見出し画像

態度豹変の医師

あれは暑い夏の1日。
300床の病院で、血管外科から立ち上げて、その後心臓血管外科まで診療範囲を広げたい思惑の病院での採用面接でした。

汗をかきながら病院に来られた少し強面(こわもて)の医師は心臓血管外科専門医で、直前の所属が某大学病院でした。
紹介会社さんの紹介で来院され、事前情報では「心臓外科・血管外科領域ともに経験豊富で、大学を出て市中病院で頑張っていきたいと積極的な50代前半の医師」とのことでした。

あいにく紹介会社の担当は交通渋滞で遅れており、当院院長をお待たせするのは申し訳ないので、先に始めていてくださいとのこと。

私が医師採用窓口でしたので、私が玄関でお出迎えし、会議室にお連れしました。
その瞬間、耳を疑いました。

「おい、冷たい水を持ってきてくれ!!」


「は?」
この人は何を言っているのか、私の時間が数秒止まりました。

面接に来て、自分を採用してもらいたいから来ているのに、挨拶の前の初めの一言がそれか??

・・・
・・・

私も冷静になり、良い医師であれば病院にメリットはあるし、せっかく紹介していただいた医師ですから非礼のないようにと冷水をお持ちして、落ち着いたところで院長と事務長をお呼びしました。

そして無事面接が始まりました。

事務長の病院説明に丁寧にうなづき、院長の病院の方向性の話に笑顔で共感し、「是非一緒に働かせていただきたい!」と院長と握手を交わし、前のめりで面接を終えました。

「ではあとは事務方と院内見学をしてもらって・・・」と院長が退席。

ここで事件が起こります。。。

事務長と私の、つまり事務方だけになった途端に豹変したのです!!


「っていうか、この部屋暑いし、また冷たい水を持ってきてくれない?」

「もう採用ってことでいいんでしょ!?」

「見学はいいから帰っていい?」


もう空いた口が塞がりません。

事務長と顔を見合わせた私は察し、「ありがとうございました。お帰りいただいて大丈夫ですよ」と笑顔で言いました。

そして帰るタイミングで紹介会社の担当者が病院に到着したようで、病院の玄関でお会いしましたが、医師が帰るタイミングであったので、「先に医師と打ち合わせをしてから伺います。すいません」と言って医師についていきました。

我々は打ち合わせをすることもなく『不採用』にしたことは言うまでもありません。

紹介会社から聞いていた事前情報においても、医師をよく見せるにも程があるなという印象でした。そもそも紹介するにあたってこの医師とちゃんと面談をしたのかなって感じます。

後日談ですが、医師の世界は狭いので色々な情報が入ってきます。
その医師は当時某大学病院で手術ミスを頻発しており、教授から手術室を出禁になるくらいの医師であったそうで、その情報を教えていただいた方から「採用しなくてよかったね」と。

まとめ

数百名の医師と面接をした経験から言わせていただきますと、技術的な優劣や積極性・消極性などもありますが、やはり最後は「人柄」に尽きます。
通常の会話も一方的であったり威圧的であったり、無口・無愛想では患者さんも診てもらいたいと思いませんし、そんな医師が熱意を持って病院経営に協力するとは思えません。

今回の医師は職種によって態度を変える人間で、かつ自分の立場をわきまえず、謙虚さのかけらもない医師でした。
非常に残念な面接の一つでした〜

皆様のサポートは、将来に不安を感じる医療・介護業界の支えとなるコンサルタントとしての活動費に活用させていただきます。 よろしければサポートをお願いいたします!