザー双方の優良な関係を築くために「どのようなものを作るのか」といった基本構造を設計の上流から考え、「有効さ」「効率」「満足度」を達成できる設計をしていくこと重要としています。

特にWebサイトでは、ユーザビリティの課題がさらに複雑になります。なぜならWebサイトは工業製品のような「物」とは違い、それ自体に「場」や「空間」「空気」のような側面を持ち合わせているからです。さらにWebサイトでは訪れたユーザー層ごとに目的や使い方が異なります。

例えば企業サイトであれば、顧客は自社の製品情報や購入を目的に訪問し、株主であればIR情報を閲覧するために訪問し、就職活動しているユーザーであれば採用情報を得るために訪問するでしょう。訪問するであろうユーザー層がどういった物なのか、どのような目的を持ってやってくるのかを想定して、ユーザーが行動しやすくするための設計が必要になります。

ユーザー体験(UX)とは

「UX」と言う言葉も皆さん耳にすることがあると思いますが、ここでもう一度おさらいしておきましょう。

UX(User Experience)とは製品やサービスを「知る」「買う」「使う」などの一連の行動の中で得る時のユーザビリティや体験を指します。Webサイトでは、ユーザーがWebサイトを利用する過程において、何を見て、読んで、受け取って、最後に何を感じ取りどのような行動を起こすに至ったのかの一連の体験に配慮して設計します。これをUXデザインと言います。

しかし、Webサイトの本来の目的は運営者側のビジネス目的とユーザーの目的双方の達成と言う2軸から成り立っているので、ビジネス視点とユーザー視点の両方の観点になってサイト上にどのような導線を設計するのかを考えることが前提、その上でユーザーの感情や思考、行動に訴えかけるための施策を施していきます。

つまり、UXデザインの本質的な考え方は、ユーザーが達成したいであろうタスクを引き出し、それによってビジネス目的を達成していく方法を考えていくことになります。

良いユーザー体験を提供するためのユーザビリティの考え方

ユーザビリティにおいてユーザーの体験を向上させていく命題を理解するために、情報アーキテクチャ論の先駆者であるピーター・モービル氏はユーザー体験を構成する要素を次の6つとして示しています。

①役に立つこと(Useful )
「製品を詳しく知りたい」「購入したい」など、何かしらの目的を持って訪問したユーザーのニーズに応えられること

②使いやすいこと(Usable)
ユーザーが使いやすい画面設計・導線設計・機能設計を実現できていること

③探しやすく、見つけやすいこと(Findable)
ユーザーが望む情報へ迷うことなくスムーズに誘導できる設計ができていること。サイト内における探しやすさだけでなく、検索エンジンやSNSにおける見つけやすさも

④信頼できること(Credible)
情報の信憑性や提供元に対する信頼性があること

⑤アクセスしやすいこと(Accessible)
様々な状態のユーザーがアクセスすることを念頭し、誰もが利用できるWebサイトになっていること

⑥好ましいこと(Desirable)
ユーザーの興味関心を惹きアクションを起こさせるためには、情動的なデザイン(エモーショナルデザイン)であること

特に6つ目の指標は普段私たちが見ているWebサイトの「表層的なビジュアル」の部分になりますが、全ての要素を紐解くとデザインで考えるべき重要な要素は実は他にもたくさんあることが分かりますね。

この6つの指標はWebサイトを企画する際のユーザビリティ設計だけでなく、既存サイトの中の問題点や課題点を見つける際にも役に立ちます。Webサイトの目的に応じてどの要素を強化していくことが重要なのか、あるいは何が足りていないのかな探るヒントになりますので役立てていきましょう。


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