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『怪獣』を聴く、泣く。
『チ。-地球の運動について-』のOP曲であるサカナクションの『怪獣』。
このフルバーションが昨日公開されました。
「あぁそういえば公開されたんだった」くらいのテンションでついさっき聴いて、気づいたら涙がぶわっと込み上げていた。
えっどうして。
困惑する。
サカナクションの熱心なファンで、待ちに待って、というならまだしも。そこまでの熱量はなかったはずなのに。
一体なにが起こったのか。
***
そもそも『チ。-地球の運動について-』のアニメが始まったのは昨年の10月。
その時点で曲のフルバージョンは出来上がっていませんでした。
これはかなり異例の事態。
最近はアニメが公開されたら同時にノンクレジットOPと曲のMVも公開される流れが多いです。たぶん相乗効果で認知度を上げる狙いがあるのでしょう。
しかし『怪獣』についてはそのどちらも開始時にはなかったのです。
OPの出来が良すぎるのでせめてノンクレジット版を、と思うのにない。
もっと聴かせてほしいのにSpotifyにもない。
どうしても飢餓感のようなものが湧きます。同時に、商機を逃していないだろうか、と何目線かわからない焦燥も出たりする。
どうやらまだ制作中である、とは知った。
納得のいくまで制作してほしい気持ちと、世の中の流れはその完成を待てるだろうかという気持ちが混ざる。
そうして待つこと4ヵ月が経ったのです。
といっても世の中も私の興味も日々移り行くもので、ヒリヒリと4ヵ月を過ごしたわけじゃないです。
なんならもはやOPで聴ける1分半だけでも満足してしまっていた。だってもうそこだけで十分いい歌なのはわかるので。
そういうモチベーションで挑んだ今朝。
「ようやく完成したんだからいい歌なんだろうな~」と気楽な気持ちだった。半端な期待で再生を押した気がする。
なのに泣いてたんですよ。
歌詞も曲の流れも、OPバージョンとは変わっていました。
何気なく聴きはじめたのに、開始早々から違いが分かるので意識が曲に集中するんです。
新しい歌詞があって、聴きなれた歌詞が意外なタイミングできて、聴き入る。
けして明るい曲でもないのに、心がはやる。
なんだんだろう、このかんじは。
どうして涙が出るんだろう。
「今日の空、なんか綺麗じゃないですか?」
これは地動説に触れた直後にとあるキャラが言うセリフ。そのキャラは学問には縁がなくて、だから地動説も理解はしてない。でも夜空を見上げると、という場面。
理由はわからないけれど、綺麗に思える。
今日の私の感覚がまさにこれかもな、と思う。
理解よりも先に感動がくる。
歌詞のここやあそこ。『怪獣』というタイトルの意味。サカナクションの休止期間やボーカルの山口さんの体調のこと。音楽の専門的な部分。曲作りの姿勢。
分析したり言語化したりできるところはたくさんあるんだと思うんだけど、それらを飛び超えてまず感動がくる。すごいと思う。
山口さんがアニメ主題歌を作るにあたって「作品の内容をそのまま歌詞にはせずに抽象化しつつ制作したい」というようなことをおっしゃっていた。タイトルにも歌詞にもその意図がちゃんと出てると思う。
この曲を通した体験が、まさに『チ。-地球の運動について-』を表している。