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茶道具

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2021年9月の記事一覧

茶道具百話 侘び・寂び

日頃の稽古道具、侘びや寂とは遠い品ばかりです。

流石に秋めいてくると、備前・信楽などの{土物}

などを使いたくなります。

以前は四畳半の茶室を持ち稽古していましたが、

現在の八畳間では・・・どうもワビ・サビの雰囲気

が出ません。風炉の置位置を変えて見たり、風炉先を

動かしてみたりしますが、どうも難しい~

恐らくこの問題は私だけでなく、日本中の先生方が

抱える悩みでは?

「先生がも

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茶道具百話 安南

茶道具百話 安南

蜻蛉は別名{勝虫}の故か、昔から好まれた

文様・図柄です。そうして見ると、この安南茶碗も

日本からの注文品かも知れません。

安南の焼き物は好きですが、道具屋さんから

注意された事が有りました。お馴染みの柿形香合

「あれの中には、現地でのどぼとけを入れた品も

ある」と聞かされました。それ以来不気味で、柿香合

は手放しました。

安南は、恐らく中国の染付を目指したのでしょう。

土・顔料

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茶の湯稽古場から 遠忌

茶の湯稽古場から 遠忌

九月七日は、14代家元淡々斎の御命日です。

毎年この日近くの稽古では、染筆・箱書き・お好み道具・

など何か一つ、所縁の道具を使います。

本年は珍しい品を!面取・錫縁・高台寺蒔絵の香合です。

蓋裏に弟君 井口宗匠の在判。箱書きを15代家元の

弟君で淡交社を率いておられた納屋嘉治様。千家では

次男以下の方は、千の苗字を使えません。それで別姓に。

ともかくご次男コンビの道具で、淡々斎遠忌に

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茶の湯稽古場から 理解

茶の湯稽古場から 理解

水屋の棚に「白丹波」の茶碗を出して置きました。

その茶碗を持ち出した最古参の弟子{30年選手}が

「先生良い茶碗ですね!」私{どこが?}「白秋の白、

栗の産地の丹波と、両方を兼ねていて」

嬉しくなって笑いました。苦節○○年、教えて来て

ようやく社中が育ちました。四季の色、青春・朱夏・

白秋・玄冬・が見に付いた様です。そして茶碗の産地

である丹波と栗との連想もGOODです。

さて夜に

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稽古日誌 母の

稽古日誌 母の

命日が十四日になります。毎年追善の道具を

出しますが、本年は控えめに・・・?

香合に母の干支{兎}花入れに{破れ瓦}

主菓子は好きな紫の{桔梗}これは鶴屋吉信製

ですが、デザインが薔薇か鉄線の様にも見えます。

画像は次の俳句の所へ~

普通なら仏事関連の道具をたくさん出す所ですが、

先月の恩師追善・11月の祖父・父・伯母の命日が

続きます。そこへも道具を出すので、毎年頭を

悩ませま

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茶道具百話 見立て

茶道具百話 見立て

実に多種多様な器を、水指に見立ててきました。

これは、フィレンツエで滞在したホテルの前にあった

陶器店の品物です。コルクの大きな蓋が付き、何と

パスタ入れとの事でした。

形が四角なので、丸い棚・特に宗旦丸卓にはぴったり

合いました。見立てで一番多いのは、何と言っても

香合でしょう。次いで茶碗・建水です。水指は

少し難しく、逆に花入れは簡単です。

見立てで重要なのは、茶道具の寸法を熟

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茶道余話 棚

棚の点前で水を注ぐ時、U流では二本柱

=そのまま動かさない{片口使用}

四本柱=下ろす{薬缶使用}が一般的。

所が三本柱=地板一杯出す・半出しと言う

のも有ります。これが存外難しく、重いと

持ち上げられず板に擦り傷を・・・

また釘の付いた棚は、柄杓を掛けます。

この時足元へ蓋置を置きますが、これも棚により

下ろしたり・そのままだったり~

棚点前と一口に言っても、U流ではお好みが多

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俳句 微風

「薄芦 荻の穂少しの 風に揺れ」

これが微風でしょうか?殆ど体に感じない

のに、目の前の草の穂は揺れています。

やはり開いた穂には、風が必要です。

穂のなびく先が、本物の秋なのですね。

俳句 虫の声

「古書めくる 廊下の先の きりぎりす」

和歌の古書を紐解いていました。何冊か

積み上げ、勉強中です。

お茶でも飲もうと立ち上がった瞬間、虫の

声が聞こえました。それさえ聞こえない程、

本に打ち込んでいたのでしょうか?

茶道余話 中置

他流の茶友の家に伺ったら、丁度中置の稽古を

していました。驚いた事に竹台子の中央に、切り掛け

朝鮮風炉を乗せています。左斜めに細い水指!

{我々の流儀だと寒くなって来たので、お客の方に

火を寄せる。それと侘びた、鉄風炉なんか使うんだけれど}

「いいえうちでは、信長公拝領の風炉釜を披露するのが

目的。だから真中に、風炉釜据えるの」

流儀により、点前の伝承は随分違うものです。

でもやは

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茶道具百話 長崎

茶道具百話 長崎

長崎の焼き物としては、茶方の人々には平戸焼・

長崎三彩・などが聞こえています。東京方面では

余り知られていませんが「現川焼き」が好きです。

佐賀県との県境に近く、薄手の焼き物です。

一番よく見かけるのは、鷺文様の器でしょう。

刷毛目に鷺の柄なら、現川と思って間違いないでしょう。

鷺は路を開く鳥、との意味で喜ばれているとか・・・

刷毛目の技法も実に沢山あり、魅力的です。

この画像の{

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