【感想】読書感想文「ダイヤル7をまわす時」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0027
以前感想を書いた「サーチライトと誘蛾灯」「蝉かえる」の作者、櫻田智也先生がファンであると公言している、泡坂妻夫先生のミステリ短編集。
泡坂先生については、ゆる言語学ラジオで水野さんが紹介していたこともあり、いつかは読んでみたいと思っていた。
今回たまたま本書「ダイヤル7をまわす時」が書店で目に入ったこともあり購入したのだが、やはり面白かった。
短編なのでサクッと読めるし、文体も読みやすい。
扱っているテーマも重いものではないので、心穏やかにミステリを堪能できる。
収録作品の中では、「芍薬に孔雀」と「飛んでくる声」が好きだなあ。
「芍薬に孔雀」は、ピーコックという幻のトランプがカギとなる作品。
トランプというアイテムの使い方がお上手だなあと感じた。
「飛んでくる声」は、大学生2人のやり取りが好き。事件に巻き込まれているのに、どこかのほほんとした空気が漂っている。
この、のほほんとした空気は、収録されている7編すべてに共通しているようにも思える。
物語の中にのめり込むような読書体験ではなく、マジックショーを見せてもらっているような感じというのだろうか。(FPSではなくTPSみたいな……?)
最初からちゃんと演目通りに進んでいく安心感と、でも要所要所で驚かせてくれるワクワク感があるような、そんな読書体験だった。
また別作品も読んでみたいなあ。