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茶道具

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2022年6月の記事一覧

ぶた・蓋・ブタ

ぶた・蓋・ブタ

当家では隔年夏場に、茶箱と蓋の扱いが
難しい物とを交互に勉強します。
若い頃はどちらも一緒にやっていましたが、
覚える方は混乱したようです。
中途半端になってしまいました。

そこで近年は、きっちり点前を分けて学びます。
今年は「蓋の年」です。
毎回蓋の扱いの先陣を切るのが「葉蓋」点前。
11代家元が大きな花入れの落としを、水指に
見立てたのが始まりです。

七夕に寄せた点前なので、本来は「梶の葉

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見立ての茶道具

見立ての茶道具

ヨーロッパ特にイギリス・フランスでは、
カフェオレを手付きカップよりボールで
飲む習慣が・・・
そのボールを、まさしく茶碗に見立てる事が
出来るのです。

画像の品はお馴染みの新宿伊勢丹、洋食器の
売り場で発見。最初見た時、何に使う器か
分りませんでした。

店員さんに尋ねると「そちらはカフェオレの
器です」と聞いてびっくり!イギリス・ロイヤル
クラウンダービー社製でした。
抹茶との色映りも良く、

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耳

茶道具には、茶入・花入・水指などに
耳が付いています。その形も多種多様です。

その昔京都在住時、25日は北野・天神市へ
良く出かけました。
そこで見つけたのが、この刷毛目水指です。
何とビックリ!茸の耳が付けられています。

「この場所では、標準語で話すとボラレル」
との伝説に従い{おっちゃん、これなんぼ?}
「はい3000円木箱入り」{ふーん}演技で
気の無い返事。

参拝を終えて帰路、くだん

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灰器

灰器

茶友がやって来た時、社中が炭手前を
していました。「ねえいつもなら香合を
ほめるんだけれども、今日は別の物に」
微笑みながら言います。

{まあ我が社の道具は、いづれも私が心配り
して選ぶから・・・何に感激しても驚かない}
「灰器よ!すごくお洒落な色と柄。こんな所まで
見立ての道具が有るなんてね~恐れ入りました。
それでどこの国の焼き物?」

{メキシコのアカプルコへ泳ぎに行った時に、
見つけた品

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貴人茶碗

貴人茶碗

私が若い頃、貴人茶碗と言えば「純白で
天目形」と決まっていました。これは恐らく
「一回ごとに新しい茶碗に替える」約束から
来た物でしょう。

近年は新しい茶碗で、貴人台に乗るものならば、
どんな茶碗も使える様になりました。
今回のは黄瀬戸です。

かの新宿伊勢丹の食器売り場で、発見しました。
聞けば「ご飯茶碗」との事、ぴったりのサイズ・
形に喜び購入しました。
値段は大きいお札一枚に、近い高値です

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木目

木目

炭手前{炭のみ手の字、使用}で、香合が
拝見に出されました。運良く?運悪く?私が、
客をしました。

{この出し方は駄目!}一刀両断です。
手前をした人は、目をパチクリ「先生何が
駄目なのでしょうか?」{蓋の柄はどちらを
向いても大丈夫ですね、問題は中、蓋と身の
木目は確認した?蓋と身の木目が逆です}

「すいません、そこ迄見ませんでした」
{木目の見える品は、特に注意して下さい。
いづれにしても

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色絵茶碗

色絵茶碗

私は茶碗の中でも、色絵特に花文様
が好きではありません。こういう
一碗が出ると、部屋が華やか・賑やか・
になってしまう気さえして・・・
又香合・薄茶器・菓子・などに、その花と
同じものが出る心配も有ります。

ですからなるべく使いたくないのですが~
女子供の為に時折登場させます。
すると概ね花柄に目が行ってしまい、肝心の
お茶の点て具合を見ていません。

まだしも色絵の中でも、自然の情景や面白い

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開閉

開閉

一位一刀彫の傘型香合を、床に飾りました。
するといつも鋭い質問をするお弟子から
「先生今日外は降っているのに、どうして傘は
閉じているんですか?」うれしい問い掛けです。

{外は割合沢山降っているでしょう。だから
室内は、止んでいる風情にしたいの。ある意味
陰と陽かな}などと、もっともらしい理由を
付けました。

本来外が雨なら陰で、内は陽で「お日様」を出したい所
です。何しろ梅雨のさなか、雨が続

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雨漏り

雨漏り

世に言う「雨漏り手」の茶碗が、大好きです。
恩師から「大川君雨が嫌いな筈なのに、茶碗は
別みたいね」と冷やかされる程でした。

焼きが甘い物には、良く雨漏りが出て来ます。
この画像の自慢の珍碗「無地刷毛目」にも・・・
萩焼・高麗の粉吹・などには、割合と見かけます。

まあ一年中雨は降りますから、何時使っても良い
のでしょう。確かに深めの茶碗にも、雨漏りは
出ています。

それでもやはり「雨」の言葉

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河太郎

河太郎

U流四代仙叟好みの薄茶器です。
蓋の中央がくぼんでいて、そこに水を貯める
河童になぞらえての「河太郎」の名称です。

私は名字に「川」が入るせいか、川の字・
水の字・が入っている掛物を良く使います。
水の流れなら、花入れや香合に「舟」流水蒔絵
の薄茶器かこの河太郎が大活躍。

若い頃恩師の稽古場で、この河太郎を使いました。
「さあどんな銘の茶杓かな?」と聞かれ「遠野」
とお答えしました。「なるほど

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普段使い!?

普段使い!?

「先生、素晴らしい水指ですね。茶会用ですか?」
{ほらコロナで茶会も激減。次に何時使えるか
分からないから、普段使いにしようと・・・}
「そうですね、完全に元には戻らないかも
知れませんね。いくらか茶会の話も聞きますが」

{それに自分の年齢・体力・知力・も有るから。
茶会用だった道具も、次々使わなきゃね~}
「この見事な釉薬は、高取焼ですよね」
{そうですよ、高取の作家さん教えたけれど。
覚えて

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北欧

北欧

この見立ての茶碗、元はなんだったと
思われますか?
百貨店勤務時代同じフロアーの洋食器売り場へ
、良く遊びに{美術品売り場はヒマ}行きました。

そこで出会った品です。直径30センチ位の大きな
サラダボール。六色の取り皿がセットになっています。
その取り皿の一つです。
少し高台が大きいのですが、形はやや開いた姿なので
例年6月に登場します。メーンの大鉢は蓋を付けて
水指にしました。取り皿は自慢して

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掛け軸

掛け軸

現在床の間の掛け軸は、禅語一行が
主流となっています。古くは横物や二行も
使って来ました。
これではいかんと私も手持ちの二行を、
使って説明をしました。

長い禅語・漢詩・対句の有る物などは、
どうしても一行に収まらなくなります。
古い軸では横書きも、多く見かけますが・・

「行到水窮處 坐看雲起時」有名な王維の
漢詩を、明治の二条公爵が書かれたものです。
この言葉を、別々に一行にした物は見かけま

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