失敗という名のバベル
天気のせいか 気圧のせいか
全然寝れなかったせいか そんなことはわからないけど
ひどく身体が重い おかげで酷い夢を見た
事実は小説より奇なり というけれど
私にとっては 事実は小説より残酷なり なんだ
失敗というレンガでひたすら積み上げられる塔
そのレンガはどれも歪で醜く 今にも崩れそうだ
いつの間にか 高い塔を作ることで頭は満たされ
どんな小さなレンガでも必死に積み上げていく
「その先には何があるんだい?」と誰かが聞く
「きっと成功が待ってる」そう私は答える
いつの間にか誰もいなくなり 孤独な塔になった
高くなればなるほど 横から吹く風は強く
地面からの揺れは大きく 私は振り落とされそうになる
「これ以上は禁じられた領域」と言わんばかりに
まるで誰かが邪魔しているように
遂に 最後のレンガを積み上げた
塔の頂上には似つかない とびきり巨大なレンガだ
最後に積み上げた瞬間 音を立ててすべてが崩れた
私はレンガの下敷きになって 地面まで叩き落される
これまでの時間 やってきたことが無下に散り
どこへも行けぬバベルだったことを知る
もう 身動きが取れない 助けてと叫ぶこともできない
心は涙で溢れていた そんなこと気づきもしなかった
「大丈夫?」と声がした
「ボロボロなんだ」とありのままを答えた
「そんなことをするからだ」と咎められた
「大丈夫です 抜け出せます」と訂正した
それ以降 声はなくなった
助けは来なくて自力で抜け出すしかなかった
塔の跡地には「過去」という立て看板が立った
決して美化されないそのバベルの塔を
これからも眺め続けることだろう
あれが私のこれまでだ と
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