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BARREL Produce 「ovation! ovation!!」

※個人の観劇感想記録なのでネタバレにならないようにお気をつけて




本番3時間前に主役倒れるとか聞いただけで目眩がする。




2024.7.5〜8
CBGKシブゲキ!!
BARREL Produce 「ovation! ovation!!」
5日のソワレと、追加して6日のソワレ行ってきました。


当日に役者がぶっ倒れたときどうするか。アンダースタディがいる舞台なら代役の話がすぐできる。(ダブルキャストが出演、という形になることもある。)
ただ、このカンパニーはそうじゃなかった。

しかも倒れたのは主役で今回が引退公演(周りには秘密だけど)。立ち上げの頃のカンパニーが目指した大きなステージでの10周年記念公演。(しかも後々分かるけど事故で中止になった公演の再演)
そうなったときに公演中止を選択できるリーダーが本来いいんだろうけど、やりたいよね。

2回目の観劇のとき、旗揚げ公演のシーンがグサグサ刺さってしまった。初っ端から脆く崩れていく青春を目の当たりにしてしまって、心に柔らかい棘のように刺さって抜けない美しいシーンだと思った。

変わらないままでいようなと言った人間が10年後、周りに置いていかれてる気がすると思ってしまうことだったり、続けていく中で方向性が合わなくなっていってしまって抜けてしまうことだったりがあっても、素晴らしい作品を生み出し続けるからこそ憧れて仲間になる人もいる。最初じゃんけんに負けただけで演出になったはずなのに才能だと言われて次を求められる藤堂のプレッシャーは想像を絶するものがある。
劇中にもあった話で、観る側にはそんなこと関係無くて作り手から観せてもらう作品を受け取って万雷の拍手や称賛を贈っているけど、それに10年応えてきている事実があっても苦しかったんだろうな。

劇中、Creepy Nutsのトレンチコートマフィアでダンスシーンがあったんだけど、Crazy Dogg'sってカンパニー名の理由が分かった気がしました。だんだん後から入った人の方が増えていく中で、雰囲気は変わりつつあるのかもしれないけどギラつきというか。踊りたくて踊っているんだけど、"いつか見てろ"と。そんな野心を抱えてたんだなって。怖くて震えそうで必死に自分を奮い立たせていても観てる人に届けてやるぞ!って思いを感じた気がしました。

どんな役もちゃんと人としての感情があって、出番の長さって関係ない筈なんだけどそれを見せられるかどうかは台本と役者さん次第だなあと今回つくづく思いました。
気持ちに寄り添える気がすることや理解できるなぁと思うことも多くて、そんな人達が必死に悩んで苦しんでいる本番を望んでる。心を震わせずにはいられなかった。

本番期間中に豪雨があって新幹線すら止まっていたり電車が遅れてる時があったんですけどそれで劇に間に合わないかもしれないみたいな人をネットで見たときに、ちゃんと幕が開く事がどれだけ素晴らしいことなのかそこに立ち会える事が奇跡のようにありがたいことなんだろうと思いました。
そういう意味ではアメリカ・カンパニーのCHICAGOを抜けたサクマ先生に涙を禁じ得ない…本当に…。役者の主治医をしていて本番前の筈なのに倒れたって聞いたら確かに居ても立っても居られなくなりますよね…

上演中に起きる舞台の上と客席の間の気持ちの行き来。緊張感や恐怖、感動に楽しさ、他にも色んなものが行き交ってだんだんと高まっていくその先にきっとスタンディングオベーションがある。産みの苦しみも今この一瞬しかこの場に存在しない時間のことも尊く思えた舞台でした。

千秋楽はスタンディングオベーションで迎えられたと聞いたけど、是非とも旗を下ろしたりせずにまた公演をやってくださったら嬉しいなと思いました。

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