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ペケとジマの線形代数 #1 行列とは


登場人物

ペケ (聞き手)
理系,学部1年.
ジマの子分.


ペケ

ジマ (話し手)
文系,ペケの先輩.
口は悪いが,いろんな分野に造詣が深い.


ジマ

ペケジマさん.必修に線形代数があるんですがとっかかりが付きません.
このままだとテストに間に合わなさそうです.助けてください.

ジマ:しょうがねえなぁ.1から教えてやるからちゃんと聞いとけ.

ペケ:ありがとうございます.そもそも行列って何なんすか?

ジマ:教えてやるからまず手始めに$${\boldsymbol x=\binom21}$$を使って$${\boldsymbol y=\binom63}$$を作ってくんねー?

図1.xy

ペケ:はい.

$$
\begin{aligned}
k\boldsymbol x
=k
\begin{pmatrix}
2\\
1
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
2k\\
k
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

だから,$${k\boldsymbol x}$$と$${\boldsymbol y}$$の成分を比較すると,

$$
\begin{aligned}
\left\{
\begin{equation*}
\begin{matrix}
2k=6\\
k=3
\end{matrix}
\end{equation*}
\right. \ \ \
\therefore k=3
\end{aligned}
$$

だから,$${\boldsymbol y=3\boldsymbol x}$$ですか.

ジマ:当たりめーだろカス.次に$${\boldsymbol x}$$を使って$${\boldsymbol y=\binom33}$$を作ってみろ.


図2.xy

ペケジマさんがやれって言ったんじゃないですか.同様に,

$$
\begin{aligned}
k\boldsymbol x
=
\begin{pmatrix}
2k\\
k
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

だから,$${k\boldsymbol x}$$と$${\boldsymbol y}$$の成分を比較すると,

$$
\begin{aligned}
\left\{
\begin{equation*}
\begin{matrix}
2k=4\\
k=5\\
\end{matrix}
\end{equation*}
\right. \ \ \
\therefore k=2,5\ ???
\end{aligned}
$$

あれ,そもそもコレ線形独立だから無理じゃないですかね?

ジマ:ククククク…www 無理に決まってんだろw
ちなみに正解は,行列

$$
\begin{aligned}
A=
\begin{pmatrix}
1&1\\
1&1\\
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

を使って,$${\boldsymbol y=A\boldsymbol x}$$と表すことができる.

ペケ:ということは,高校まではベクトルを定数倍にしかできなかったけど,この行列とやらを使うとベクトルを伸ばしたり回転させたりすることができるんですね?

ジマ:そういうこと.これこそが行列の存在意義だ.

ペケ:なるほどねー.

#1のまとめ

  1.  行列を使うと,ベクトルを伸ばしたり回転させたりすることができる.

#ペケとジマの線形代数

#ペケとジマ

#数学

#線形代数

#大学数学


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コジ
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