絵を描くこと
「絵を描くこと」について最近よく考えているので過去を振り返ってみる。
学生時代から今に至るまで。(長い)
最近、高校の友人たちと母校に行く機会があった。
私の母校は美術科があり、3年間美術大学受験のための学びができる。
1年の頃はみんな同じ内容の授業を受け、2年からはそれぞれの科(油絵、日本画、デザイン、などなど)に別れてより専門的な知識と技術を身につける。
私はデザイン科に進んだ。理由はデザイン科の教室が気に入ったから。
当時の私は他のみんなより絵が下手で、やる気もあまりなく、不真面目でおまけに勉強もできない学生でした。
そんな学生時代の授業というのはひたすら大学入試に出されるであろうデッサンや色彩構成などの課題をこなして行くもので、今思えば楽しかった記憶はあまりないし、自分なりに頭を使って作ってはいたがいろいろ足りてなかったなぁ〜と思う。そもそも、美術大学に行こう!という気持ちが初めからなかった。なぜ美術科のある高校に行ったのかというと、中学の頃は純粋に絵を描くのが楽しかったからだと思う。小さいことから絵を描くことだけは好きで小中高、部活も美術関係だった。
小・中学生の頃は主に漫画の模写をよくしていた記憶がある。あの頃は誰かの真似ばかりしていたように思う。好きだなと思った絵をよく真似ていた。
なので、あまりオリジナルで描いていた記憶はない。
あの頃は他の人より、多少お絵描きができるといった感じ。誰かの真似でも、やはり描くのは楽しかった…そんなお絵描き楽しい!といった気持ちのまま、美術科のある学校ならもっと絵が描けるかな?という軽い気持ちで高校に入学した…。
なので他のみんながどのような気持ちで入学したのかはわからないが、私の場合「絵をもっと描きたい」という気持ちだけだったのでその先にある大学受験の事なんて全く考えていなかった。
美術科のある高校なので同級生は当たり前だがみんな絵が描ける。
しかも自分より上手い子がめちゃくちゃいる。
早い段階からすでに何かをあきらめていた感じはある。
私はみんなより絵が下手なんだ…と。そこから一念発起して真面目にもっと頭を使って頑張っていれば今色々と状況は変わっていたかもしれない。
しかし、その状況を受け入れて、自分はこの程度であると納得してしまった。そして3年間パッとしない学生生活を送った。
大学受験も、周りは某有名大学に入るために一生懸命課題をこなしている中、美術以外の成績も悪かった私だが、進学する事に決めた。(親にも先生にも多大な迷惑をかけた。勉強しろ)もちろん、入ってからどうしたいかという明確なビジョンなんて描いていなかった。頭も悪い、絵も下手な自分でも入れそうな大学を先生にいくつか探してもらい、美術系の短大に確かAO入試で入った。とりあえず、地元から出たい気持ちが強かったので県外の大学には入りたかった。(県外に出たいから進学を選んだという事)
入った学校は、私含め生徒たちはふわふわ〜とした方が多かった。
高校は「大学受験」という大きな目標があったのでみんな熱意がすごかったんだな…と改めて思った。
そんなふわふわな大学生活、一応大学でもデザイン科に入り、多少外の世界に向けた課題などをこなしていった。が、熱意のある高校時代(自分以外)を経験した身からすると何とも楽というか、緩いというか、課題の締め切りを平気で破る学生が多く驚いた記憶がある。
なんたって、この大学に入って初めてデッサンをしたという子もいたのだ。
この時も、今の現状に満足せずにもっとやる気を出せば良かったのだ…
一応真面目に学生をしていたが、次は就職活動というものが待ち構えている。この頃、「絵を描く」というよりはデザイン的なことを学んでいたので就職先もデザイン会社とかそこら辺なのかな〜と他人事のように考えていた。就活はほとんどやらなかった。
短大を卒業してからは地元には戻らず、しばらくはニート状態でバイト先を探していた。
そんなお先真っ暗な状態でのほほんと過ごしていたら、ある日、大学の教授から連絡があり、知り合いの印刷会社が今デザイナーを募集しているので受けてみないか?とのお声がかかった。一応真面目な学生のふりをしておいて良かった思う。先生、ありがとうございます。
そんなこんなで、お声がけいただいた会社に入社することになり、一応「デザイナー」として社会人の仲間入りができました。
