【感想】読書感想文「その日、朱音は空を飛んだ」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0040
青春群像劇として、胸が痛くなりながらも、ページを捲る手が止まらない一冊でした。
確か武田綾乃先生ご本人のTwitter(現X)で「読書感想文として読むなら」というお題でご紹介されていたうちの一冊だったと思う。
ダーク系として本書「その日、朱音は空を飛んだ」を、ライトなものとして「青い春を数えて」を購入。
読書感想文の季節とは言えない時期になってしまったけれど、まずは「その日、朱音は空を飛んだ」を読み終えたので、その感想を書こうと思う。
冒頭にも書いた通りで、本書は群像劇。
私が最初に読んだ群像劇は、多分、朝井リョウ先生の「桐島、部活やめるってよ」だったと思う。
「主人公を限定せずに、色んな人物の視点から書いても良いんだ!」と驚いたと同時に、面白いなあと感動した記憶がある。
以来、群像劇を読むたびにワクワクした気持ちになるし、本書を読んでる時もそうだった。
扱っている題材は重いけれど、だからこそ、複数の視点で見つめる意味があったと思う。
クラスメイトの死について、真剣に悩んでいる子もいれば、どうでもいいと感じている子もいる。
その感じ方の違いが集団生活の影の部分だよなあと、中学高校時代を振り返りながら読むことができた。
キラキラするだけが学生じゃないよねと、勝手に励まされた気分にもなっていた。
加えて、本書はミステリとしても楽しめると思う。
個別の視点で見えていたものが、最終的に一つに繋がったときの爽快感。
それと同時に覚えるおぞましさ。
彼女の笑い声を実際に聞くことになったとしたら、しばらく耳から離れないんだろうなあ……。
それぐらいインパクトのあるラストで、楽しく読むことができました。
「青い春を数えて」も、年明け頃には読み終えていたいなあ。