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大学授業一歩前(第37講)

はじめに

今回は白桃書房の執行役員営業部長・編集の寺島淳一様に記事を書いて頂きました。明治大学経営学部の一年次必修科目の経営学の教科書である『フレッシュマンのためのガイドブック 経営学への扉』を通じて、記事を書いて頂くことが出来ました。お忙しい中の作成ありがとうございました。

白桃書房様の概要

Q:会社の概要を教えてください。

A:終戦直後、社名を斎藤茂吉翁に頂戴し創立した弊社は、今年ちょうど創立75周年を迎えました。最初は文芸書の出版社として活動を始めましたが、やがて経営、会計、商業の学術書を中心とした専門書を中心に出版するようになりました。
ラインナップには、この分野で最も権威ある賞の一つである日経経済図書文化賞を受賞したものが多数あり、また、名門学会の一つである組織学会の学会誌『組織科学』も発行しています。
なお、私はリアル書店の書店員や出版社に特化したウェブサイト制作・運営会社などを経て8年弱前に入社しました。弊社が出版している分野には個人的に大変興味を持っていて、一時、ビジネススクールにも通っていました。

オンライン授業化に伴う教科書販売

Q:オンライン授業化に伴い、大学での教科書販売でご苦労された点を教えてください。

A:大学教科書は、例年2月ぐらいから出荷が始まるのですが、3月ぐらいから大学が閉鎖されるということが伝わり始め、教科書が売れず売上が大幅に下がるのではないかと大変心配をしていました。実際、いくつかの大学内書店ではせっかく送品した教科書がそっくり返品されることになったりもしました。
その後、大学内書店の一部では、学生様に向け通販で販売されるところも出ました。初めての取り組みだったので大変だっともおうかがいしましたが、とてもありがたかったです。
最終的には、オンラインでの講義では教科書の必要性が高まったようで、大学の売店では買わなくてもネット書店でお買い求めいただいたり、市中の書店でお取り寄せなさる方も多くいらっしゃり、幸い差し引きでは前年並みとなりました。

オススメの本ー白桃書房様の中から一冊

Q:オススメの本(白桃書房様が出版なされている中から)を教えてください。

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A:『「働く」ことについての本当に大切なこと』(古野庸一著、2019年小社刊)をおすすめします。
著者が長年考えてきたことを自分の子供に伝えたくてまとめてみたという本で、若い時に知っていたら良かったのにという観点から書かれています。
学生の皆さんのほとんどの方は何らかの形で働くことになると思いますが、働くことは苦役だったりお金を稼ぐだけのものではないと思います。すなわち働くことは楽しいことでもあり、この二つの間のバランスを取って、幸福をどのように得たらいいのか、を考えることが重要です。この本では、読者と一緒に自分に合う仕事探しや居場所探しを掘り下げ、考えていきます。

オススメの本-他の出版社の本の中から

Q:他の出版社の本の中でオススメの一冊を教えてください。

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A:少し高度な本かもしれませんが、『原因を推論する─政治分析方法論のすゝめ』(久米郁男著、有斐閣2013年刊)をお勧めします。
野球だったり就活などを題材に取り上げながら、政治学のみならず広く社会科学の研究に役立つ手法や考え方である、因果関係や定量的・質的研究などの概念を分かりやすく解説します。
卒論やゼミのレポートを書くのに役立ちますし、社会人になってからも、より確からしい意思決定ができるようになるのに役立ちます。また規範的な評価と価値中立的な分析の区別について考えてみることで、特に身近なことを考える際に、より妥当な結論にたどり着けるようになると思います。

大学教科書への思い

Q:最後に大学教科書への思いをお願いします。

A:大学の教科書には高度なものもありますが、入門的なものは、一定の実績を持った研究者の方が、それまでの当該分野の研究から得られた知見を俯瞰的にまとめたものが多く、深い内容を速習できるようさまざまに工夫されています。そのため一般の方が改めてその分野について勉強したいというような場合にもおすすめしています。
社会科学の知見は簡単に活用できるわけではないのですが、その代わり普遍性の高い結論を導くことができます。特にビジネスの世界では、次から次へと新しいコンセプトが生まれ消えて行っていますが、そのように簡単に古びることがありません。
この機会にぜひじっくり取り組んでみてください。

おわりに

今回は白桃書房執行役員営業部長・編集の寺島淳一様に記事を書いて頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。

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『フレッシュマンのためのガイドブック 経営学への扉』を去年私が一年生の時に、読み社会科学の面白さに気づきました。少しでも多くの方が、コンテクストというものを媒体に、筆者と交わり、知的格闘を紙の上で楽しむ一助にこのnoteがなれば幸いです。



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