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【事業主体者】としての熱狂と興奮。戦略コンサルマネージャーが挑む世界規模の事業創造 〜スタートアップにおける「事業開発」と「組織開発」〜(前編:キャリア編)

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、患者さんの適切な受診をサポートする症状検索エンジン「ユビー」や、医療現場の生産性を向上させるユビーAI問診などを提供しているUbie株式会社。そのUbieの製薬事業を担う組織として、2021年10月に設立されたのがUbie Pharma Innovationです。

今回、戦略ロールであるAccount Principalを務める3名(Dave、Saichan、Bara)にて、「キャリア」と「働き方」をテーマに対談を実施。前後編の記事として収録しました。
今回は前編、「キャリア」について。コンサルティングファームからスタートアップへと移ったその時の想いの共通項は、外部支援者としての立場から事業主体者となること。三者三様の言葉で語られる対談を是非ご覧ください。

野上慧(Dave):Account Principal(ACP)(写真左)
京都大学経済学部卒業。大手通信会社、外資系コンサルティングファームでのマネージャー経験を経て、2021年2月にUbie入社。Ubieでは主に製薬会社向けの事業開発/マーケティングを担当すると共に、Ubie Pharma InnovationのAccount Principalを担当。

斉藤雅弘(Saichan):Account Principal(ACP)(写真右)
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。外資系コンサルティングファームにてマネージャー職に従事した後Ubieにジョイン。Ubieでは製薬会社向けの事業開発を担当。またUbie Pharma Innovationに出向しAccount Principal 及び 採用リードを兼任。

榊原 健太(Bara):Account Principal(ACP)(写真中央)
東京工業大学大学院修了。総合コンサルティングファームにてM&A・PMIやサプライチェーン構築に従事。その後、外資系コンサルティングファームのマネージャーとして新規事業開発や組織設計を経験。2022年5月にUbie Pharma Innovationに入社し、Account Principalを担当

実はみんな考えていることは同じ。「外部支援者」から「事業当事者」へ

野上慧(以下、Dave):
まずはUbieに入社するに至る経緯や、その時考えていたことから話してみよう。
自分がジョインしたのは、ライフステージ的にはちょうど子供が産まれたときで、キャリア的にはコンサルティングファームのマネージャーへプロモーションしてから。仕事を回す感覚も身についた今、改めて本当にやりたいことは何だろう?と思案していたところだった。自分の事業ではなくて、誰かのサポートをしていくことって、自分のキャリアにおいて長い時間をかけてやりたいことだろうか?
コンサルとして、本当の意味でクライアントのビジネスパートナーになるには、今後も何年もかけて信頼関係を構築する必要があるという実感もあり、それは時間がかかりすぎるなという相対的な感覚はありましたね。

Ubieは元々転職の候補に挙がっていたわけじゃなかったし、実際、ヘルスケアの領域に関わったこともなかった。コンサル→スタートアップというチャレンジに迷いもありました。
しかしUPI 代表のAkiraに誘われて、共同代表aveにも実際にプロダクトの話を聞いてみて、これはやばい、と。事業の魅力に頭をがつんとやられ、すぐに入社してしまった(笑)。

斉藤雅弘(以下、Saichan):
自分の場合は、Ubieの前は外資系コンサルティングファーム2社で7年ほど。最終的にマネージャーを経験したのちUbieへジョインしました。

コンサルティングファームにはいわゆるビジネススキルを鍛えたい思いで入社しました。実際、様々なチャレンジの中で他では得られないような貴重な経験を積み、スキルを鍛えることができたと思います。一方、コンサルの仕事を続ける中で、第三者としてのクライアントの支援というコンサルの仕事自体に、そこまで強い関心があるわけではないことにも徐々に気づくようになりました。

そのため、転職先として自分自身が強いコミットメントを持てそうなことや、相対的に大きなインパクトを与えられそうなスタートアップ企業を選んだ。その中でも、Ubieという会社の持つポテンシャルや目指す水準感が一桁も二桁も違うな、と感じたんです。「医療」という巨大で社会的にも非常に改善の意義深い課題領域に対し、既に見据えているその打ち手を聞いて、この環境なら圧倒的に大きな事業をつくれると思い入社しました。

