けんけつだいすき。
…ちょっとタイトルが変態チックですね、これだとね。
社会貢献な「献血」にこの言葉は適切かわからないんですが、ある意味で献血が「趣味」です。
今、きちんと献血を始めて10年目くらい、トータルで22回目なのですが、ボランティア!って気持ちだけじゃ、そんなに続かなかったと思う。
今年はCOVID19禍の外出自粛期間もあって、血液不足は深刻だったようです。現在も、以前より予約が取りやすい状況で、献血ルームも空いてることが多く、輸血製剤が大きく不足しているという話は今のところはまだ聴きませんが、今後も感染状況が落ち着かなければいずれは慢性的な不足状況も起きてしまうのかも…。
ってことで、少しでも行ってみようかな、と思っていただくために、真面目も不謹慎も盛り込みつつ献血のあれこれ、書いてみます。
「成分献血・全量献血」
献血っていうととにかく血をたくさん取られる!というイメージもあるかと思うんですが、そんなはずはなく、1回の献血量・年間の協力方法には健康に影響しないよう制限が定められてます。
今は2種類の献血方法があります。
・全量献血
文字どおり、血をそのまま提供する献血です。
とはいえ、血液はそのまま使うわけではなく、検査ののち処理を施して血液型ごとに輸血製剤としてパッキング・保管され、必要に応じて医療機関へ送られます(200ml献血、400ml献血がありますが、800mlの輸血製剤に対し複数人の血液を使用するため、その人数が増えれば血液のリスクも高まります。安全性を高めるために今は200ml献血はあまり行われてません)。
一度に400mlも抜かれるので体への負担が高く、成人女性の場合は年に2回まで、献血間隔も3か月程度開けて、と制限されています。
速い人なら採血そのものは10分くらいで終わります。
・成分献血
血小板だけ、血漿だけ抜き取るので負担が全量献血より軽いのだそう。一度血液を抜いて遠心分離機で血漿成分だけ分離し、残りを身体に戻す。それを少しずつ複数のサイクルで行うので採血には時間はかかります(40~90分、事前問診なども含めて2時間は必要)。
負担が軽いということで献血間隔は2週間ほど、年間の回数にも制限はありません。
血漿成分からしか作れない血液製剤も多いのだそうです。
私は時間が許す限りは成分献血に協力しています。全血だと年の回数が制限されますが、成分献血なら協力回数を増やせるという理由です。
いずれにしても「健康・体調良好であること」「血液の比重が基準を満たしていること」が大前提です。服薬も大半はNG。
献血ルームに行くべし!
今はそんなことないと思うんですが、私の年代(1970年生まれ)だとまだ「売血」の仕組みの影が人の脳裏に残っている世代かもしれません。1960年代後半まで実際にまだその売血による輸血が行われていたそうで。
その後、日赤が献血制度を確立させていって、売血はなくなっているんですが、私が20歳になるころでもまだ「献血に行く」っていうと、売血と同じイメージで悪く言う人がいましたね…懐かしい。
今でも日赤は献血で得た血液を医療機関や製薬会社に売却することで収益を得ているわけで(国からの補助金もあります)、間接的には確かに「売血」なんでしょうけどね。
日本赤十字ってのは要は、過去の民間機関による売血の仕組みの問題点を解消するために用意された公的なポータル機関なわけです。
直接の売血と違うのは「私の利益」のための売血ではなく、その血液によって輸血血液が確保されたくさんの手術に役立ったり、血液製剤が血漿から作られて難病治療に役立ったり、という「社会貢献」の要素が大きくなっている点でしょうかね。
そのうえで、そこに日本赤十字が得る収益があるのだとすれば、何でもかんでも無償提供のボランティアとして考えるばかりではなく、日赤の用意する様々な設備やインフラは大いに私達献血者は利用してよいと思うんですよね。遠慮なく。
今は日本各地に献血ルームがあります。
関東圏以外の利用経験がないのですが、全国、大きめの都市であればほぼ同じ環境ではないかと思います。
まー、たいがいの献血ルーム、居心地いいですよ。
まず、衛生的。当たり前ですが、血液を扱う場所なので、衛生面は厳しく管理されています。明るく、もちろん禁煙で、清潔なルームがほとんどです。
多くの献血ルームでは、特に混雑するときは1時間待ちとかも起きますし、受付→問診→検査→採血→休憩という長い時間を過ごすので、いろいろなサービスが用意されてます。
主なところでは、
・漫画や雑誌読み放題、テレビも視聴可能
待合のテレビは残念ながら選べませんけどね。ルームによりますが、漫画の揃いはどこのルームもかなりいいです。携帯があればまあ時間はつぶせますけどね、見てるかぎり漫画読んでる人は結構いるなあ、と思います。
・お菓子食べ放題(塩分・ミネラル補給のため)
経験的に歌舞伎揚げとかおばあちゃんのぽたぽた焼きとか多い。マリーとか、カントリーマアムとか、エリーゼとか。甘いの辛いの。ちょっといいとこになると、フィナンシェとかも置いてあるときがあって、ラッキー!
