詩|「自由ってなんですか」
自由ってなんですか
有ることですか、無いことですか
することですか、しないことですか
知っていることですか、知らないことですか
見ることですか、見ないことですか
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アルファベットが二つしかない世界の「AかBか」という問いの先に、自由とは何かの答えはきっとない
たぶん自由は、どこにでもあるし、どこにもない
でも時間や空間のルールにしたがって一つに決まる「僕から見える世界」の中には、自由どころか、何もない、だから見つけられない
点が線になって、線が面になって、面が体になって、どんどん「有」が増えていって、
金銭を持って、友人を持って、恋人を持って、配偶者を持って、子供を持って、
権利を持って、義務を持って、責任を持って、全部持った後に、
真っ黒な自由は、もう遥か彼方、空の向こうの、そのまた向こうに見えなくなってしまっている
それなら、と思って、金銭を捨てて、友人を捨てて、家も、権利も、全部捨てて、
ようやく飛び込んだ海の中にあるのは、
純粋なだだっ広さだけで、身動きはまったく取れなくて、
真っ白な自由は、僕の眉間の先に在るような、もう全然手の届かない、世界とそうじゃない部分との境界に在るような、
今ここに在るような、昨日や一昨日に在るような、100万年後に在るような、
全然わからなくなって、フワッと宙に浮かぶ感覚がして、
それで透明になって消えてしまった僕が、
生きていたんだ、と気づいたら、自由が、ポケットの中に、在って。
2023/1/7。
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