榊原 健太(以下、Bara):
自分は実はSaichanとは同じコンサルティングファームに同期で新卒入社していたんだよね。それぞれ別のファームに移り、自分もマネージャーに。その後、2022年にUbieにジョインしました。

ファームでは色々な領域を経験し、マネージャーとしてもそれなりに順調に立ち上がっていたと思うし、コンサルティングファームの到達点であるパートナーもスタッフだったころに比べて少しだけ現実的に見据えられるようになっていた。
一方で、コンサルタントとしてのキャリアパスが具体的に見えてきたがゆえに、自分にとって仕事は何がやりがいで何が楽しいのか、改めて考える機会が増えた。そこで思いつくのは例えば事業の構想場面より、実際に結実し事業として発進するような場面だと思ったんだよね。それが経営や組織づくりであれば、外部から最適化するアイデアを提示するのではなく、自分自身の手で切り拓いて創り上げていくこと。当時のコンサルのキャリアのレールの上では、どうしてもそこに関われなさそうだと結論はあった。

そんなときにSaichanからUbieへ転職したよ、と声をかけられて。
当時病院向けSaaS事業のみだった段階のUbieの話を聞き、そのアセットは製薬などの大きい第三領域にも活かせるのではないか?と想像したところ、まさに今後の事業構想にその話が含まれていて。製薬事業は当然海外市場を見据えているし、元々エンタープライズ領域でスケール大きく活躍したい自分のWillとプロダクト段階が噛み合っているなと、大きな期待を感じてジョインした。

Dave:
皆、言語化のしかたは微妙に異なっていてもほとんど考えていることは似ていて、「事業当事者になりたい、でありたい」というような根っこは一緒だね。

スタートアップでの仕事がはじまる、その時のリアル

Dave:
ジョインした頃を振り返ってみると、例えば研修とかマニュアルとか、新しいメンバーに時間をかけて業界のイロハにキャッチアップしてもらう期間って、ほとんど想定されていないよね。言ってしまえば、Day1から自走できる人というのが今組織が求めていて、実際に集まっている人材。

ただ、baraが志向しているように、そういった組織のインフラをつくるのも組織開発の一環として自分たちのミッションという考え方をしているから、これは全然ネガティブに感じていなくて。そういうことをやりたいからここに来たんだよね?むしろ喜んで……という感じ。優先度をつけながらだけど、今後の自分たちと組織のために創れるものを創っていこうという。

むしろここでポジティブ要素を唱えてみるなら、一方で心理的安全性が非常に高く、あらゆる情報が容易に獲得できる環境を大事にしていること。
この辺りの解像度が高いのも、一番直近でジョインしたBaraかな?

Bara:
実際、それぞれのNew-joinerにはいわゆるメンターとして既存メンバーがつくね。
その中で、「すぐ聞く、誰かがすぐ答える」というカルチャーがとても有効に機能していると思う。それは仮に同じ内容がチャットで過去に出ていたとしても。なんなら、質問は「馬鹿馬鹿しいほどよし」とさえされている。

自分も当然、入社してすぐは製薬・ヘルスケアについての解像度はまだ全然高くない状態だったわけで、疑問を常に言語化してすぐに投げる!ということはキャッチアップのためにも常に意識していた。そこにバシバシと答えが返ってくるのは驚きもあり、すごく嬉しい。メンバーの不明点にすぐに回答が与えられることそのものが、組織の利であるという理解だよね。

Saichan:
オンボーディングも全くないわけではなくて(笑)、集中的に組織としての前提を確認するセッションが最初の1~2日くらいありますね。
ただそれはいわゆる業界知識や業務の進め方のインプットというよりかは、Ubieがどういうミッションバリューを擁しているかだったり、どういう戦略や文化なのか、そういう話が主になる。
実際にどのように日々仕事をしていくのかというオペレーショナルな部分はDaveの言う通り、まだ組織が出来上がって日の浅い現時点では各人にゆだねられる部分がほとんどで、今後柔軟さを保ちながら創り上げられるものだと思います。