・ドリンク飲み放題(献血前は血液を温める、水分を補給するため。献血後はミネラル補給、貧血防止のため)
自販機がフリーで使えます。コーンポタージュぬるめがお気に入り。
あと、問診の前にも水分補給するようにエネルギードリンク一本渡されます。結構これを献血前に飲むのがしんどい(笑)
・採血時はテレビ見放題(それぞれの機械に設置されてます)
飛行機の座席についてるみたいに、枕のとこにスピーカーあって、リモコンで好きなチャンネル見られます。まあ私は大半、寝ちゃうんですけど(笑)
って感じでしょうかね。
以前は携帯電話の電波が機器に影響するとして使用禁止されてましたが、今は影響しないことが確認されて、採血中も通話以外は利用OKです。
また、献血ルームによって献血後にもらえるものがかなり異なります。
私の知ってる限りだと、ブルーシールアイス、ロッテリアのハンバーガー、ハーゲンダッツアイス、神戸ドーナツなどがもらえるところも。周辺企業の協力があるかないか、なんでしょうね。
秋葉原のAKIBA.Fルームは東京都内の献血ルームの中でもかなり異色で、フィギュア展示などもあるいわゆる「ヲタク」ターゲットな献血ルーム。
https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/tokyo/place/m1_01_09_room20.html
あちこち行ってみて、お気に入りのルームを探してみてもいいかも?
なお、献血ルームごとに独自のキャンペーンも用意されています。
今はCOVID19の影響もあってほぼ中止ですが、ルーム内でのイベント(トークショーだったり占いだったりヨガだったりネイルサービスだったり…)が企画されることも多いです。参加したことありませんけどね(笑)
成分献血は難しいですが、全量献血ならふらっと行ってもそう待たされないことがほとんどだと思います。
2時間くらいぽかっと空いちゃった!ってときに時間つぶしに利用するのでもいいと思うんですよ。
暇つぶしが社会貢献になるなんて、なかなかよくないですか?
ラブラッドに登録すべし。
複数回献血クラブ ラブラッド https://www.kenketsu.jp/
そうした献血ルームの情報を得たり、自分の献血履歴を確認したりするのに便利なのが「複数回献血クラブ ラブラッド」です。
登録しておくとまず、献血のWeb予約が可能になります。
今は密を避ける意味でも事前予約を推奨してます。特に成分献血は時間がかかる分、1日にできる人数が限られるので予約はおすすめです。
献血内容に応じてポイントがついて、定まったポイント数に達成するごとに記念品がもらえます。さらに、予約すると多めにポイントがもらえる。ルームによっては、予約御礼のおまけももらえちゃうことも(たいていお菓子なんですが、先日はキットカットの抹茶味の高いやつ!でめっちゃ嬉しかった!!)。
予約の何がいいって、スムーズに入れることです。無駄足にならないし。キャンセルももちろんできますので予定が立ったら予約してぜひ。
また、献血記録も3回分確認できるのもありがたい…いわゆる健康診断の項目も調べてもらえるので、健康管理の目安にもなりますよ。
私と献血の話も聞いてくれ
「献血」を初めてやったのは大学生の時。もう30年は前のこと。キャンパスに献血車が来ていたので「社会貢献になるならやっとくか」と行った…20歳の時です。
細かいことは覚えてません、さすがに。キャンパスに止まっていた白い車両と赤十字のマーク、狭いベッドがぼんやり浮かぶ程度。
ここで意識が目覚めて、それ以来欠かしたことはありません!…ならカッコいいんですが、逆で、ここから数年はまったく関心がなく…。
多分、当時は今ほど献血ルームも整備されてなくて、献血車がほとんどだったんですよね…そうすると「出逢う」ことが必要で。今のようにインターネットなんてほぼなくて、啓蒙活動もほぼされてなくて。
その後、ふっと献血車を見かけて献血してみようか!って気持ちがまた湧いたんですが、あることでできなくなってしまった…「狂牛病」です。
