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広くて快適!最新仮設トイレ事情とは

最近では少なくなりましたが、外観が電話ボックスに似ていて、簡単に運搬できるトイレのことを「仮設トイレ」といいます。

花火大会、マラソン大会、野外フェスなどに設置されますので、一度くらい使ったことがありますよね?

(写真:日本トイレ研究所)

この仮設トイレは、実は建設現場で使うために、埃や汚れ、雨風にも強く、コンパクトで運搬しやすく、頑丈というようなことが重視され開発されたものです。建設現場が日常的に最もニーズがあり、商売になるからです。

仮設トイレのうんちやおしっこは下水道には流れず、バキュームカーで汲み取ることが基本です。仮設トイレに入る時に2段くらい昇るのは、便器の真下にうんちやおしっこを溜めておくタンクがあるからです。

仮設トイレに和式便器が多い理由としては、掃除のしやすさや大小便を兼用しやすいこともありますが、そもそも和式トイレが主流だった時代につくられた製品であることも大きな理由だと思います。

また、かなり古いタイプの仮設トイレは「ボットン式」です。ボットン式というのは俗称ですが、便器に大きな穴があいていて、うんちやおしっこを真下のタンクにそのまま落として溜める仕組みです。

もちろん、水洗ではありません。前の人のうんちやおしっこは、丸見えです。しかも、夏の暑い時期はかなりくさいです。使ったことがある人であれば、この不快感、分かりますよね……。

仮設トイレは、花火大会などのイベントだけでなく、地震などの災害時に避難所にも設置されます。

避難所には、ケガをした人、高齢者、障がい者、そして子どもたちもいます。

このような方々にとって、前述の仮設トイレが使いやすいでしょうか?

ほとんどが和式ですし、建設現場で働く健康で体力のある人が使うことを目的に開発されたものですから、被災者にとって使いやすいわけがありません。

足腰の弱いお年寄りは、しゃがむことができないので、せっかくトイレが届いても使用できず、なかには頑張って使用しようとして、トイレから転げ落ちて骨折してしまったケースもありました。


仮設トイレのイメージ一新を目指す

そんななか、くさい、使いにくいというイメージだった仮設トイレが進化を遂げようとしています。

平成28年8月、国土交通省は建設現場の職場環境の改善を目的として、男女とも快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付けるとともに、「快適トイレ」に求める機能を決定しました!(下表)。しかも、平成28年10月1日以降に国土交通省が入札手続きを開始する土木工事においては、快適トイレを基本としています。

快適トイレとは、たとえばこんな感じです。

洋式便座が必須項目なので体力がない方にも使いやすいですし、簡易水洗機能やにおいの逆流を防止するフラッパーもついていますから、臭いも大幅に改善されています。1枚目と2枚目の写真のトイレは、うんちやおしっこを溜めるタンクを洋式便器の横や後ろに設けることで、入口の段差を解消しています。

他にも良くなった点としては、室内が広い、清潔感がある、設備が充実しているなどがあげられます。

一方で、以前よりも設置スペースが必要だったり、トラックにたくさん積めないため運搬コストがかかったり、設備自体のコストアップなどが課題ではありますが、利用者にとって安心で快適であることが大切ですので、ぜひ「快適トイレ」が普及してほしいです。


建築現場のトイレが変われば、いろんなトイレが快適になる!

前述のように、仮設トイレの市場は、建設・建築業界がほとんどです。

ということは、この業界のトイレが変われば、花見や花火大会、マラソン大会、そしてオリンピック・パラリンピックなどなど、様々な屋外イベントのトイレが変わることになります。

さらに、避難所に届けられる仮設トイレも快適トイレに変わっていくことが期待できます。これは屋外のトイレ環境改善に向けた貴重な取組みです。

トイレが原因で外出を控えてしまっている方も少なくないと思います。まだまだ課題はありますが、ひとりでも多くの方が安心して外出できるよう、そして避難所のトイレが少しでもよくなるよう、快適トイレがどんどん普及してほしいと思います。

日本トイレ研究所では、質的改善の推進と快適トイレの普及を目的に、国土交通省が定める快適トイレの標準仕様に則った「快適トイレ認定」「快適トイレ認定マーク」発行を開始しました。(詳細はこちら)。

快適トイレ認定マーク(見本)※無断転載・複製を禁ず

街なかで仮設トイレを見たら、このマークがあるかどうか、ぜひチェックしてみてください!


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