詩ことばの森(135)「岬」
岬
葬り去られた季節
まるでパーフェクトな兵卒
その誇り その名誉
彼の紅潮した頬を
冷たい風が横切っていく
幻影の盾を抱えながら
衣服も着けずに
肢体は岩の影に
投げ捨てられて
彼は亡骸を
岩に巻き付け
透明なほど青い
海に佇んでいる
どこに行くことも
たどり着くこともない
色もなく匂いもない
形もなく気配さえない
もう幾度訪れたことか
白く乾いた岬では
砂岩が時々
風に削られる音が聞こえる
(森雪拾)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?
岬
葬り去られた季節
まるでパーフェクトな兵卒
その誇り その名誉
彼の紅潮した頬を
冷たい風が横切っていく
幻影の盾を抱えながら
衣服も着けずに
肢体は岩の影に
投げ捨てられて
彼は亡骸を
岩に巻き付け
透明なほど青い
海に佇んでいる
どこに行くことも
たどり着くこともない
色もなく匂いもない
形もなく気配さえない
もう幾度訪れたことか
白く乾いた岬では
砂岩が時々
風に削られる音が聞こえる
(森雪拾)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?