今は基準が変わりましたが、かなり長い間(2005年~2010年)、該当の期間にイギリスに数日でも旅行経験があると献血できない時期があったんですね(1980年~1996年。現在でもこの間に1か月以上の英国滞在経験者は献血不可です)。私が20代でロンドンに一週間ほど旅行に行った、それがちょうどその時期だったんです。
係の方「お肉食べてなければできるかもしれないんだけど…」
私「…がっつりローストビーフ食べました…」
係の方「あああ~~!!(絶対だめだ~)」
がっかりされて「ごめんね」とオレンジジュース2本渡された哀しい思い出。この制限が緩和されたのを知ったのが2011年でしたかね、それでやっと献血を再開できて、以来、年数回のペースで通っているわけです。
この「狂牛病」のときに、私が感染してればとっくに発症してるんじゃん?とびっくりしたんですが、今でも献血前にはたくさんの海外渡航歴、既往歴、服薬履歴など、確認されます。最近はE型肝炎防止のために「生肉食べてませんね!」が加わったかな。
問診表にもたくさんの項目があります。
http://www.jrc.or.jp/donation/information/detail_01/
それもこれも安全な血液を提供するためなので、めんどくさいけど(めんどくさくないっていったら嘘になるもん)、それだけ慎重に管理されていることの証拠でもあるので、毎回、しっかり読んで確認しています。
比重が高いと褒められて調子に乗った
んで、ようやく30代後半に再開できた献血ですが。
上の表は私の直近の血液の状態なんですが(赤裸々)、赤いのは基準値を越えてる項目。もうさあ、赤血球が多いのなんの(実は多血症気味)。
ヘモグロビン濃度も毎回、毎回「ああ~~いいですね~~~」って褒められる。
実はね、あんまり健康的な血ではないです。
肥満体だし、遺伝性高脂血症です。ドロドロ血の一歩手前。お医者様には「動脈硬化気を付けて」って言われてる。
でもそういう健康と、実は、献血で優秀な血って別物なんですよ、全然。
だから、最初に献血ルームで検査採血のあと「うわぁ~~~いい血ですね~~~」って褒められた時びっくりしました(笑)
このときにめちゃくちゃ褒めてもらったのが、その後の献血モチベーションに大きく影響してる自覚はあります。
要は調子に乗ったんです(笑)
献血向きの血を持ってるなら、やったほうがいいじゃん!?っていう。
他に社会貢献らしいこともできてない人生だったので、褒められてしかも役に立つ、嬉しいじゃないすか。へへ。
前はこんなことなかったのになー①のぼせた
ところがね…。
10年も経てば身体も変わるわけで。
この春、初めて献血の最中にのぼせました。
ショックだったな…これまで一度もなかったので。
理由は今になるとわかってます。その日、春先にしては寒い日だったのに薄着だったこと、献血に行く前に31アイス寄ってダブルアイス食べてたこと。身体が冷えてたんですよね。
でもほんと、睡眠不足でもなかったし、体調自体は自覚できるほど悪くなかったんですよ。
台に横になって、採血針を刺されたとき、いつもに比べてめちゃくちゃ痛かったんですよね。これも冷えてたせいで血管が細くなってたせいかもしれないです。
で、「あれ???いてえ???」ってずーっと思ってて。
「でもまあ、40分くらいだから寝てればいいか…」と目を閉じて20分くらいしたあたりで、どうしても眠ることができずにどんどん胸苦しくなって、とうとう咳き込んじゃった。気づいたら大汗かいてる。
さーっと看護師さんがやってきて「大丈夫ですか?」と声をかけてくれて応えようとしたら声が出ない。
えーーー!? ショック…
そのうち、問診担当の医師がやってきて顔を見て「真っ青ですよ、汗もすごいですね。のぼせたんだと思うのでちょっと頭、下げましょう」と採血を途中で止めて(血漿だったんですが、半分くらいは取れたそうです…無駄にはならないそうでよかった)、ぐーっと機械を倒してもらって10分ほど…。
あ、治った。
