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目に見えない熱を、失わせぬまま形にする

以前、取材先で「大切なのは材料なんです。僕らは、そのポテンシャルを100%活かすのが仕事。手を加えるなかでどうしても減ってしまうけれど、できるだけ元の状態から減らさないようにしたいんです」というお話を伺った。

昨日は、越谷市にある旧日光街道で行われた「ひなマルシェ」というイベントに行ってきた。以前インタビューをさせていただいた「はかり屋」の「つると」さんのお話で知ったイベントだ。

「行くつもりです」と編集長に伝えたら、「レポートにしてもらえたらうれしい」と言われ、公私混同で出かけた。

行く先々で写真を撮り、会話を交わす。お聞きした内容を、「ここにレポート記事を掲載するんですが、お載せしていいですか」とスマホ画面を見せながら打診する。どの方にも快く「いいですよ」と言われ、ほくほくした気持ちになった。

「あ、知ってます、そのメディア」という反応ももらった。越谷でお店を営むひとだった。「最近、この記事読みましたよ」「それ、わたしが書かせていただいたものなんです」。笑顔が弾ける。「よかったよ」と言われ、じんわりと満ちていく感覚を味わった。

「記事を読んでお店に行ってみた方がいるみたいです」「記事のおかげか、チケットがソールドアウトになったそうです」

これまでに携わったさまざまな仕事で、クライアントさんから伝聞で聞いたことが何度かあった。どれも、「読んでもらえたんだ」「届いたんだ」と思えてうれしかった。

ただ、ご本人から「読んだことありますよ」と伝えられるのは、より一層うれしいものなのだなあ。

取材先でも「読みました。わたしも記事になるのを楽しみにしています」と言っていただけることが増えた。地域メディアだからこその反応なのかな、と思っている。多くのひとが、同じ地域のためにそれぞれのフィールドで活動しているのを知るのは、毎回とても楽しい。苦労もたくさんあるだろうに、語ってくれるひとたちは、みんな未来志向だ。いいエネルギーが巡っているなあ、と思う。

このメディアだけではなく、今わたしは「ここにこだわりがあるんです」「これがめちゃくちゃすきなんです」「こんなことをやりたいんです」という思いに触れ、文章にする仕事に携わっている。どのひとも熱量が半端ない。

文章は、書きようによって簡単に温度をなくせる。よいひとに出会え、素敵なエピソードに触れられても、手を加えるなかで魅力は簡単に減らされてしまう。

熱量をできる限り減らさぬようにしたい。体温のある情報を伝えたい。取材相手の方が言っていたことと同じようなことを、全然違う仕事をしているわたしも考えている。

スポットライトというか、メイクさんというか、拡声器というか。表舞台に立ち慣れていないひとであっても、そのよさが誰かに存分に伝えられるような仕事をしたい。誇張ではなく、伝わる形に整えたい。

これは、仕事としてはもちろん、ひとの生き方や考えへの興味が尽きないわたし個人が携わり続けたいことでもある。よいものを、「よいものだ」と誰かに伝えられる。そんな文章を書けるよう、もっともっと成長したい。



そんな楽しませていただいている地元メディアの記事はこちら。

昨日のイベントの様子はこちら。来年もぜひ行きたい。


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卯岡若菜
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