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詩ことばの森(98)「冬のポケット」

冬のポケット

僕はポケットに手を入れたまま
丘の上から街を眺めていた
心のありかを確かめるように
冷えた手をポケットで握った

街はかなしい空色だった
人になじめぬ僕の目には
まぶしすぎる青色だったが
冬の光は寡黙なほど白いのだ

人は愁いをおびた影になって
透明な街をゆきすぎる
かなしいほど青い空の下を
冬の木ばかりが銀色に光る

僕はポケットに手を入れたまま
丘の上から空を見つめていた
ポケットの中は空っぽで
手はわずかに虚空をつかんでいた


(森雪拾)

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