ムンクは作品をわざと傷つけるんだってさ
《叫び》で有名なムンク
「ムンクの叫び」として知られていますが、正確には、画家ムンクが描いた⦅叫び⦆なのです。
もっと正確に言うと、絵の中央の人物は叫んでいないのです。耳を塞いで叫びから身を守っているのです。
ムンクは日頃から「死」「絶望」「不安」などのイメージを抱いていました。
ムンクはわざと作品を傷つける!?
ムンクの特徴的な技法のひとつに荒療治(ヘステキュール)というものがあります。
(合いの手) - ヘステキュール!
屋外に長期間放置して雨風や強い日差しにさらしたり、ロウソクで汚れをつけたりしました。
(合いの手) - わーお!
⦅叫び⦆のこの白い汚れがロウの汚れです。
なぜ傷つけた?
傷ついてボロボロになった作品を見て何を思いますか?
(合いの手) - かわいそう… やめてあげて… 居た堪れない… いますぐここを立ち去りたい…
それがムンクの狙いなのです。
(合いの手) - こりゃ一本とられたわい!
ムンクは作品を傷つける事により、生命を吹き込んでいました。
(合いの手) - たしかに、ムンクの魂が宿っている気がするぞよ
ムンクの幼少期トラウマ
ムンクは5歳の頃、母親を結核で亡くしてしまいます。
(合いの手) - なんてこったい…
母の死後、父はキリスト教にのめり込みます。
そんな父の狂信的な態度に反発して口論した夜、父の寝室を覗くと…
(合いの手) - なになに…
父がベッドの前にひざまずいて祈っているのでした。
(合いの手) - なんとも言えないんだぜ…
ドン引きしたムンクは、すぐにその光景をスケッチに描き、気持ちを落ち着かせ、ようやく寝付く事が出来たというのです。
(合いの手) - ドン引きしすぎでは?
それから、姉ヨハンネは結核に感染し、15歳で亡くなってしまいます。
(合いの手) - なんてこったい…
亡き母に代って愛情を注いでくれていた2歳上の姉ヨハンネはムンクにとって特別な存在でした。
また、幼い頃のムンクは慢性の気管支炎を患っていました。
(合いの手) - するってえと、自分のことも結核だって思い込んじゃうんじゃあねえのかい?
こうして自身にも死が近いことを自覚し始めました。
(合いの手) - 「死」が彼を構成していくのでした。
ムンクは意外にも、80歳まで長生きします
(合いの手) - なんてこったい
ムンクは、内臓に染み渡った不安や絶望エネルギーを作品に昇華させ、生きる希望を獲得したのでした。
(合いの手) - 彼を手招く「死」「不安」「絶望」は、
彼と手を繋ぎ、
かけがえのないパートナーになりました。
自己と向き合い、トラウマやネガティブな体験ごと生活の糧にしてしまうのが芸術家という生き物の習性なのです。
(合いの手) - 「創」これは「絆創膏」という言葉にあるように、「きず」という意味があります。
私たちは、傷つき、傷つけ、傷だらけになりながらも創り続けるのです。
(合いの手) - 美には "きず" 以外の起源はないのです
ウノドレ。