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詩ことばの森⑦「道祖神祭り」

祖父母の村では 子どもたちを中心に 道祖神の御祭りをしていました 
大きな燈篭を掲げて 田圃のあいだの道を 大勢の子どもたちが歩くのです
わたしは小学4年生くらいでしたか 一度だけ参加したことがありました
東京から泊りにきていたわたしを 祖母が好意から参加させたのでしょう
楽しいから 行っておいで ということだったと思います
ところが わたしは人見知りのつよい子どもでしたから 
楽しいどころか 居心地がよくなかったことをおぼえています
今でも時折 道祖神祭りの光景を思い出します
今年も 子どもたちは 道祖神様のまえで にぎやかに歌っているだろうか
そのなかに 見知らぬ青白い顔の少年が立っていたりして・・・
そんなことを考えては なつかしい思いになります

道祖神祭り

冬空のした 
おいちに おいちに
こどもらが つくった燈篭をはこんでいく
どこにはこんでいくのか わたしは知らない
わたしは よそからきたこどもだから
こどもらがしゃべることばも わからない
わたしのしらない町の
わたしのしらない神様のうた

 そじーん そじーん
 どーそじーん
 きょうは みんなで
 どーそじーんまつり

くらい祠のなかでは くらい顔した神様が
こどもらに囲まれて 喜んでいるらしい
わたしの目には わからない微笑みで
わたしの耳には ききなれない呪文のような
顔と言葉が右往左往して くらくらする
こどもの好きな神様らしい
こどもを守る神様らしい
都会からきた 神経質なこどもを
あなたはご存じですか
町のこどもらが物珍し気にのぞいているのは
くらい顔した神様ではなくて 
わたしの顔だったことにきがついた

 そじーん おまえのことだ
 そじーん おまえはだれだ
 きょうは みんなで
 どーそじーんまつり

やがて 歓声とともに
燈篭がたかく掲げられた

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