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大学授業一歩前(第93講)

はじめに

今回は早稲田大学政治経済学部の田中久稔先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:福岡県生まれ、栃木県育ち、早稲田大学政治経済学部出身です。アメリカのWisconsin大学Madison校でPhDを取得し、今も早稲田大学政治経済学部で教えています。人生の6割以上を早稲田で過ごしている計算になります。専門は経済学で使う数学です。とくに計量経済学の理論が好きです。早稲田での講義は、ミクロ経済学入門や経済数学などを担当しています。趣味は昆虫標本の蒐集です。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えて下さい。

A:これねえ、難しいですよねえ。ちょっとまえだったら「難し目の本を一冊持って、各駅停車で日本列島一人旅」とかをお勧めしたんですけど、今はそういうわけにもいかなくなっちゃったしねえ。ほんと、いつ終わるんですかねえ、コロナ禍。そうなるとステイホーム系のおすすめになるんですが、「読書」は他の皆さんもお薦めしてると思いますので、ドキュメンタリー映画の鑑賞とかいかがですか? 皆さん普通の映画はご覧になること多いと思うんですけど、ドキュメンタリー映画というのも見てみるとハマりますよ。「ボーリング・フォー・コロンバイン」とか「おいしいコーヒーの真実」とか、ときどき私のゼミでも鑑賞会やるんですけど、やっぱり映像の力というやつは凄いですね。良くも悪くも心を根こそぎ持っていかれる感じがあります。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになりますか。

A:そんなものはないですよ。なんなんですかこの質問。「大学生のうちに読んでおくべき古典100選」とか、「20歳になる前にやっておくべき50のこと」とか、どっかの商売人がその場で思い付いただけのキャッチコピーに不安を煽られたりしないで、なんでもいいから好きなこと見つけて自分の世界に没頭してください。でも単位だけは取ろうな。留年すると凄いお金かかるからね。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学び意義を教えて下さい。

A:意義なんて何もないです。正直にいって「この勉強・研究が役に立つか?」なんて考えたことは一切ありません。この「私」という、いてもいなくてもどうでもいい小さな生き物を遥かに越えた、圧倒的で永続的な存在に直接アクセスすることだけが私の学びのモチベーションです。幸い、大学にパーマネントの職が得られたのでそういう浮世離れしたことが言えてるわけなので、胸を張って自慢したりできるようなことじゃないですけどもね。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えて下さい。

A:面白い本はいろいろなところで薦めていますし、とてもじゃありませんが一冊を選べるもんじゃありません。ですので、上の質問に関連させてドキュメンタリー映画を一本だけ。1984年にアカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞した、『ハーヴェイ・ミルク』(The Times of Harvey Milk)です。同性愛者の政治家を扱った作品と聞くと先入観を抱いてしまうかもしれないですけど、これは本当に感動的で面白いですよ。多様性を許容する社会のあり方についてはもちろん、民主主義とか地方自治とかに興味があるひともぜひどうぞ。

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:皆さん、人類史に残る最悪のタイミングで大学生になっちゃいましたよねえ。皆さんの納めた学費で生活している者として、皆さんの学生生活を改善するためにできることがあるなら何でもしたいと考えています。もし、私(もしくは皆さんの周りの大学教員)にできることがあるならば、まずは遠慮なくリクエストしてみてくださいね。

おわりに

今回は早稲田大学政治経済学部の田中久稔先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。

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実は私自身、経済学のゼミに所属しているにもかかわらず、数学が全く出来ず(数学やっとけばよかったのに...)、先生の著書『経済数学入門の入門』岩波新書(1707)でお世話になりました。数学嫌いの文系の方にオススメです!次回もお楽しみに!


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