UNSCAPE

アンスケープ 鈴木学と横山由美子と木村麻人によるデザイン事務所。建築・インテリアをメ…

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アンスケープ 鈴木学と横山由美子と木村麻人によるデザイン事務所。建築・インテリアをメインに東京・熱海を拠点としてデザインを手掛ける。主に、ホテル、旅館、飲食店、ショップ、住宅、展覧会等。

最近の記事

夢十夜

コォーッ、と至るところから湯煙が立ち昇る懐かしい温泉街を親子が手をつないで歩いていた。海から山へと続く坂には射的場や小さな飲食店が並び、向こうの山では春が新緑を照らしていた。坂から橋を渡った先には一軒の旅館があった。昭和初期に建てられたその旅館は時代と共に改装や増築で姿を変えながら歩んできた。しかし時代は加速し続け、その旅館はいつしか歩みを止めた。そして時代の新たな幕開けを告げるようにコロナという大波が世界を飲み込み、その旅館は最後の力を失った。 はじめて現場に訪れたのは、

    • 鈴屋 / SUZUYA

      温泉地、熱海。海と山をつなぐ坂道からは海や家々の屋根を見渡すことができる。散歩していると思わぬ風景に出会えることがこの町の魅力の1つだ。 鈴屋は伊豆山港から歩いて5分、滝の上に立っている。築70年の木造が細長くつながっており、地下には当時バーだった部屋が残っている。 5年前に祖母が亡くなってからは手つかずのままだったが、あるきっかけから住むための改装を始めることになった。 自分も含めセルフビルドの経験もない友人達と試しに解体から始めた。 やってみないとわからない事も多く

      • ENOTECA MANIFATTURA

        熱海駅から数分、観光客で賑わっている商店街を横道に逸れてその店に向かう。身なりを正して緑の扉を開けるとカウンター越しに萩原さんが立っている。こちらに視線を向けるといつものように軽く挨拶を交わす。 ワインバー、エノテカ マニファトゥーラは熱海の中でも無国籍な空間と時間が流れる稀有な場所。店の中には時代や国も問わず様々なアンティークが溢れ、ふと気づくと自分がどこにいるのかわからなくなっている。そしてオーナーの萩原さんは本、アート、音楽をこよなく愛している。 初めて出会ったのは

        • Le Proust MIURA ル プルースト ミウラ

          三浦賢也シェフと進行中の現場へ。熱海のひらまつホテルズで料理長を勤めた三浦氏が次に目指すレストラン、それは時折香りから記憶が蘇ってくるように、日常の中でふと思い出してまた足を運びたくなるような場所。 熱海から車で山へと向かうと、柔らかな佇まいの一軒家が迎えてくれた。 今回UNSCAPEはレストランのアートコーディネートを任されている。三浦氏から幾つかの要望と想いをお聞きした後、料理を体験することができた。地域の生産者とこだわり抜いた食材から生まれる1つのコースから伝わってく

        夢十夜