20240919:『本を読んだことのない32歳がはじめて本を読む』を読む2

https://www.daiwashobo.co.jp/book/b10084142.html

今日は芥川龍之介「杜子春」から。
実は芥川ってあんまり読んでない。短編を連続で読んでいくのが苦手なので、1編読んだらしばらく本を置いてぼうっとして忘れた頃に次の作品にとりかかりたい。連作短編でもない限り、短編集は同じ作家が書いてるのに別の世界なので、脳を切り替えるのがむずかしい。
物語性のあるゲームを日常的にやっていると、そこで物語を処理する脳が満たされてしまい、小説にまで行き渡らないというのが最近の現状だったりする。


一人で読んでいたら「杜子春」も教訓めいた上手な短編、という感想にとどまる。
愚行権を駆使する主人公の動機にあまり興味がもてない。お金無駄遣いしたやつに同情なんてできないよ。わたしの場合は家族がギャンブルで借金だらけになったので、そういう人に復活の機会なんてないと諦めて傍観するだけだ。
そこをみくのしんさんは我がごとのようにがむしゃらに突き進むのがすごい。NHKの100分de名著とはまたちがった本の楽しみ方。

でも、この読み方は読書会みたいに不特定多数が参加する形式では難しい。ある読み方を肯定し続けるだけでは読書会にはならない。
読書会はひとりひとりの読書と人生の経験から発せられる言葉を参加者全員で吟味し、自分にはなかった読み方を体験する会だと思っている。
本文中でも何度も触れられていて、正しい読み方なんてなくて、一人一人の読み方があればいい。
やめちゃった人間が言えることではないかもだけど、読書会や、みくのしんさんみたいに読んだ内容を話し合える機会が万人にもっとあっていい。

雨穴さんの本もおもしろそうだった。
でも本書の白眉はかまどさんの後書きかな。
電車の中なのに思わず涙したよ。そんなに覚えていられるのもすごいし、生きててとりあえず納得できる答えが見つかるという体験もなかなかない。
読書離れなんて本当か嘘か分からない言説が流れるのを見ると、つべこべ言わずに本書を読めという強い反抗心が芽生えます。
めっちゃ売れて増刷かかって、続きが出版されたらいいなー。


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