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島根県の県立高校には修学旅行がない!?

1.”普通ではない”島根県の県立高校

実は最近、島根県立高校出身の大学生の中で話題になっていることがあります。

それが”島根県の県立高校には修学旅行がない”という事実です。

最近記事にもなりました。
https://news.livedoor.com/article/detail/23303654/

卒業生の多くが、在学中はそれが当たり前だと信じて疑いませんが、大学等で他県の子たちと触れ合う中で自分たちが”普通ではなかった”ことに気づきます。 

2.修学旅行がない実態とは?

公益社団法人日本修学旅行協会によるとコロナ禍に入る前の2018年度は98.7%の高校で修学旅行が行われています(抽出調査)。
しかし、島根県は私が県教育庁へ質問状を送ったところ、35校中30校で実施がありませんでした。

私の質問状の回答にも記録がないとして県立高校に修学旅行がない理由はわかりませんでしたが、私の母校からは「県教委員会の方針によるところが大きかったと推察します」との回答がありました。

そこで、私自身も修学旅行を経験したことのある県立高校の卒業生等に聞き取り調査を行い、その理由について以下の4点が推察されました。

・金銭的な理由によって参加できない生徒が一定数いたため、参加できない生徒への配慮や不公平であった等の理由から実施をとりやめた

・進学熱の高まりなどによって参加者が減り、集団で行う教育活動としての意義を見出せなくなった

・当時は家族旅行ができない家庭が多く、教育活動として県外へ旅行する意義があったが、家族旅行に行ける家庭が増えて、その意義が失われた

・全員参加の他の宿泊研修に置き換えられることによって修学旅行の形を失った

また、私の母校にいつ修学旅行が廃止されたのかと尋ねたところ、こちらも記録がないとのことでしたが、私自身が必死に調査した結果、昭和40年3月末の17期の修学旅行を最後に廃止されたことが分かっています。
さらに、私の母校では時間の確保が難しいことなどを理由に現時点での実施は考えていないと教えてくださいました。

上記の記事では、「県から修学旅行をやってはいけないとは言っていない」とのことでしたが、私の質問状の回答には「学校長の判断を尊重する」として県としても実施は求めない考えを明らかにしています。

このように私は高校在学中から島根県の県立高校に修学旅行がないことを疑問視してきました。

・お金がない家庭もある
・授業時間を確保できない

本当にそうでしょうか?
それはやらない言い訳なのではないですか?

島根県だけ金銭的、時間的問題を解決できないというのはやはりおかしいと私は思います。

もうひとつよく言われるのが
・研修旅行に代替できる、効果は研修旅行の方がより大きい
と言う主張。

上述の記事にも研修旅行を導入する県立高校が増えているとの指摘がありました。

研修旅行で京大に行きました。
京大に感動したから京大に進学しよう。

こんな単純に目指す進路を決める子どもたちがどれくらいいるのでしょうか?
いないとはいいません。
でも、進路選択とは人生の中でも大きな決断です。
それをこんなにも単純に決めていると考えているのならばそれは子どもたちへの理解が足りないと私は思います。

科学に触れる機会があれば、多くの子どもたちが科学を志すよね。と関西に行く。

本当にそれは関西に行かなければできないことなのでしょうか。
島根にいてはできないことですか?
オンラインではできないことですか?
いまいちど考える必要があるでしょう。

さらに宿泊を伴っていても、朝から晩までみっちり予定が決まっていて自由時間などない。

そのような研修に意義があるとは私は思えません。

私は自分の足で歩き、目で見て、耳で聴くことを何よりも大切にしています。
中学の修学旅行で実際に”生の声”を聴いて、机上で考えることと現実とのギャップを感じたからこそ、大切にするようになったのです。
それは民泊に行った際の自由時間で沖縄の島民の方との会話から生まれた想いでした。

私の尊敬する国際交流を経験した方も自由時間からしか生まれない大切なことを指摘されていました。

県は修学旅行の代替行事として研修旅行をすることに対して「学校長の判断を尊重しております」とこれも評価を避けています。

つまり、修学旅行は学校長がやる!と決めれば導入できるのです。

私は改めて、島根県の県立高校に修学旅行を復活させるべきだと訴えます。

3.修学旅行はやるべきだ!

そこで私のこれまでの提案と先日、私が参加した津和野会議で話題となった1つの事例をご紹介したいと思います。

①新しい修学旅行”県内修学旅行”
島根県は東西に長く、西部の子は東部を知らないし、東部の子は西部を知りません。隠岐のことはもっとわからない。
だったら、東部の子は西部や隠岐に、西部の子は東部や隠岐に、隠岐の子は本土に修学旅行すればもっと島根県のことを知ることができます。

島根のことを知った気になって、都会の方がいいと県外へ出て行く学生たちに気づいていない島根の魅力を気付いてもらうチャンスにすればいいのです。

ここで
・県内を修学旅行して楽しいわけがない
こう言う指摘もあろうかと思います。

私がコロナ禍で県内修学旅行を実施したとある学校の生徒を対象に調査したところ、満足度には県外修学旅行との差はみられないことがわかりました。

また、県内修学旅行が県内の魅力を発見するうえで有効な手段であること、一定程度、地元愛や地元への誇りの醸成につながることもわかっています。

生徒の自由記述からもそのような記述が多数見られたほか、自分の進路と向き合ったとの回答もありました。

私は夏に大学生と一緒に島根を巡るツアーに参加しました。
夜の自由時間には学生たちが自分の進路や夢、悩みを語り合う姿がそこにはありました。

研修旅行で自由時間もなく、大学や企業を訪問し、講演会を聞くだけそんな形よりもよっぽど進路を深く考える機会になります。
修学旅行がキャリア教育の一面も見せるのです。

②新しい修学旅行”スタディーツアー”
これは新渡戸文化中学・高校の事例です。

先日参加した津和野会議で話題となりましたのでご紹介します。

詳しくは下の記事をを読んでいきたいですが、生徒たちがテーマを出し合い、それらの声を教員が拾い、適合する地域や事業所を探し出すんだそう。
そして、その地域に入り込んでプロジェクトを行い、帰って報告会をします。

高校生が”自立型学習者”として自分たちでやりたいこと、行きたい場所を決める新しい修学旅行です。

これを島根県で導入すれば、他地域の事例を学び、地域に入り込むことで自らの地域でもと地域活動に繋がることでしょう。

地方の学校が都会に行くのではなく、あえて地方へ行くと言う選択肢もあるのです。

こうすれば、家族旅行でも行けるなんて指摘は当てはまらなくなります。

これこそ私たちが追い求めてきた探究なのではないでしょうか。
修学旅行がキャリア教育、さらに探究学習にもつながるのです。

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/support/information/CO036603/20220517-OYT8T50017/

スタディーツアーを受け入れた「株式会社イツノマ」の中川さんがその意義を語ってくださっています。
合わせてご覧ください。


4.まとめ

修学旅行のない島根県の県立高校。
修学旅行を実施しなくなった原因が上述したようなものならば、その当時の判断から55年以上が経過した今、改めて検討する必要があるでしょう。

“新しい修学旅行”も生まれ、当時は意義がないとされた修学旅行も変わってきました。
修学旅行が、ただの思い出作りに留まらない、大きな意義を生み出せることがわかってきました。

私はこれからも”島根県の県立高校に修学旅行を!”と訴え続けます。

皆様にご賛同いただければ幸いです。

長文、拙い文にも関わらず、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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