一気に血が脳に回って、楽になりました。
のぼせるなんて、人生初経験…。
最後に医師の方との問診があって、その時のお話だと「特別に何か悪いってことじゃなくて、300回に1回くらいは起きることですから」って説明。
アイスのことと針のことを話したら、「痛み」は結構身体に影響するんだそうです。「次に痛いな、と思ったら遠慮なく言ってくださいね」とのことでした。
我慢は禁物。
前はこんなことなかったのになー②脱水した
このことがあってから、献血前には身体を冷やさない!!すごく気を付けるようにしてたんですが、ついこないだの献血で、今度は脱水しちゃいました。
いや、献血中は全く問題なかったんですけどね、帰り道に。
ばっちり体調調えて献血して、終わったら20分は休むこと、たっぷり水分塩分補給すること、と言われていたのにも関わらず、1杯だけお茶を飲んでトイレに行った後、待合室に戻らずに帰っちゃったんですよね。
これがよくなかった。
帰り道から夜にかけて、急激にお腹をくだしてしまった…。
あ、これ脱水だ…!!と気づいて慌てて帰宅してからたくさん塩分・水分取ったら落ち着きましたけど、ただでさえ真夏で暑かったのにうっかりした…。
と、この2つの出来事を考えるに、10年前なら多分起きなかったんですよね…年齢を重ねてやっぱり身体にダメージ受けやすく、また、回復しづらくなってきてるんだと思いました。しみじみと実感。
献血前には「十分な睡眠」「十分な食事」「身体を温める」「服薬しない」「体調良好」は必須条件。無理は禁物です。ちょっとでもおかしかったらやめていい。無理はかえって迷惑をかけることになります。
(引用元)日本赤十字社埼玉県血液センター
https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/saitama/donation/files/kijun_kankaku_saitama.pdf
まあ、そんなことも続いてて、年齢を実感している日々。
実はさらにね、上の表のとおり、年齢制限があるんです。69歳まで。血小板は私の場合は54歳まで、あとたった4年しかない。
年を重ねるほど病気も増える。持病ができて定期的に薬を飲むようになったら基本的にはもう献血はできない(問診時に要確認です)。
限られた期間にしかできない社会貢献です。
献血ができるってつまりは健康である証でもあるし、身体さえあればできる社会貢献でもある。
つくづくと、始めるなら早い方がいい、と思います。
献血に行く理由なんて別に何でもいいんだほんとは
献血のために献血ルームに行くと、まず、プロフェッショナルの仕事に見惚れます。徹底的に管理されたルーチンの美しさ。
たくさんの機械にもわくわくする。自分の血が巡って、分離されてすーっと琥珀色の液体になる。半分は戻ってくる。サイクルを眺めているのは結構面白い。
ボランティア精神だけじゃなくて、私には少しく、知らない世界を知ることのできる好奇心を満たす場でもあります。
看護師さんたちの美しい立ち姿を見ているのも目の保養。
あとは献血ルームの項でも書いたとおり、漫画読めるし、お菓子食べられるし。
そんな「面白さ、楽しさ」が理由でもいいと思うんだ、別に社会貢献が主目的じゃなくても。
結果的に社会に役立つならなんでもいいじゃんか。
今、COVID19の影響でやはり献血量は減っていて、特にこの夏は若年層の献血量が激減しているそうです。
都道府県の赤十字センターのサイトでは、毎日、どの血液型が不足しているかは更新されてます。
A型・O型、かなり困ってるみたい。
いつか、自分や家族が大きな病気をしたときに輸血血液がなかったら…?
これって、巡り巡れば自分や家族の問題でもあるんですよ。
ちょっとでも関心の湧いた方は、お近くの献血ルームへ、ぜひ。
予約めんどくさかったら献血車見かけたときだけでもいいので、ぜひ。
●献血関連リンク
・日本赤十字社
http://www.jrc.or.jp/
・みんなの献血
https://www.min-ketsu.jp/