#オリジナル
【小説】線香花火は消えない
「……あ」
「何?」
「ううん、何でもない」
ふうん? と小首を傾げて、水穂は歩みを再開させた。わたしの半歩先を、つま先をちょっぴり蹴り上げるようにして歩く水穂の背には、以前のように左右に揺れる髪がなくて、まだ見慣れない。
*
「髪切ったんだ」
待ち合わせた駅前で、水穂は耳の上の髪を軽くかきあげながら笑った。理由は尋ねなかったのに、水穂は勝手に「別れたんだよね」と言った。
「今どき、
「……あ」
「何?」
「ううん、何でもない」
ふうん? と小首を傾げて、水穂は歩みを再開させた。わたしの半歩先を、つま先をちょっぴり蹴り上げるようにして歩く水穂の背には、以前のように左右に揺れる髪がなくて、まだ見慣れない。
*
「髪切ったんだ」
待ち合わせた駅前で、水穂は耳の上の髪を軽くかきあげながら笑った。理由は尋ねなかったのに、水穂は勝手に「別れたんだよね」と言った。
「今どき、