【イベントレポート】衆議院議員・スタートアップ推進議員連盟 事務局長 今枝宗一郎氏主催「第1回ベンチャーデット勉強会」
こんにちは。株式会社UPSIDER CapitalのPRチームです。
先日6月18日(火) に衆議院議員・スタートアップ議員連盟事務局長である今枝宗一郎議員が主催する「第1回ベンチャーデット勉強会」が開かれ、株式会社UPSIDER Capital(以下、当社)はその運営事務局を務めさせていただきました。今回は、本イベントに参加した、ベンチャーデットに積極的なメガバンク・地方銀行5行(計10名)のディスカッションのハイライトをご紹介します。
「ベンチャーデット勉強会」開催の経緯
2019年10月に発足したスタートアップ推進議員連盟の事務局長として、スタートアップ市場の環境整備や政策推進に尽力する今枝宗一郎氏は、ベンチャーデット市場を取り巻く様々な課題に関する意見交換や議論の場を設けるべく、この度の勉強会を企画され、その第1回目が2024年6月18日(火)に開催されました。
「デットファンド」が資金調達の理想と現実のギャップを埋める解決策の一つに
スタートアップのファイナンス戦略において、デットファインナンスの影響度はますます高まっています。株式会社UPSIDERが2024年4月にスタートアップの経営者(※個人事業主除く)を対象に行った「スタートアップ企業の資金調達」に関するアンケート調査では、回答者の78.6%がデットファイナンスを認知、半数以上がデットファイナンスを検討もしくは活用済みであるとの結果が示されました。一方で資金調達において重視するポイント「調達における意思決定のスピード」「調達額(チケットサイズ)の大きさ」はいずれも課題の上位であり、資金調達の理想と現実のギャップが明らかになっています。そのようなギャップを埋める解決策として、黎明期にあるベンチャーデットへの期待は高く、当社としても健全な市場の発展に寄与するような活動に取り組んでいる中で、光栄にもこの度の勉強会の事務局を務めさせていただく運びとなりました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000153.000076272.html
勉強会には、ベンチャーデットに積極的に取り組む銀行が参加しています。各行の事例や知見を持ち寄ることで、ベンチャーデットのエコシステムの構築や市場の健全な発展、ひいてはスタートアップファイナンス全体の活性化に繋げていくことを目指しています。
【開催概要】
<日時>
2024年6月18日(火)16:00-17:00
<会場>
衆議院議員第一議員会館
<プログラム>
1. 衆議院議員 今枝宗一郎氏による開会挨拶
2. 参加企業より、現在のベンチャーデットへの取り組み・課題についての共有
3. 参加者同士のディスカッション*
4. 衆議院議員 今枝宗一郎氏による閉会挨拶
*ディスカッションテーマ
1. ベンチャーデットの定義とは
2. ベンチャーデット市場の課題
1.ベンチャーデットの定義とは
テーマ設定の背景
今現在、ベンチャーデット事業が形成されていく中で、「ベンチャーデット」の定義を揃えていくことが、融資の質・採算を担保することに繋がるとの見立てから、本テーマを設定させていただきました。
参加企業の認識
ベンチャーデットの対象企業は、出口戦略を明確にしており、ベンチャーキャピタルからエクイティ出資を受けていることを条件としている。ベンチャーデットの審査は通常融資とは別の審査ラインで行い、金利や新株予約権によるリターンに対し、一定量のデフォルトがあることを許容して運営をしている
行内の定義は揃っている。背景として、銀行にスタートアップエコシステムを審査するノウハウが少なかったこともあり、資金の出し手であるベンチャーキャピタルのノウハウを活用しながら、ベンチャーデットの審査のポイントを見極めていった。
ベンチャーデットの対象となる企業様は基本的にJカーブを形成しながら、最終的にIPOや大型M&Aを目指す企業。そのため、必然的にベンチャーキャピタルからの出資を受けている企業が前提となっている。
