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詩ことばの森(293)「怪しい人」

怪しい人

町を歩いてたら
猫が顔を向けていた

あきらかに警戒しているらしい
そんなに怪しい雰囲気なのかと
自分で自分を疑ってみたくなる

実はそれほどまで
僕は着のみ着のままのようなのである
妻が僕にそういうのであるから
やはりそうなのだろうと反省してもみるが

猫にさえ怪しいおじさんに見えるのであれば
これはいよいよ改めねばならない
僕はそう思うと
そそくさと猫の前を通り過ぎたのであった

(森雪拾)

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