Dave:
例えばSlackのトピックなんかは、以前に比べるとだいぶ整備されてきた。
前提として、事業をみんなで揉んで育てている中で、あまりかっちりと固めてしまいたくない。付随して、マーケットについての情報や開発トピックに関するやりとりも今までだいぶ野放図な様子だった。
それでも例えばフロント側と開発側の接合面は、プロダクトの効果的な成長を考えれば、定めておかないと混乱してしまうよねとか、そういった優先度の高い部分で有効性のあるルール設定を見定めて、少しずつ固まってきてはいるね。

Ubie Pharma Innovationが常に「事業開発」の発生源であり、まさにコンサルティング仕事との差異であるその理由

Bara:
どんなところに自由度を残していくのかと言えば、例えば製薬企業に対しUbieのリソースはどう組み合わせて提供したら付加価値になるのか?というのはクリエイティブな部分で、顧客と課題によりどうサクセスを導くか、今後も考え続ける部分だと思う。
決まったソリューションを売るわけではない領域だからこそ、ポストコンサルとしての活躍舞台があると感じるね。

Dave:
「事業開発」という言い方は常にしてきているよね。
顧客・マーケットと対峙する市場開発と、価値の源泉となるプロダクトの開発、その両方を担うのがUbie Pharma Innovationの事業開発。

Ubieのプロダクトは既に他にはない価値の源泉なんだけど、製薬という複雑で巨大な商流、そして難解なマーケティングの歴史に対して、今のUbieのプロダクトでできないことも確実にあるし、まだまだ発展途上。我々はソリューションコンサルティングの提供の中で、そんなUbieの裾野をさらに広げていくイメージを持っている。

Ubie Pharma Innovationの仕事の面白いところは、プロダクトの不足分を我々の課題特定、リソースの組み合わせ、提案力で一つ解決を導ける価値提供のやりがいがあること。
そして、プロダクトそのものの開発に還元し、事業を創る当事者であれること。
さらにはこれらの結実する先において、「人々を適切な医療に案内する」という非常に社会的意義の大きい課題を解くことができるということ……これらのいずれの側面もがあるところだと思う。

Bara:
あくまで目的は顧客の課題解決。短絡的にプロダクトベースではなく、製薬企業の課題を見据え分析できて、その手段としてのUbieプロダクトの現状を理解しているポストコンサルが、ベストソリューションを提案しつつ自社の事業開発に取り組んでいるというのが、クライアントに対する今の我々の姿だよね。

また、将来性に価値を感じていただけることもあるのがスタートアップならでは。
プロダクトのカバーしきれない部分も、「1、2年後にはこういうことができるかもしれません」という提案にできたり、「じゃあ、この先こういうこともできたりしないの?」というお客さんからの期待で返ってくることもある。
現状どこまでできるのか?どこにニーズの先端があるか?どこに開発優先度があるか?
見定めて持ち帰りプロダクトに還元、リターンを大きくすることをいつも考えている。

Saichan:
コンサルティングの仕事との対比で言えば、Ubie Platformの価値に基づく課題解決提案であることが重要だと思う。Ubieのプロダクトが介在しない提案だと、それは必ずしもUbieではなくても良いのではという話にもなってしまう。現時点のプロダクトで提供できるベストソリューションと、今後の将来性・発展性に期待いただけることは大きな強みですね。

そして将来を含めた伴走だからこそ、ギリギリどこまで提案できるのかをシビアに見極める必要のある、複雑な業務だと思う。そういうクリエイティビティのある仕事だから面白いし、付加価値が高い仕事だと考えています。

