見出し画像

詩ことばの森(273)「ふるさとの町 ふるさとの山」

ふるさとの町   ふるさとの山

数年振りのふるさとは
みぞれまじりの雪だった
幸いに風は吹いていなかったが
冬の寒さは身にしみた

城山を登り
町を眺めていた
学生のころと変わらない
見なれた景色のままだった

ふるさとを
忘れたわけではなかったが
長い都会暮らしの僕を
迎えてくれないとは思わなかったが

その時   ふるさとの寒そうな雲から
大きな山が顔をのぞかせた
奥ゆかしい女神のような気がして
僕はようやく安心したのだった

(森雪拾)

いいなと思ったら応援しよう!