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詩ことばの森㊹「坂のある町」

坂のある町で生まれ育った私は、坂のない町に憧れたものです。どこに行くにも、がんばって登らなければいけないからです。ある時、高齢の女性から「坂があるから、私は足が丈夫なのよ」とうかがいました。なるほど、坂のある町も悪くはないかな、など思い直したものです。

坂のある町

坂のある町の思い出は
遠くまで見渡させた空です

白い空に下に見えたのは
白い教会の黒い十字架です

小さな家々の屋根が
ひしめきあう町は
私のふるさとです

友だちはみな 町をはなれて
遠い空の下で 暮らしています

空をながめていたら
子どもたちの声が聞こえてきました

広い空の下を
黄色な帽子姿で歩いていきます

              森 雪拾


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