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F先生との出会い

 「現状に至ったここ数年」をふりかえっています。今回は、最も大きな転換のきっかけとなった②鍼灸師のF先生との出会いについて書いてみたいと思います。
 F先生と初めて出会ったのは、2015年の10月終わりか11月初めのある休日の昼下がりのことでした。当時は、ぼくも妻も共に小学校の教員をしていたのですが、妻の同僚のI先生が出会いの機会を作ってくれました。I先生は、腰の調子が悪く、そのメンテナンスとしてすでにF先生のところへ通っていました。ぼくの妻も当時、慢性的な疲れから身体のあちこちがしんどかったようで、I先生が「よかったらF先生紹介するよ」と言ってくださって・・ と、ここまではよくありがちな流れなのですが、I先生から「ちょっと変わった鍼灸院なので、安心してもらうためにも最初はご主人にも一緒についていってもらった方がいいかも」と意味深なアドバイスが。で、その日、ぼくたちの自宅までI先生が車で迎えに来てくださって、F先生のところへ3人で行くことになりました。

 鍼灸院を訪れるのは、ぼくも妻もその日が初めてでした。だから2人とも、一般的な鍼灸院とはどんな感じなのか、比較対象となる具体的なイメージは持ち合わせてはいなかったのですが、それでもF先生の鍼灸院には明らかに「よそとは違う異質感」を感じました。まず、何より部屋が汚い笑笑 いろんな本やモノが乱雑に積み重なっていて、埃までかぶっている! I先生の言ってた「ちょっと変わった」というのはこの事だなと。おそらく、この時点で世間の割合多くの方は嫌悪感というか、ネガティヴな印象をもってしまうのではないでしょうか。ただ、ぼくも妻も、それをネガティヴには捉えなくて、むしろ面白がるというか興味津々な感じでした。
 F先生は、やや小柄な初老の男性で、伸ばした髪を後ろで束ねた風貌がどこか仙人的な感じがしました。ぼくたちは初め緊張していましたが、穏やかな口調で話す優しい雰囲気にすぐ緊張は解けていきました。治療を終えた後の妻の感想は、「楽になった。とってもいい感じ。」

 「事件」が起こったのはそれから数週間後、11月28日(土)のことでした。その日の朝、妻が激しい腹痛を訴えます。妻は1年ほど前に胆石の破砕術の治療を受けており、その時と痛みが似ているというので、同じ病院へ連れていきました。土曜日なので休日の当番医が対応にあたってくれたのですが、検査では胆石は確認できず、その他の異常も特に見られないということで、鎮痛剤の注射の処置のみしてくださいました。実は、翌29日に前述のI先生と一緒に鹿児島へ「日帰り弾丸ツアー」を予定していたのですが(日付が正確なのはそのためです)、さすがに旅行はちょっと無理かなとI先生に連絡を入れようとしたその時、ふとF先生に診てもらおうと思いつきました。妻もそれを強く望んだので、F先生に連絡。すぐ来てくださいとおっしゃってくださったので、そのまま向かいました。鎮痛剤の効き目は少し薄れてきたのか、F先生のところへ着いた頃には、にわかに痛みはぶり返していたようでした。で、治療を終えると・・ほとんど痛みはとれたと笑顔の戻った妻。F先生に、「明日、鹿児島へ旅行を予定しているのですが、さすがに無理ですよね」と聞いてみると、「大丈夫。行けますよ。」とおっしゃるではないですか!
 翌日は、予定どおり関空からピーチに乗って鹿児島へ。道中、I先生に昨日の一連の出来事をやや興奮気味に話したことは言うまでもありません。
 この鮮烈な「事件」が、ぼくと妻に大きなインパクトを与えました。F先生への信頼はもちろんですが、鍼灸という不思議な治療への関心が徐々に芽生えはじめていきます。翌2016年に入ってからは、隔週でF先生のところへ伺って、ぼくと妻と交互で治療を受けるようになりました。もちろん、この時にはまだ、ぼくが学校の教員を辞めて鍼灸師を目指すことになろうとは知る由もありませんでしたが。
 

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