Bara:
事業開発ってまさにこういう感じだなって思えてきているのが最近の感覚だね。

UPIだからできること、やりたいこと、「キャリア」について

Dave:
今この組織でこそやりたいと思うのは、事業のグローバル展開に大きく貢献すること。
当然のことながら、Ubieが飛躍していくためには、課題の大きさやイノベーションの頻度、いずれをとってみてもヘルスケアの広大なマーケットである米国への上陸は必須。
皆保険があって医療ネットワークも充実している日本と比べて、本場アメリカでこそ医療アクセスの課題は大きくて、数十日~数か月という医療待機もゴロゴロ発生している。Ubieのテクノロジーや培ったパートナーシップというのは、圧倒的なニーズでもって迎え入れられるはず。

日本発の技術・プロダクトで北米市場を切り拓くというのはなかなか稀有なことです。それこそ日本を製造業大国へと導いたトヨタのように、全世界で知らない人がいない、日本が誇る事業になれるポテンシャルがあると本気で思っているし、その当事者として働けるのだから身震いします。自らが開発した事業・プロダクトを、海外のマーケットに持っていくという経験も、コンサルティングファームでは得難い経験かなと思いますね。

ただ、このグローバルな展開に関わりたいというのは、元々個人的にあったWillではないし、キャリア観から逆算しての話というよりかは、全く偶発的に得られた気持ちで。むしろ実際にスタートアップに飛び込んでみてはじめて生まれた実感なのが面白いところです。

Saichan:
Ubie全体の戦略としては当然グローバル展開していく中で、自分自身の取り組みとしてはまずはジャパン。UPIで国内のメインストリームになるようなサービス・ソリューションづくりに挑戦し、製薬マーケ、R&Dを塗り替えていくフロントランナーたりえるビジネスとして引っ張っていきたいです。

また、コンサルタント時代もクライアントが目指す方向性の実現のために頑張りましたが、やはり第三者の立場では興味に限界がある。言うまでもなく、Ubieが解決し改善できるのは、世界で最も巨大かつ重要な社会課題です。そんな事業の当事者として課題に当たり続けられる、今この時点に大きなやりがいを感じています。

Bara:
ビジネスがスケールして顧客が変わっていくのを見届けることも大きなやりがいだけど、さらにはその中で、ビジネスの主体である自分たちをどういう組織にしていきたいかを考えて体現したいというのが、自分がUPIでやりたい内容かな。

スタートアップのフロントでなくとも、事業会社のDX室長とか人事戦略のような経営的ポストコンサルポジションもあるけれど、そこにはおそらく自分が芯から熱狂して取り組めるような興奮はないんだよね。
話が出たように、自分たちで事業を回しているからこそ還元できる組織づくりの形に、当事者として関われるのが最も嬉しいです。

このWillが実現できる以上、正直なところ、いわゆる「キャリア戦略」的なものって、今あまり具体的に考えていない。
これだけやれることの自由度とスケールがある環境って、過ごすべきキャリアとして既に最も望ましいものだと思えるからかもしれない。

Dave:
その通りだよね。この経験はどこに行っても必ず活かせると思うし。
例えばコンサルティングファームに戻るにしても、他の事業会社に行くことがあったとしても、これだけの事業を肌身に感じて自身で動かした経験は絶対に役に立つ確信がある。

逆に、ファームで培ってきたベーススキルを強烈にオーナーシップを発揮できる環境で最大限に活かす経験こそが、中長期的に見た自分たちのキャリアに対して最もレバレッジが利くんじゃないかと思っています。
だから、キャリアに対しての不安なんて今は本当に全く感じないよね(笑)。

――対談前編は以上となります。
それぞれがファームマネージャーとして抱いていたさらなる飛躍の想いに十分に答える形で、Ubie Pharma Innovationという組織は在ることができているようです。そのうえで、今後の自己実現に抱く想いは三者三様。Ubieという唯一無二のプロダクトとそれぞれの培った課題解決力のかけ合わせで結実する様々な活躍のステージがあり、キャリア不安とは無縁の爽やかな意見が続きました。
この後は、後編:「働き方」編へ続きます。
3人は皆が子供を持つ30代の父親。ライフステージを力強く支える組織の実際について、実感と確信、そしてある種、感謝の念さえこもった言葉が飛び交いました。
引き続き、是非最後までご覧ください。


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