一斉授業をやめてみた
1.一斉授業から「公文式」に変更
レベル差がありすぎるクラスの読解、思い切って一斉授業をやめてみたのでメモに残しておきます。
もともとはN2対策の授業なんですが、スキミングがまったくできない(名詞修飾のどこが修飾部かわからない、文全体の主語と修飾部の主語が混ざる、5W1Hがどこかわからないetc.)状態だったので、テキストを『中・上級者のための速読の日本語』に変更。さらに、レベル差が大きく、一斉授業だと早く解ける人が退屈そうだったので、思い切って一斉授業から個人作業の時間を多く取る=いわゆる「公文式」にしてみました。
2.進め方
今回は『速読の日本語』STEP8「文・段落の並べ換え」(例題+練習1〜6)を2コマかけてしました。流れとしては、全体(気をつけるところの確認)→②公文式(個別にプリントの問題を解く)→全体(押さえておいて欲しいところの共有)で、一斉授業の割合を減らし個人の時間を多く取っています。以下にもうちょっと具体的な進め方をメモ。
①全体で確認
今回は教科書3頁文を3枚のプリントに分けました。まずは1枚目(例題+練習1)を全員で解いてみます。さらに時間を与えて練習1を個人で解き、全体で答え合わせ&解説をします。このときに必ず理由まで言ってもらうこと。
②個別に問題を解く
個別に問題を解いてもらい、その間は机間巡視。途中で不安なところ、確認したいことがあれば手をあげてもらいます。今回は文の並べ替えだったので、「ここの順番を前後どちらかで迷う」などの相談がありました。
解きおわったひとから前に持ってきてもらって添削します。この時も理由まで聞く。正解者には、次のプリントを与えより難しい問題を解いてもらいます。一応『速読の日本語』が早く終わった人用として、別のテキストの文に並べ換え問題をつけたものを用意しましたが、そこまでいく人はいなかった。
③全体で確認
全体で答えを確認しつつ、気をつけて欲しいところを共有します。今回は、「一つ目に…」「はじめに…」「まず…」「しかし…」などの表現に気をつけると話の流れがわかること、など。
ただし今回はちょっとグダグダしてしまったので要改善。早く解けてしまった学生はもう自分の答えが正解だと分かっているので興味なしという感じでした。なんとか解説で学生に活躍してもらいたい…。
3.よかったこと
結果として、負けず嫌いな人の多いこのクラスにはこのやり方があっているように思いました。だれかに新しいプリントを渡すと、あの人がもう2枚目に行ってる!自分だってそれくらいできる!という感じで、競うように問題を解いていました。
このやりかたで一番よかったのは、個人単位でのコミュニケーションがしっかりとれること。つまづくところも、ピンとくるところも、当たり前だけど個人で違う。全員の前では質問できないけど、個人でなら質問ができるという人もいる。なかなか発言しないけど、こちらから話しかけたら「単語はわかるのにこの文の意味がわからなくて困っている」などの質問がちゃんと出てくる、などなど、全体授業では気づけなかったことが見えてきました。
あとは、学生間のコミュニケーションも増えた。特に先に問題が解けた学生が、となりの学生に解説してあげるという場面が多く見られました。今回特別に教える時間を取ったというわけではないけれど、もっともっと学生が学生に、自然に教えることのできる時間をうまくつくりたいなあと思います。
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