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人間性って出てしまうよね〜

この日は、新病院建設に向かって救急を強化したいということで、救急専門医を面接することになりました。

オール急性期病棟で勝負するには、やはりいかに救急患者を受け入れて病棟稼働率を上げ、手術適応患者を集めるかが大切です。

今まで救急対応は各診療科の医師が対応していましたが、通常の業務の途中で呼ばれていると対応が難しかったり、忙しさで救急を断るケースも散見されたので、やはり救急専従医を配置することは重要だと考えました。
(このポジションを最近の傾向としては、総合診療医としている病院もあるようですが、厳密には救急と総合診療は違うのでは?と思ってます…)

いつも通り病院でその医師が来院されるのを心待ちにしておりました。
そんな中、『ドカンッ!!』と病院の外から聞こえてきました。


この病院は駅から近いのですが、少し道の狭い道路で囲まれています。
そのため、車の往来は少し気を遣います。

案の定、車同士の事故でした。
院長・事務長と3人で院長室で待機していたら、一本の電話が鳴りました。

「病院の近くで車でぶつかられてしまいました。警察を呼んでいますので面接に遅れますが待ってもらえますか?」

私たちは目の前の事故が面接に来られた医師が被った交通事故なのだと分かり、「お身体大丈夫ですか?」「こちらもお手伝いいたしましょうか?」と伺ったところ、『いやいや大した事故ではないので体も大丈夫ですし、相手も大丈夫そうなので、このまま警察を呼びます。お待たせして申し訳ありません」との返答。

この医師はもらい事故なので過失は無さそうでしたし、何より怪我など双方になかったことが良かったなと話をしておりました。

上の窓から様子を見ながら、当院の職員に「何かお手伝いしましょうか?」と聞くように向かわせました。大丈夫と言われても病院前の事故ですし、もし少しでも怪我などがあれば当院で対応しようと考えておりました。

しばらくして、向かわせた職員が微妙な表情で院長室に戻ってきました。

その医師のところへ行ったら、
「大丈夫だって言ってんだろ!余計なことをしないで帰れ!」
こう言われたそうです・・・

院長・事務長と3人で目を丸くしました


その後警察が到着し、その様子を我々は覗いておりました。
そうしたら警察への対応こそ普通ではあるものの、事故を起こした(ぶつけられた)相手に対しては、怒鳴り散らかして非常に高圧的な態度でした。

上から見ていた我々も少し引くほど怒っていて、相手が気の毒になるくらいでした。
また3人で顔を見合わせて苦笑いでした。


その後警察の事情聴取も終わり、解放された医師が院内へ面接のために来院されました。
「ご迷惑をおかけして、お待たせてしまい申し訳ありませんでした」と丁寧に頭を下げられました。先ほどの態度はいずこに…

面接は滞りなく進み、いつも通りに病院Visionや業務内容、待遇面をご説明し、一定の質疑応答も終え、満足気にお帰りになりました。

いつものように面接の振り返りを行いましたが、一言目で結論が出ました。

皆さんもお分かりですね?


全員 「不採用で!」


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