その会社では、約3年間お世話になった。デザインやデータの作り方、考え方など基本的なことを1から教えていただき、同時に最年少でもあったのでとても可愛がってもらった。小さな会社ではあったけど、楽しく仕事をしていたように思う。その頃絵は趣味で少し描いていたが仕事ではデザイン業務が主だったので、デザイン要素でもあるイラストは素材集などから持ってきていたので仕事で描くということはなかった。
デザイン業務は、クライアントからの依頼があり、それを形にしていくというもの。相手のこうしてほしいという要望などを綺麗にわかりやすく、デザイン、まとめる。こういった作業は自分に合っていたようで楽しかった。
小・中学生の頃は自分が楽しいから絵を描いていた。
高校では受験のために絵を描いていた。
大学では課題、成績のため、就職活動のために描いていた。
就職して、絵はなんとなく描いていた。
描いていたといっても、ファンアートなのでオリジナルはほとんど描いていない。しかも落書き程度で、同人誌を出すといった事もしなかった。
趣味程度なので、上手くなりたい!という気持ちもあまりなかった。
「目的」がないと絵を描けなくなっていた気がする。
そして3年間、その印刷会社にお世話になり一旦地元に帰ると決める。
地元に帰ってしばらく、またしてもニート状態。
フリーランスに憧れていた時期。しかし、自分に自信が全くないのでガツガツ営業できるのか?そもそもそんなスキルがあるのか?
「印刷会社で働いていた」というのはとても大きい。それなりのデータは作ることはできる。が、本当に自分に自信がなかった。これは今も継続的な問題でもある。
これからどうしようか…と思っていたら、地元で働いている友人から、今勤めているところが臨時助っ人を探しているので暇なら手伝ってくれない?と声がけをしてくれた。またしてもこんな事が…つくづく私は人に恵まれているなぁと認識。ありがとう、友人。
助っ人として行った会社は一応デザインやイラストも扱っている会社だった。
最初は助っ人のみだったが、私がDTPもできると知り、流れでそのまま居座ることになった。
その会社でも、入った当初とは違うことをしている。
今はイラストを中心としてDTPや映像編集などを担当している。
代わりに絵を描くことが増えたので最初に書いたように「絵を描くこと」についてよく考えるようになった。
会社で絵を描いているが、正直楽しくはない。なぜなら、求められる絵が「こんな感じのタッチでおねがいします!」というのが多いからだ。そして描いても世には出ない。
つまり誰かの真似…オリジナリティーがない。今までろくにオリジナルで描いてこなかった奴が何言ってるんだと思うかもしれないが、そもそも真似て描いて、しかもそれをお金がちゃんと発生する「仕事」として使って良いものなの…?ダメでしょ…その人に頼むようなお金がないから真似できる人に頼んでるだけじゃないの…もちろん完璧に模写なんとことはしていません。(盗作になるよ!)あくまで〇〇風…でも、いつまでもこんなギリギリな仕事したくない。と言うのが本音。
なので、今は自分の強みとオリジナリティーを身につける、絵を上手く描けるようになる。ということをようやく考えるようなったわけです。
「絵を描くこと」は今までは単なる趣味の領域でしたが、曲がりなりにも現在絵を描いてお金をいただいている身としてはしっかりと技術を身につけ気持ちを入れて胸を張って言えるような仕事にしたいと思うようになりました。
初めに、最近母校に行ったと書きましたがその時恩師に「今何やってるんだ?」と聞かれて、「会社で…絵を描いてます…」と、ふわっとした返答しかできず、今まで美術を学んできて幸せなことに絵を描きながら生きているというのにこの後ろめたい気持ちは何…?と考えていたのが今回のこの話のきっかけでした。
不真面目で絵の下手な私が今も絵を描いているのは、「なんだかんだ描くのは好き」という気持ちと、運が良かったってのが大きい。本当につい最近ですが「目的」がちゃんと認識できたかなと思います。今やっと変なフィルターなど無しに絵と自分に向き合えてるのではないかと思う。
高校の友人たちよりかなり遅いスタートダッシュではあるけど、まだ絵をかいて仕事をしたいのでやるしかない
自分の気持ちの整理、確認、メモのために記しておきます。
余談。トップの手の絵は母校に行った後に、初心に戻ってデッサンしてみよう!と思って描いたものです。…描きながら、そういえば当時も手のデッサンをして、合評で何かおかしい的なことを言われ、その時初めて自分の手のひらが長いと認識した。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?