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【AOE2DE】弓騎兵メタとはなにか

2024年9月現在の流行戦術、弓騎兵メタについて概説します。城主の時代以降で出せる「弓騎兵」を使って中盤の優位をとるものです。トッププロの対戦では領主後半の主役が斥候/槍/散兵となっていることが多い。この戦況に対してこっそり建てておいた弓小屋から突然現れる弓騎兵が有力になる……という話をします。
※「メタ」……色んな意味のある言葉だが、ここでは「流行戦術」の意味。


元動画について

元動画「Another Insane Meta Shift in AoE2」は、最近の1vs1アラビアで流行している弓騎兵メタについて扱ったものです。本稿では基本的にこれを抄訳しつつ、補足を加えていきます。

具体的戦術

領主の時代までは斥候戦術をとることが多い。斥候は5~10体の間に留め、城主進化を押したあとに囲いの内側、相手から索敵できないエリアに弓小屋を2個建てると同時に、畑農民を一定人数剥がして木こりや金鉱に割り振る。また、進化中に血統や矢羽根、弓鎧1などの研究を済ませておき、城主inと同時に弓騎兵を溜めていく。4~5体溜まったところで出撃して相手の意表を突く……というのがポイント。
特に相手が斥候対策で槍を溜めている時には有効。領主で散兵や射手を出して対抗するのではなく、相手の進化が遅れることを計算に入れて自分の城主inを急ぐ。
そのまま帝王まで重弓騎兵化して突っ走るのではなく、20~多くても40体前後で相手の内政を荒らしつつ兵種シフトを誘い、そこから自文明の理想的な編成に近づけていくのが主流。
例: 相手が散兵に切り替えた→騎士系統を改めて主力に据える
例: 相手がハスカール、イーグルやグーラム等の弓アンチに切り替えた→騎士や剣士で対抗する

弓騎兵のメリット

(射手との比較)……
移動速度が速い: 騎士とラクダ騎兵の中間。このため、相手の騎乗ユニットに追いつかれて殲滅されるリスクが低い。また、投石機等に対してもヒットエンドランや、懐に入り込んでの攻撃も容易。
その他……
木と金で育成できるため、畑で[木→肉]の転換に要する時間を省ける(騎士等との比較)。このため、畑農民を最小限に減らして木や金を多めに取れる(10/2追記。最大のメリットを書き忘れていました)。
騎兵育成所でのテク研究により強化可能(血統繁殖等)。
鉄工テク(矢羽根~矢尻~小手弓鎧1~3)や弓懸、弾道学等が射手と共通。
帝王以降でパルティアン戦術によりさらに強化可能。

弓騎兵のデメリット

(射手との比較)……
コストが高い: 射手(25W45G)に対し弓騎兵(40W60G)と約1.4倍。
数が揃わない: 領主で射手として溜めて石弓化できるのとの比較。
命中率が低い: 射手80%、石弓85%に対し50%(但しどちらも弓懸で100%化)。
射程が短く、視界が狭い。
その他……
耐久性や防御力が低く、脆い。足を止めて殴られると負けるので、引き撃ち等のこまめな操作が必要。攻囲兵器やラクダに弱い。

向いている文明

フン、リトアニア、マジャール、モンゴル、タタール、トルコ、ベトナム等、文明ボーナスやユニテクでメリットのあるものが向いている。いわゆる馬文明で、斥候から素直に騎士を出していると対策されて戦果を挙げられない……という陥穽を避けるのが主眼。逆に弓文明でも、最初から散兵で待ち構えている敵に斥候をぶつけて、そこから弓騎兵シフトが考えられる。

背景

(1) 「最強」騎士戦術に対抗するための爺斥候

まず、現環境では城主で騎士を出すのが最善かつ最強の戦術と言われています。特に1300以下では顕著だ、とHeraは語っている(2024/7/18)。

もちろん文明によって理想の編成、理想の展開は違って当然ですが、騎士を出せるならそれがベストな場合は多い(下記の記事も参照)。

しかしながら、上位層になるほど戦術を読んであらかじめ対抗策を考えるようになります。例えば相手がフランクなら、どう見ても斥候→騎士を出してきそう。ならば、自分はアンチユニットである槍/長槍や聖職者、出せるならラクダ等を出します。またリトアニアやブルゴーニュ等、聖なる箱のメリットが大きい文明ではただでさえ城主序盤の箱争いが熾烈になります。そして聖職者へのアンチは騎兵(斥候からアップグレード)。このため、領主から斥候を出しておき、城主に入ったら聖職者を狩りあう、というのが一時の流行となりました。

(2) 斥候には射手でなく散兵を添えがち

一部界隈で「軍兵弓ができて一人前」と言われたのも今は昔。民兵や軍兵は「序盤にしかボーナスがない文明」の「でもしか戦術」となって久しいです(ブルガリアや日本等、民兵/軍兵でもやるしかない)。その結果、序盤の射程ユニットを選ぶ際の射手の優先度が下がりました。

