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【感想】読書感想文「死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#1 追憶(recollection)」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0037

妻は殺された--
封印された呪いの扉を開いて……。
解っていても騙される!
叙述トリックの鬼才が仕掛ける騙しの迷宮にようこそ!
一本の電話が、彼を栄光の頂点から地獄へと突き落とした。
──脳外科学会で、最先端技術の論文発表を成功させた大学助教授・堂上富士夫に届いたのは、妻が田沢湖で溺死したという報せだった。彼女は中学時代に自らが遭遇した奇妙な密室殺人の真相を追って同窓会に参加していたのだった。現地に飛んだ堂上に対し口を重く閉ざした関係者たちは、次々に謎の死に見舞われる。
(旧題「田沢湖殺人事件」)

追憶(recollection) - 徳間書店
https://www.tokuma.jp/book/b598629.html

ネタバレあり感想。

復刊三部作の一作目。
とても時代を感じる作品だった。
改題前の『田沢湖殺人事件』は1990年の作品らしい。
生まれてすらいない……。

同窓生名簿、喫茶店のマッチ、市外局番など、使ったことがない or 知らないものが目白押し。
じゃあ、古いから楽しめないのかというと、そんなことは全くなく、当時の空気感も含めて面白く読める作品だと思う。
特に市外局番の件は、そういう仕様だってことを知っていないと真相解明の快感は薄まってしまう気もするけれど、私は積極的に謎を解こうというよりは、素直に「へ~!」と驚きながら読みたい方(※)なので、知らないこと≒デメリットにはならなかった。
(※謎解きしながら読めるほど頭が良くないとも言う、悲しいね)

本格ミステリの定義は良く分からないけれど、探偵役が二人登場して、そのうち一人が実は犯人だったという展開だったり、窓ガラスを利用した錯覚だったりと、本格ミステリっぽさ?も感じられて、読み味は重厚。
時刻表を使ったアリバイ崩しも、ミステリらしさを堅牢なものにしているように感じた。
美保が残した便箋の内容が合間合間に挿入されるのも、真相に近づいていくことへの焦燥感が煽られて、読んでいて楽しかった。
こういった文章構成も含めて、とても良質なミステリを読んだなあという気持ちになりました。
二作目も読んでみようかなあ。

※余談
ちなみに私は、時刻表トリックが解けたことがない。というか、楽しみ方が分かってないという方が正しいかも。
「この駅まで行けば、この電車に間に合う」とかって、時刻表から読み取るの難しくない……?
時刻表自体は作中でも提示されてる(登場人物たちはいつでも見られる)はずなのに、登場人物たちも後になって気付くぐらいだから、やっぱり相当読み慣れてないと気付かないものなのかなぁ。

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