MS-15KG ギャン・クリーガーはあと10年戦える
これはちょっと説明を要する機体なんですが、戦略級シミュレーションの神ゲー『機動戦士ガンダム ギレンの野望』では、一年戦争後半に次期主力MS開発計画というイベントが発生して、ジオニック社のYMS-14 ゲルググかツィマッド社のYMS-15 ギャンのどちらかを選択するとその系統の後継機が開発可能になり、選ばなかった方は開発系統樹が閉じるというifシナリオがあったんですね。
もちろんこれは実際に行われたMS選定コンペをゲームに反映したイベントだったんですが、史実で選ばれたゲルググではなく、ギャンを次期主力機に採用できるという、ツィマッド贔屓には垂涎のifシナリオだったわけです。
で、このMS-15KG ギャン・クリーガーはifシナリオでギャンを選択すると開発可能になる完全上位互換機であり、ゲルググ系統におけるMS-14JG ゲルググ・イェーガーに対応した機体となります。
次期主力MS選定コンペで軍部が入札メーカーに課していた要求はビーム兵器の実装で、当然これは連邦軍の本格的なMS配備が進む状況で、特に火力での劣勢を挽回する意図があったわけですが、ジオニック社が要求通りビーム・ライフルを実装したゲルググを提出してきたのに対して、ツィマッド社が提出したギャンはビーム・サーベルを主兵装として、ほぼ格闘戦に特化した機体でした。結果としてコンペではゲルググが選ばれたことは周知の通りですが、ギャンはビーム兵器こそジオニック社に見劣りしたものの、股間の流体パルスアクセラレーターによって極めて高い運動性能を獲得した、ツィマッド社らしいユニークな機体でもありました。
ギャンの完全上位互換機である本機の主兵装はヒート・サーベルを強化したヒート・ランス。かなり大型化したので取り回しが悪そうに見えますが、考えてみたらビームに質量はないので問題ないでしょう。防具の内部に実体弾倉があり、盾表面に射出口があるという設計がリスクしかなかったミサイル・シールドは流石に見直されて、ランチャー・シールドに改められています。小ぶりになった盾の裏側に2連装のランチャーを付属する形になっていて、MS-07B3 グフ・カスタムのガトリング・シールドを小型化したような感じです。ランチャーは実体弾のグレネード説もありますが、弾倉も給弾機構らしきものも見当たらないので、ここはツィマッド悲願のビーム・ランチャー説をとりたい。持ち手のジョイント経由で本体のジェネレーターから電力を供給していたんじゃないかなと。
兵装以外では推進系が大幅に強化されていて、左右肩部に各スラスター1基とサブスラスター2基、両太腿部に各スラスター1基、バックパックにもサブスラスターが増設されています。
詳しい性能諸元が分からないのですが、ゲルググ系で本機に相当するMS-14JG ゲルググ・イェーガーはゲルググの3倍以上の推力を獲得しているので、本機も同程度の強化をされていたとすれば総推力16,800kg程度はあったのではないかなと。これは一年戦争最末期に開発されたME-18E ケンプファー(15,900kg)や次世代機のMS-14J リゲルグ(15,800kg)を超える大推力で、ほとんどオーバーテクノロジーの水準ですね。
ifシナリオで開発可能となるギャン・クリーガーは、まさにギャンの進化形としてMSにおける格闘戦を極限まで追求した機体となっていて、格闘能力の高いドズル・ザビ中将やマ・クベ大佐を乗せて溜飲を下げていたユーザーも多かったはず。一年戦争をジオン公国勝利で終わらせたあとに始まる第2部では、敵対勢力となるティターンズやエウーゴなどがガンガン次世代機を投入してくるので、戦力的に一年戦争期の旧式機が多い公国軍は序盤苦戦しがちですが、そのなかでガルバルディやハイザック程度なら互角以上に戦ってくれる本機はとても重宝しました。乗り手によっては終盤近くまで活躍してくれます。PSP以降のプラットフォームでは『ギレンの野望』がリリースされていないので、なかなか機会はないかもしれませんが、一度は開発して連邦軍やティターンズの奴輩をガンガン串刺しにしていって欲しい機体です。