また、仮に相手が民兵/軍兵を出してきても、農民1人分早く進化しておいて散兵の引き撃ちをすれば無力化できてしまうというのが現環境です(移動速度の差があるため)。
散兵を出すメリットは他に
金が不要かつトータルのコストも射手より低い
・育成速度(22秒)が射手(35秒)より短い
等を加味して、斥候戦術を予定していたとしても弓小屋を1個建てるだけなので切り替えが容易です。散兵の天敵は斥候(騎兵)ですが、これは自分も斥候を出すか、槍を出して防御的に構える等で対策ができます。

「だから弓騎兵」となる理由

したがって、トッププロの対戦では領主後半に斥候/槍/散兵がいることが多い。この戦況に対して有力なのが、秘匿した弓小屋から突然現れる数体の弓騎兵というわけです。まず、は簡単に排除できます。散兵からは一旦逃げて、孤立したところを自軍の斥候/騎兵で始末します。斥候/騎兵に対しては引き撃ちが必要ですが、騎士と違って射程防御が低いため馬鎧1程度の段階であれば脅威ではありません。自陣付近の敵を撃退できたら、今度は機動力を活かして相手内政の荒らしに向かいます。
また、相手が城主inから兵器を出してきても機動力があるので躱しやすいし、弓騎兵には最小射程がないので懐に入って破壊できます(もちろん、自分が投石機を出してもいい)。聖職者に対しては一定数を溜めて遠距離から射撃。騎士やラクダが多数溜まってしまったら厄介ですが、内政を荒らすことで軍を溜めさせない、というのがこの戦術の肝要なところです。

Heraが強調しているもう一つの重要ポイントは、「弓騎兵にパッチで強化が入ったから」等の外部要因で流行しているのではない(元動画9:20~)、ということです。あくまで現環境で何が強いか、一生懸命考えた結果として生まれた戦術ということで、こうなると囲碁や将棋に近いものを感じますね。

本文は以上。ご意見、ご感想はツイッターまで

余談(1) 弓騎兵関連データ

本文にいれると煩雑なのでここに書きます。

弓騎兵の基礎データ

コスト: 40W60G
育成時間: 34秒
HP 50→血統(150F100G)で+20
攻撃力 6+2
射程 4+2
防御力 0+2/0+2 (以上、鉄工テク2段階)
命中率 50% → 弓懸(300F200W)で100%に。重弓騎兵も同様
移動速度 1.4……騎士(1.35)より速く、ラクダ・ステップランサー等(1.45)、騎兵/ハサー(1.5)よりは遅い。繁殖(150F)で1.54に。重弓騎兵も同じ。
出せない文明……ボヘミア、新インド3文明(ベンガル、ドラヴィダ、グルジャラ)、中南米文明(アステカ、マヤ、インカ)

重弓騎兵の基礎データ

アップグレードコスト: 900F500G
育成時間: 27秒
HP 60→血統で+20
攻撃力 7+4
射程 4+3
防御力 1+3/0+4 (以上、鉄工テク3段階+化学)→更にパルティアン戦術(200F250G)で1+4/0+6
命中率 80%
出せない文明(上記以外)……アルメニア、ブルゴーニュ、イタリア、マレー、ポルトガル、シチリア、チュートン、ヴァイキング

文明ボーナスやユニテク込みでの文明別・弓騎兵についてはこちらの記事が詳しいです(2023年2月時点)。

重弓騎兵にアップしないからといって諦める必要はなく、最終的に勝ち編成を出すための繋ぎと割り切るのが良いそう。流石に弓懸もパルティアン戦術もない文明は向いていないかもしれない……が、ブリトンで意表を突いた実戦例や、弓騎兵が強いとは到底言い難いマレーでの戦例すらある。

弓懸がない文明

アルメニア、ブリトン、ブルゴーニュ、ビルマ、ケルト、フランク、ジョージア、ゴート、クメール、ローマシチリアスラヴチュートンヴァイキング

パルティアン戦術がない文明

イタリア、朝鮮、リトアニア、マレー、マリ、ポーランド、ポルトガル、ローマシチリアスラヴ、スペイン、チュートン、ベトナム、ヴァイキング

余談(2) 3年前にはこんなこと言ってたのにね

Making Cavalry Archers Seem Useless?!「弓騎兵、使えねえのでは!?」というド直球のタイトル(2021/03/05)。トッププレイヤーの一人、Mr_Yoが当時のインド文明(DLCで4分割される前)で弓騎兵をかなり大量に出していたのを、ほぼ全て石弓のマイクロ操作で蹴散らした動画。Heraの文明選択は日本。

月日が経てば戦術の流行も変わるもんですね。

こちらもあわせて御覧ください。


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