エクイティ出資を受けていることを必須とするかは定義に含めていない。エクイティ出資が入るに越したことはないが、当初から黒字の会社は昔から当然あるため、定義には一定程度バランスが必要だと思っている。
いわゆる銀行のコーポレートファイナンスというのは営業キャッシュフローでの返済を前提にしているのに対し、ベンチャーデットはエクイティ調達やIPOなどの財務キャッシュフローに依拠している。
(ベンチャー)デットかどうかは、リスクのプロファイルで分けるのが健康的だと思っている。若い企業に対するシニアでもエクイティでもない資金提供が発生した場合にはベンチャーデットと捉えるのが良いのではないかと考えている。
まとめ
それぞれの現状がシェアされる中で、ベンチャーデットの定義が揃っている企業と、認識を合わせていく過程にある企業があり、その定義として、エクイティ出資を受けているか否かや審査プロセスが議論のポイントになりました。最終的にはエクイティはあくまで経済条件の一つであり必要条件ではないこと、ベンチャーデットは赤字を掘って先行投資を行う企業に対する融資であり、通常の融資とはリスクプロファイルが異なること、それを踏まえ審査体制や審査のポイント、リスク・リターンの目安が通常の融資とは異なるとの共通見解を得ました。今回の議論を通じ、ベンチャーデット市場の健全な発展に向けて、ベンチャーデットの定義を揃えていく必要性を改めて認識しました。
2.ベンチャーデット市場の課題
テーマ設定の背景
ベンチャーデット市場そのものは黎明期にあり、まだ事例は少なく、スタートアップの成長戦略の一つとして活用されていくには協力して様々な課題を解決する必要があると捉えています。
ベンチャーデットに積極的に取り組む参加企業各社の知見や見識を持ち寄ることで、顕在化していない課題も含め、より本質的な議論が行えるのではないかと思い、本テーマを設定しました。
参加企業の認識
エクイティとデットは両輪だと考えており、エクイティも伸ばして、引きずられるようにデットも伸びていくというのが健全なマーケット形成だと思っている。
ベンチャーデットを一過性ではなく、継続的な取り組みとしていくにはリターンも一定程度維持していく必要がある。今後プレーヤーがより増えてくると予想されるが、市場を大切に作っていく必要がある。
レンダーとしてはエクイティ調達をしっかりした企業の方が安心感があるのは事実。一方、ベンチャーデットを活用したい企業はバリュエーションの観点で、エクイティ調達を後ろにずらしたい企業も多いため、デットとエクイティの調達タイミングがずれるのではないか、という観点もある。
現状ベストプラクティスはなく、企業様の成長性や調達力も含めて総合判断する必要があるので、もう少しポートフォリオ形成が進み、成績を確認しないとどの程度が適切なのかを定量的に判断するのは難しい。
まとめ
議論の中で、現在のベンチャーデット市場のマーケット形成について、方向感は一定揃っているとの認識がある一方、今後については懸念を示す声が多数ありました。今後は何らかの指針等を定め、健全なマーケット形成において、デットのみではなくエクイティと一緒にデットも拡大していく、という形が好ましいとの意見にまとまりました。また、参加企業の意識として、エクイティマネーの供給者であること、知見・ノウハウを持っていることから、ベンチャーキャピタルとベンチャーデット事業者の関係を重視することが共通意見でした。市場の課題については今後も継続的に議論を行い、健全なマーケット形成に繋がる解決策やナレッジを発信できればと考えております。
衆議院議員 今枝宗一郎氏より
参加企業一覧
株式会社静岡銀行
株式会社福岡銀行
株式会社みずほ銀行
株式会社三井住友銀行
株式会社三菱UFJ銀行
株式会社UPSIDER Capital(事務局)
なお、次回の勉強会は2024年9月11日(水)に予定しております。第一回の参加企業のほか、金融機関やスタートアップ関係者など、数社が新たに参加される予定です。
本件に関する報道関係お問い合わせ先
株式会社UPSIDER Capital
広報担当:五十川
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