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喧騒から少し離れた場所で
いま、少しずつ書きためようと思っている『詩の日誌「抽斗の貝殻のように」』とは別に。
最近の詩作に対する気持ちをメモしておこうと思う。
というのも、数日前にX(旧Twitter)をしばらく休むことを告知してから、数人の方からお気遣いくださる内容のメールをいただいたこともあり。
その方々への返信としても。
今年は、わたしにとっては眩い宝石でありつづける大切な詩誌『hiver』の制作と販売から始まり、尊敬する書き手たちとのイベントや展示、朗読会や講演、そして「現代詩手帖」での新人作品欄選考など、詩について考える機会をたくさんいただけた。
その告知のたびにTwitterを利用したおかげで、多くの方に詩誌をご購入いただき、イベントや講演にもお越しいただくことができた。
自分の住む領域よりも少し遠くへと作品を渡したいとき、この告知のツールはとても頼もしいし、ポスト(ツイート)を意外な方がご覧くださっていることもあったりと、Twitterという場所のおかげでさまざまな出会いにも恵まれてきた。
その一方で、わたしの詩が生まれる場所でもある、自分の内側の静かな小部屋にひとりきりでこもる時間が少なくなってしまっている気がした。
告知に対するレスポンスやご感想の一つひとつにはなるべく応えたいので、Twitterをさかんに活用しているときは、どうしても気持ちが外へ外へと向くようになるからだ。
今年はとくに、『hiver』に御参加いただいた素晴らしい書き手のみなさまや、講演やイベントで出会った方々とのやりとりを通して学ぶことも多かった。
これまでになく、書くこと、読むことにおいて、よい刺激と影響を受けた貴重な年になったと思う。
だからこそ、この愛しい季節から得たかけがえのないものを、そろそろ自分の次の詩作に生かしたいな…と、少し前から思うようになった。
そうした思いもあり、短期間で消える情報やおしゃべりがめまぐるしく流れつづけるX(Twitter)という外の世界の喧騒から少し、離れようと考えている。
夏時間から冬時間へと、時計の針を合わせるように。
(Xもアカウントは消さず、今後詩誌を制作したときや告知が必要なときには使用するとは思いますが)
しばらくはXを閉じて、こちらのnoteに詩の日誌や気ままな文章を書きながら、詩についても少しずつ、ゆっくりと考えられたらと。
これから、何をどう書くか。
いまはまだ何もつかめていないし、それがだんだんと見えてくるまでには時間がかかる気もする。
でも、ぼんやりと、ではあるけれど、わたしがこれから開くだろう真白いドアと、その奥にあるもうひとつのドアが見えている。
そのドアの奥には、また別の閉じた扉があるのかもしれない。
そんなふうに進むほどにひかりが弱くなる、やや薄暗いけれど、どこよりも静かで暖かな通路へ。
これから、わたしは、少しずつ入っていきたいと思う。
わたしにとって大切な書き手たちが知らぬ間に手渡してくれた、たった一本の、ひそやかでも、決して消えないはずの言葉の蠟燭をもって。