【自由律俳句】お彼岸で十三句
我の心を開放するため、
感性をより一層磨くため、
言の葉を切り取る白刃を研ぎあげる
砥石となれ自由律俳句よ
お彼岸で十三句
おはぎ供えた草陰のこおろぎ
父の背中にぶら下がった白いランニング
車窓の木が走り去ったアスファルトの跡
墓石に水がしたたりアマガエルが喜ぶ詩
草陰からトカゲがまた明日という
彼岸花を斜め下から眺めた空
水面にひかる真珠のネックレス
おばあちゃんが横一列に並んだ向こう岸
ご先祖様が米粒になった砂時計
コロコロ転がるきな粉餅
小枝運ぶ蟻の行列に合掌
棺桶の閉まる音は忘れた
小さな大仏に手を合わす朝
魚座尾 心の俳句