マリアージュ♡レシピnote[夏特集]by お酒とお料理研究家・吉田めぐみ
「マリアージュ」(仏:mariage=結婚)とは、日本では主に飲食の組み合わせが調和している状態をいいます。「お酒と料理」「お茶とお菓子」「食材とソース」などと、元々は別の2つの物が調和する組み合わせの妙はたくさんあります。そんなお酒とのペアリング料理が得意な料理研究家・吉田めぐみ先生の3つ(日本のクラフトビール/日本ワイン/日本酒)のマリアージュ♡レシピを紹介します。いわゆる「晩酌のおとも」ですね。決して難しい料理ではないので、ぜひとも試してみてください。暑い夏を乗り切りましょう!
■日本のクラフトビール×アジアンな揚げ物
●Lupulin Nectar(ルプリンネクター)
●ヤンニョムチキン
■材料(2人分)
鶏モモ肉 …… 1枚
A(塩こしょう…少々、酒…大さじ1、ショウガすりおろし…1片分)
B(酒・コチュジャン…各大さじ2、醤油…大さじ1、砂糖…大さじ1/2〜1、酢…大さじ1/2)
片栗粉 …… 大さじ3
サラダ油 …… 適量
白いりごま …… 大さじ1
一味唐辛子や糸唐辛子 …… お好みで
■作り方
① 鶏モモ肉は、一口大に切り、ポリ袋にAを入れてよく揉み込み、しばらく置いておく。
② その間にタレを作る。Bをよく混ぜ合わせる。
③ フライパンに少し多めの油を熱して、片栗粉を混ぜ込んだ①を入れて、揚げ焼きにする。
④ 揚げ焼きにしたものは一旦取り出し、フライパンに残った油はよく拭き取る。
⑤ 同じフライパンに②を熱し、鶏肉を戻し入れ、よく絡める。
⑥ 白いりごまをふり、お好みで一味唐辛子や糸唐辛子をのせる。
●クラフトビール大好き♪吉田めぐみからの晩酌コメント
クラフトビールは地元愛とビール愛を強く感じるアルコール飲料ですが、今回紹介するワイマーケットブルーイングもそんなブルワリー(ビール醸造所)の一つです。
ワイマーケットブルーイングは「名古屋市内唯一のクラフトビールブルワリー」として、2014年1月に愛知県名古屋市中村区名駅にて醸造を開始。「Y.MARKET BREWING」の由来は地元の「柳橋中央卸売市場」の「Y」から。「自分たちのつくるビールが多くの方々の食卓を彩り、今日の喜びと明日への活力の源となったら素晴らしい。そして、故郷の柳橋がいつまでも活気あるまちであり続けてほしい」と考えていらっしゃるようです。地元を愛する熱いエネルギーを感じます。
今回紹介したルプリンネクターは、決して甘いビールではないのですが、トロピカルフルーツのようなジューシーさのあるビールです。とろみはないけれど、とろみを感じさせるような濃厚さもあります。
言うまでもなく、ビールと揚げ物の相性は最高です。ルプリンネクターは南国を感じさせてくれるアジアンなイメージのビールなので、少しエスニックな甘辛なお料理との相性抜群なのです。ガツンとパンチのあるお料理に合わせて、暑い夏を乗り切りましょう!
■日本ワイン×トマト料理
●スパークリングワイン「2020ルビーの泡」
●トマトとオクラのカッペリーニ風
■材料(2人分)
ミニトマト …… 6個
オクラ …… 4本
ツナ缶 …… 1缶
大葉 …… 10枚
ミョウガ …… 2本
A(トマトジュース・無塩のもの…200cc、水…大さじ3、めんつゆ(2倍濃縮)…大さじ4)
黒コショウ …… 少々
そうめん …… 3束
■作り方
① ミニトマトはヘタをとり、4分割にする。オクラは茹でて小口切りに。大葉とミョウガは千切りにする。
② そうめんは茹でて水でしめ、水けをよく切っておく。
③ 器にAを加え、その上に①と②とツナを飾る。黒コショウをかける。
●ワインエキスパートでもある吉田めぐみからの晩酌コメント
ワインのペアリングの方法はいろいろとあります。ペアリングは色で合わせることも多いのです。今回は「ルビーの泡」のドライな印象と料理との色合いで合わせてみました。
また、トマトの酸味やうま味、コクとの相性も抜群です。そして、「ルビーの泡」に使われている小公子という葡萄品種は少し野生味(み)があるので、お肉料理ととても相性が良いのです。
この「ルビーの泡」をはじめとして、今では数多くの日本ワインをつくるココ・ファーム・ワイナリーが設立されたのは1980年(昭和55年)のことですが、そこまでの道のりは簡単なものではありませんでした。
栃木県足利市にある特殊学級の中学生たちと担任教師・川田昇氏によって山の急斜面に葡萄畑が開墾されたのが1958年(昭和33年)。この葡萄畑の麓に、指定障害者支援施設「こころみ学園」が設立されたのは1969年(昭和44年)のことです。
知的障害を持つ人たちとともにワインを造ろうとしましたが、社会福祉法人には「果実酒製造免許」がおりません。そこで、こころみ学園園長である川田氏に賛同した保護者たちによって「有限会社ココ・ファーム・ワイナリー」が設立され、1984年(昭和59年)に「果実酒製造免許」がおりました。
