大学授業一歩前(第68講)
はじめに
今回は予備校講師の根岸大輔先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読くださいませ!!
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えてください。
A:小論文塾メイジャーステップ代表。学びエイド鉄人講師。首都圏の大学受験予備校、学校で、現代文と小論文を中心に指導。著書『身近なテーマで考える力をやしなう 小論文はじめの一歩』(学研プラス)。筑波大学比較文化学類在学中に塾講師のアルバイトを開始、国語指導のおもしろさに魅了され、自然と教育業界へ。大手中学受験塾の国語科マネージャー、経営学大学院の教材開発ディレクターを経て現職。
オススメの過ごし方
Q:大学生におすすめの過ごし方を教えてください。
A:勉強でもサークルでもアルバイトでも何でもいいのですが、とにかく夢中になれる何かを見つけて取り組んでほしいと思います。夢中になって一生懸命に取り組めば、その時間が充実するのはもちろん、自分という人間を作る糧にもなるものです。能力を育てるだけでなく、感性を磨き、自分の中に物事の選択の基準を確立するような経験になります。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになるでしょうか。
A:クリティカル・シンキングではないでしょうか。受験勉強では与えられた知識や考え方を丸呑みすることが多かったのではないかと思います。大学以降でもそうした学びはとても大切です。しかし一方で、与えられた知識や考え方に対して「それは本当なのか?」と立ち止まって考える力も必要です。それは猜疑心やケチをつけることではありません。クリティカル・シンキングとは、物事を改めて吟味してみようとする「姿勢」だと言えます。
学ぶ意義
Q:先生にとっての学ぶ意義を教えてください。
A:予備校の卒業生へのメッセージ集で私の考えを述べています。一部を抜粋しますね。
冒頭の問いに戻りましょう。ひとは何のために学ぶのか。私なりの答えを出すならば、このようになります。
ひとは学ぶことによって変化し、生きてゆく存在である。そして他者から与えられて学ぶだけでなく、自ら学び、自らを変化させることによって、自身の生を充実させていく存在である。その営みを楽しめる人こそが、真に幸福で充実した人生を歩めるのである。
幸福な人生を歩むために、ひとは学ぶ。――これが私なりの答えです。
最高に楽しくて幸福な人生を送るために、学び続けてください。
オススメの一冊
Q:オススメの一冊を教えてください。
A:こういうの、よくきかれるのですが、一冊だけ挙げるのは無理です。私の趣味や関心を押しつけたくもないですし。そこで、ちくま新書の『○○の名著30』シリーズ、駿台化学科の西村能一先生の『科学の名著50冊が1冊でざっと学べる』のような、古典的著作の概要を紹介した本を読んでみてはいかがでしょうか。学問分野の古典的名著って、とっつきにくかったり、読み始めたはいいものの何を言っているのかよくわからず挫折してしまったりしがちです。概説書や解説書、書評を読み、そこから興味深い本に入り込んでいくのがいいのではないかと思います。
メッセージ
Q:学生に向けてのメッセージをお願いします。
A:「迷ったら、おもしろそうな方へ!」
ここでの「おもしろい」は、もちろんfunnyではなくてinterestingでありexcitingであり、何ならenjoyableでもあります。何か心動かされることに出会ったときに、単に一時の楽しみとして消費するのではなく、興味をもってあれこれ調べたり、立ち止まって考えてみたりする。ドキドキワクワクする。その過程をエンジョイする。そんな生き方ができたらすてきだなあと思うのです。人生には大きな選択がいくつもあり、迷うこともあります。私の人生にもそうした岐路がたくさんありました。今振り返ってみると、いくつかの道のうち一番おもしろそうな、それを選んだら自分はどんなふうに変化、成長できるんだろうとワクワクする道を選択してきたように思います。これからもおもしろそうな道を選ぶでしょう。あなたもそうしてくれたら、うれしいです。
おわりに
今回は予備校講師の根岸大輔先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。古典を読むのは本当に苦労するので、まずは入門書から学問の世界に入っていくのも良いと思います。次回もお楽しみに!!