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topaz and all her kiss

なにも期待なんてしていないような下向きのまつげは、日常のあらゆる偶然も、一部の人々が大袈裟に信じたがる “奇跡”らしいことも程良くかすめて、やわらかく通して球面に映る。

どこかダルそうな彼女の第一印象に、不思議な心地よさを感じたというのは、本当の気持ちだ。

Aliceが彷徨ったのは、きっと宝探しの散歩道で、いつまでも無垢な女の子が、大人になるのを急かす街のrhythmの中で、いまでも彼女の中に笑顔を差しのべているのが見える。


よく晴れた秋空の下、一枚の落ち葉がいま、ゆっくりとそっと手放すように、枝から離れた。


彼女から希望を奪ったものはなんだろう。


陽射しの似合う公園は、ただおだやかに在って、ただただ、だだっ広い広場は、誰のためでもなく、ただ訪れる総べてを黙って受け入れていた。

ただ直視しているようで、きっと彼女はなにも見ていないのかも…とも思えた程だった。


広場には、知人たちが、見知らぬようで。

広場には、隣人たちが、遠く、そ知らぬ易しさで。


彼女から現在(いま)を奪ったのは、いったい誰だ。



午後の傾いた陽射しは、瞬くたびに、0.7millimetre毎に影が伸びていく。

あの日。

この広場は、はじめて大きな声をあげて叫んだ。



彼女の影を見た男はいないかもしれない。

なんの確信もないが、ただ一瞬、僕はそう感じた。


彼女にはじめて会った時のことを思い出していた。

近づいたら、ただ笑顔が返ってきた。今思えばなんでもない会話の中から、きっと何億もの情報を僕は脳にinputしていた気もする。

その波は、とても心地よくて、そして大量の情報だったため、男である僕は、情報処理の間に、きっと退屈な頷きと返答を、いくつも繰り返していたに違いない。


空をひらひらと落ちる一枚の葉の存在にする気がつかずに、ただ時間は行き交う人々が巻き起こす風の流れにかき乱されたかのように、時が慌てているのが見えた。

きっと秋の訪れのように、本当は時はゆっくりとただそこに留まり続けていたかったのだと思う。

彼女の潤んだようなlensに映る、秋。

その瞳の中に僕が止まっていた。


秋を迎え入れるのなら、またそれはいつも小さな宝ものを心に写して、そしてまた、彼女は新しいpictureを探し出すのだと思った。

彼女はきっと“幸せ”の天才なんだと思った。

ひらめきが彼女の笑顔を作り出す、そんな錬金術を、僕は目の前で見とれていたんだ。

はじめて会った日、彼女のまつげは上向きで、慣れた様子のmascaraも、時に鋭く突き刺さった。

これまでに彼女のまぶたに写してきた、数々の乱暴なshutterの音を、僕の心は聞いた。


11月から今が始まるのだとしたら、きっとぬくもりが必要なのだと思う。


たとえば彼女が犬を連れてこの広場を散歩するなら、ただ暖かいふわふわのcapeが必要で、もしbenchで一息つくとしても、きっと読みかけの小説や届けられたhot milk teaも、あったにこしたことないけれど、そんなに重要ではないのだ。

ただ、ぬくもりがあればいい。

彼女はきっと、落ち葉にでも、のびる影にでも、そんな一瞬のframeに、素敵なstoryを想像できるだろうから。

その物語を楽しむのなら、ただただ柔らかな瞳のままで充分なんだ。


彼女の11月の影は、きっとtopazの様に透明で、きっとこれまで何回も交わしてきただろう彼女の上向きだった全てのkissが、いまではなんでもないように秋の風に吹かれ、消えていくのを僕には見えた気がした。

彼女の今は、きっと今日から始まった。



永い時間だった。

1秒半の永い瞬きをした僕は、目を開けた時にはたぶん、彼女の影が1centimetreくらいはのびていて、僕の目になら、映る気がしたから。

つよがりも臆病も、必要でもあったと思う、でも、最初から彼女の影は透明だったんだ。


午後の傾いた陽射しは、瞬くたびに、加速した。

あの日。

この広場は、はじめて、大きな声をあげて、叫んだ。


穏やかな日を迎えるために。



見えない心が窮屈で、悲鳴を上げるように、広場は抱えた悪夢を風に差し出した。

秋風は、強く優しくそれを運び去ってくれる。

日常の迷路には、かならず出口がある。


誰も奪うことはできなかったんだとわかった。

奪われることを望んでいないから、彼女は、ただ、彼女なのだから。


そう思った僕はもう、彼女の影を追うのをやめた。

その瞬間、ながいながい夢から覚めるように、僕の視界を瞬きのように遮りながら一枚の落ち葉が流れて、木枯らしに冷たくなっていた唇をかすめて通り過ぎて行った。

ぼんやりとした僕のゆっくりと流れるその微かな一瞬に、反射的にまぶたを閉じた。

吐息のように短くて、時間なんてものはこの世界には本当は無いのではないかと思うくらいに、ふと、ひとときの久遠に舞い落ちる、一葉の恋の染めるような秋の産声をあげた枯葉の見た夢、ただ一度のながいながいひとひらの一生。

目を開けたなら、暖かそうに着飾った一枚の葉が、なんだか人懐っこく僕の足下に居たんだ。



Aliceが夢から覚める時が今なら、Happy Birthdayと伝えたい。


tea partyに誘って、何枚もの永い夢の話に見とれて。

そして、今日からはじまるprismのようないくつもの夢の話を、やっと話し始める時が来る。


それは待ちに待った、昔々のお話で。

それはきっと、ながいながい夢から目覚めた少女の夢を叶える魔法であって。


それはそれは、美しいあなたに贈られる11月のcrystal


20091104 21:39





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