それからというもの、こころみ学園の園生たちが、葡萄を愛し、手作業でワインを醸し、自分たちの、そしてワインを愛する私たちの人生を豊かにしてくれています。
■日本酒×カレー味おつまみ
●水芭蕉 純米吟醸辛口スパークリング
●カレーサモサ
■材料(12個分)
豚ひき肉 …… 25g
タマネギ …… 1/8個
ニンジン …… 1/3本
サラダ油 …… 適量
塩こしょう …… 少々
カレー粉 …… 小さじ1
しょう油 …… 小さじ1
溶けるチーズ …… 40g
春巻きの皮 …… 4枚
水溶き小麦粉 …… 適量
ケチャップ …… お好みで
■作り方
① フライパンにサラダ油を熱し、豚ひき肉を炒め、色が変わってきたら、みじん切りにしたタマネギとニンジンも加えて炒める。塩こしょうをふる。
② 火が通ったら、カレー粉としょう油、溶けるチーズを加える。具材は12等分にしておく。
③ 春巻きの皮は、縦に3等分に切り、まな板の上に広げて、②を右下にのせて、左下から、三角形に折りたたむようにして、包んでいく。包み終わりに水溶き片栗粉を塗って、閉じる。
④ 多めのサラダ油を熱し、③を揚げ焼きにする。お好みでケチャップをつけていただく。
●唎酒師(ききさけし)でもある吉田めぐみからの晩酌コメント
声を大にして言いますが、日本酒とカレーの相性は抜群なのです。カレーに合う酒というのは意外と難しいのですが(辛いカレーとクラフトビール「インドの青鬼」という素敵なペアリングもありますが)、それをベストにしてくれるのが日本酒! やはり、日本酒の原料であるお米とカレーは、切っても切れない関係なのです。もちろん、近年流行りのスパークリング日本酒との相性もバッチリです!
そこで今回ペアリングしたのが「水芭蕉 純米吟醸辛口スパークリング」とカレー味のおつまみ。水色のビンがとても涼しげで美しいスパークリング日本酒です。こちらはどんなお料理にも合わせやすいですが、心地良いほろ苦みもあるので、スパイス系のお料理ともよく合います。
そもそも、「水芭蕉」「谷川岳」といった美しい銘酒を造る永井酒造(創業は1886年)があるのは利根川の源流域に位置する群馬県川場村。仕込み水の確保のため深い森林を所有し、酒蔵周辺は大自然に囲まれています。
そんな老舗酒蔵が「世界に通用する日本酒を造りたい」と考え、「ワイン」を学ぶためにフランス・シャンパーニュ地方に足を運びました。そしてブドウと同じことを「米」で取り組み、2008年には瓶内二次発酵製法による発泡性清酒「MIZUBASHO PURE」が誕生。
このMIZUBASHO PUREは「Sparkling Sake」とし、従来のブランド酒(水芭蕉や谷川岳の純米吟醸や純米大吟醸)は「Still Sake」に。そして、「Vintage Sake」「Dessert Sake」といった4つのスタイルでお料理に合わせて「米の酒」を提供されています。
「水芭蕉 純米吟醸辛口スパークリング」はきめ細かい泡で、薄濁り。辛口でエレガントな印象です。スパークリング日本酒は甘口が多いなか、マイルドな辛口。それでいてピリッとしすぎない爽やかな辛口でもあります。蒸し暑かったり急に寒くなったり、ハッキリしない季節の変わり目にもスッキリ爽やかに飲むことができるお酒です。
■「お酒とお料理研究家・吉田めぐみ」ってどんな人?
下記にあるプロフィールをご覧になるとわかる通り、お酒と食に関する資格をたくさん持っている食いしん坊で飲んべえさんの料理研究家・吉田めぐみ。特に日本ワインや日本酒に関しては製造元(ワイナリーや蔵元)を飛び回るほど大活躍なのです。お酒のセレクトはピカイチ! そのお酒に合ったペアリング料理が吉田めぐみの一番の得意分野なのです。
お酒とお料理研究家・吉田めぐみプロフィール
★料理研究家/ワインエキスパート(J.S.A.)、日本ワイン検定2級、コムラード・オブ・チーズ(C.P.A.)、唎酒師(ききさけし)、野菜ソムリエプロ、江戸東京野菜コンシェルジュ、調味料ソムリエ、ベジフルビューティーアドバイザー、フードコーチ、ジュニア食育マイスター、IFAオリーブスペシャリスト、ABC Cooking Studio ブレッドライセンス(パン職人の経験も)など他にも資格多数(2024年6月現在)。
★★セミナーやカルチャースクール講師、ラジオ出演、コラム連載、料理撮影協力など様々な分野で幅広く活動中。
★★★ミキハウス子育て総研発行の育児情報誌『Happy-Noteハッピーノート』にて、ファミリー向けレシピ、離乳食レシピを担当。また、[KAGOME VEGEDAY]にて料理再現協力。
【吉田めぐみFacebook】
●レシピ制作・調理・お酒セレクト= 吉田めぐみ(お酒とお料理研究家)
●撮影= 清水亮一(アーク・コミュニケーションズ)
●文・編集= 魚住陽向(編集者、小説家)
※この記事は「アークのブログ」で連載された料理レシピ記事を再編集したものです。
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