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旧統一教会報道はなぜ「暴走」したのか〜 UPF主催公開シンポジウムを開催 〜

UPF-Japanは1月20日、東京都内の会場で公開シンポジウム「報道はなぜ『暴走』したのか―ジャーナリストによる徹底検証『旧統一教会報道』」を開催しました。シンポジウムでは、ノンフィクション作家の福田ますみ氏、著述家であり作家の加藤文宏氏、ノンフィクションライターの窪田順生氏の3人をパネリストに迎え、メディア報道のあり方について熱い議論を展開。会場には報道関係者を含め70人が参加しました。

会の冒頭、参加者は年頭に起こった能登半島地震や航空機事故によって命を落とした人々に黙祷を捧げました。

その後、主催者を代表してUPF-Japanの鴨野守広報局顧問が歓迎の辞を述べました。鴨野顧問は、マスコミの本来のあり方と今日の報道の姿や問題点について言及。国民に幸福と安全を与えるメディアが増えてほしい、と述べました。

続いて、3人のパネリストによる基調講演が行われました。はじめに登壇したのは、ノンフィクションライターの窪田順生氏。「報道の暴走」をテーマに、自著の「潜入旧統一教会」を紹介しながら、メディアの一方的で過熱された報道について指摘しました。情報番組の制作者や新聞・週刊誌の記者経験を持つ窪田氏は、メディアの裏側を披歴し、日本の歴史がつくり上げてきたメディアの姿を伝えました。

その上で、窪田氏はメディア報道が暴走する要因として、①情報源に過度に依存してしまうアクセスジャーナリズム②マスコミは常に正しいとする同業者の思い込みと「みんな同じ」から外れられない組織人ジャーナリズム③価値観の異なる人を皆で排斥しようとする「自警団文化」――の3点を上げました。

次に登壇したノンフィクション作家の福田ますみ氏は、旧統一教会問題の報じ方について言及。旧統一教会信者に対する「拉致監禁」事件や「全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)」をタイトルにあげ、マスコミでは報じない全国弁連の成り立ちやその政治的意図について説明しました。同じくマスコミで触れられなかった「拉致監禁」問題と「全国弁連」の関係性をグラフを用いて説明。今日のメディアの報道は中立的な立場からではなく、一方的な“主張”になってしまっている、と訴えかけました。

最後の基調講演として、著述家であり作家の加藤文宏氏が登壇。「報道は何を意図して何を伝えたのか」と題し、データで旧統一教会の報道を振り返りました。SNSやウェブサイトの検索ビッグデータなどをもとに、国民意識とメディアの動きについて分析。社会の風評の発生には、メディアの影響が大きく関わっていることと指摘し、旧統一教会だけでなく、日本社会が風評被害を受けていると語りました。

具体的には、宗教団体の信者が政治に関わることにはなんの問題もないにも関わらず、メディア報道ではそのことによる違法性や悪影響についてエビデンスが示されていないことを指摘。「教団は邪悪」との前提だけが独り歩きした結果、信者の人権や参政権を否定する世論が芽生えたり、地方議会で旧統一教会を排除する動きが起こったと述べました。

加藤氏は、エビデンスに基づかないこうした旧統一教会追及の動きは政治運動であり、社会運動であると強調し、教団やその信者に対して人権侵害や解散命令請求が出されただけでなく、広く社会を分断する結果を生んだと述べました。

基調講演に続いて、パネリスト3人によるディスカッションや会場との質疑応答を通じ、報道について活発な討議が展開されました。民主主義国家のメディアはどうあるべきか、人権に関わる問題についても議論が展開されました。

最後に、UPF-Japanの魚谷俊輔事務総長が閉会の辞を述べました。ナラティブ(物語)が社会を動かし、現実を作り出していることの問題性を指摘。一方のナラティブだけを鵜呑みにせず、もう一方の発言にも耳を傾け、冷静に判断する必要がある、と強調しました。


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